※高城未来研究所【Future Report】Vol.381(2018年10月5日発行)より
今週は、名古屋にいます。
この数ヶ月、世界中の未来都市を回ってきまして、いよいよ日本を代表する未来都市、名古屋の「ささしまライブ24」新開発地域が、一体どのように進んでいるのか、楽しみにやってきました。
名古屋駅から南に1キロほどのところに位置する「ささしまライブ」は、21世紀前半、日本が威信をかけて世界に発信するリニアモーターカーの中核となる駅一帯大開発地域に含まれます。
旧国鉄笹島貨物駅跡地の約12.4ヘクタールと中川運河船だまり周辺を含むこの地区で本格的な開発が行われており、ちょうど一年前に複合施設「グローバルゲート」が開業したこともあるイベント時期ということもありまして、期待に胸を膨らませて伺いましたが、あまりに「古いアイデア」に驚きました。
確かに、表層的なデザインは「いま風」ですが、話題の高層ホテルの導線ひとつとっても、100点満点評価で、50点まで届きません。
このまま「未来」に突入するのであれば、すでに「古めかしい作り」からして、繁栄する街づくりには程遠いのが正直なところです。
この要因を察するに、古めかしい組織と古めかしい組織の折り合いがつかず、
表層的には綺麗に見えても、それらの「バラバラな古めかしい仕組み」が、ボロボロに露呈しています。
規模こそ違いますが、同じ名古屋駅周辺の再開発であれば、3年前がひとつのピークだった四間道が広がり、那古野一丁目界隈が、もうじきピークを迎えるだろうと思えるほど成長しています。
ここは、いまも昔も暮らしている人々が、自分たちで街を作った想いや趣がしっかり残り、よっぽど未来を感じる場所だと思います。
つまり、街づくりで一番大事な「人」の「気」が、漂っていることなのです。
今週、2020年に開催予定の東京オリンピックの総予算が、3兆円になる見込みであることが露呈しました。
そこで、改めて考えると、良い街づくりには、ふたつしかないと世界中の未来都市をまわって僕なりに実感します。
大金をかけて、世界のどこにもない未来都市を作り上げるか、お金をかけずに、歴史ある場所を再更新するのか。
残念ながら、名古屋の「ささしまライブ」も「東京オリンピック」も、その限りではありません。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.381 2018年10月5日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


その他の記事
![]() |
5年すればいまの世界はまったく違う世界に変わっている(高城剛) |
![]() |
急成長する米国大麻ビジネスをロスアンゼルスで実感する(高城剛) |
![]() |
川端裕人×小野雅裕 対談<答えの出ない「大きな問い」が僕らをつないでくれる>(川端裕人) |
![]() |
主役のいない世界ーーCESの変遷が示すこと(本田雅一) |
![]() |
オーバーツーリズムの功罪(高城剛) |
![]() |
レジームの反撃を受けるベンチャー界隈と生産性の今後(やまもといちろう) |
![]() |
広大な地下空間で考える東京再活性化の秘訣(高城剛) |
![]() |
知的好奇心の受け皿としての「私塾」の可能性(名越康文) |
![]() |
IT野郎が考える「節電」(小寺信良) |
![]() |
中国マネーが押し寄せる観光地の今(高城剛) |
![]() |
失ってしまった日本ならではの自然観(高城剛) |
![]() |
飲食業はその国の社会の縮図(高城剛) |
![]() |
かつて都市の隆盛を象徴した駅や空港の「行列」「混雑」は古くさい20世紀の思い出に過ぎない(高城剛) |
![]() |
イギリスと中国、お互いに国営メディアBANで見る価値観の衝突とプロパガンダ戦(やまもといちろう) |
![]() |
『無伴奏』矢崎仁司監督インタビュー(切通理作) |