家入一真メールマガジン「家入学級」2015年4月7日 Vol.35より
プログラミングに向いている人いない人
「プログラミングは誰にでもできる」と、表向きには言ってます。事実、一定レベルまではそう。誰でも学習すれば、基本的なことはできるようになる。けれど厳密な意味では、プログラミングには人によって向き不向きがあると感じています。僕はスーパープログラマーではないけれど、それなりにITの世界にいて、たくさんの人を教えたり見てきたりしてきた結果、プログラマー的な思考回路というものが、なんとなくわかるようになりました。
プログラミングというのは「これをこうしたらこうなる」という原因と結果を書き続けていく作業。プログラミングに向いている人は、ひと言でいうと、ロジカルに物事を考えられる人です。
一方、論理的に思考できない人というのも一定数存在していて、そういう人はプログラミングに苦労する。バグったとき、なぜそうなったのか、一つひとつプログラムを逆算していけばわかるはずなのに、それをする発想がない。すると「これが、こうしたから、こうなった」と、原因と結果を直結させられないんだよね。
例えば、棚の上にあるものを取ろうとして皿を落として割っちゃったとき、プログラミングに向いていない人は、割れた皿の方に気をとられて、なぜ割れたのかを考えない。手の伸ばし方が悪かったのか、お皿の置き方が悪かったのか、原因を追及しようとしないで、パニクるだけなんです。少なくとも、僕にはそう見える。
プログラミング中、1+1=2が正しい答えだとしたとき、1+1=3と表示されてしまったら、バグってることになるよね。その原因がどこにあるかをどれだけ想像できるか。「+」の部分が間違ってるのかもしれないし、「1」の部分が間違っているのかもしれない。
既に動いているプログラムの1カ所を変えたらバグが出た場合、変えた場所に問題があることは明白です。じゃあ、3カ所変えてバグが出たとき、3カ所全部が間違えていたのかもしれないし、3カ所のうちの1カ所を間違えたのかもしれない。もしかしたら3カ所変えたことで別の場所に影響が出て、そこがバグったのかもしれない。
じゃあそれが10カ所だった場合。全部が間違っているのか、10カ所のうちの1カ所どれかが間違っているのか、あるいは10カ所変えたことでほかのところが予想される動作じゃなくなったのか。可能性の範囲がどんどん広がっていくわけですよね。
それは本当にしらみつぶしに検証していくしかない。一発で動くプログラムを書ける人なんていないんですよ。
一番簡単な方法は、10カ所一つひとつを検証していくこと。全部を元に戻してから、1番だけを入れて正しいかどうか、2番だけを入れて正しいかどうかってのを順々にやればいい。でも、それを一気にやろうとする人がいる。10カ所やって動かないなら、「今度はここを修正しよう」と適当に変えていって、コードがつぎはぎというか、しっちゃかめっちゃかになっちゃう。頭のなかで組み立てられないだろうなぁ。
プログラミングは、やっぱりトライアンドエラー。違ったら戻してをずっとやりながら書いていくもの。それをできない人がいるんですよね。面倒くさいというのとはまた違う。そういう人は、論理的な思考的が苦手なんだと思います。
![](http://pret.yakan-hiko.com/images/base/line600.png)
その他の記事
![]() |
移動速度とアイデアは比例するかを考える(高城剛) |
![]() |
2023年は「人工知能」と「公正取引」の年に(やまもといちろう) |
![]() |
私的録音録画の新しい議論(小寺信良) |
![]() |
人生に一発逆転はない–心の洗濯のススメ(名越康文) |
![]() |
「相場下落」の冬支度、なのか(やまもといちろう) |
![]() |
本格的な移動シーズンに向けて最後の仕上げ(高城剛) |
![]() |
地上波の「リーチ不足」と公共放送問題の焦点ズレ(やまもといちろう) |
![]() |
竹富島で考える沖縄の内と外(高城剛) |
![]() |
孤立鮮明の北朝鮮、どうにもならず製薬会社にハッキングして見抜かれるの巻(やまもといちろう) |
![]() |
粉ミルク規制問題から見えた「中国vs香港」の図式(ふるまいよしこ) |
![]() |
僕ら“ふつうのおじさん”が理解できないこと(本田雅一) |
![]() |
代表質問(やまもといちろう) |
![]() |
クラウドファンディングの「負け戦」と「醍醐味」(西田宗千佳) |
![]() |
五月病の正体 「どうせ……」というくせものキーワード(名越康文) |
![]() |
「常識」の呪縛から解き放たれるために(甲野善紀) |