やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

「相場下落」の冬支度、なのか



 介護離職気味のセミリタイアをすると宣言する前から、年始よりかなりポジションを手仕舞いしているわけなのですが、トランプ相場や中国国内市場の状況を見ていて「このまま過熱することはちょっとあり得ないな」と警鐘を鳴らす自分も心の中にいるわけです。もちろん、引き続きハイテク株に入れていれば順調にいくかもしれないし、日本株だって日経平均2万円をどんどん超えていく可能性だって高いかもしれない。わざわざ北朝鮮危機など引き起こさなくとも、世界経済が順調である限り踏み上げていって、一気に平和の配当を手にすることだって可能かもしれないじゃないか、と欲の部分はあるのです。

 有事であっても強気であるべきというのは私自身も旨とするところがあるので、頑張ってホールドしてきた銘柄についてはポジションを持っていたい気持ちは強くあるのですけれども、Brexitで読み損ね、トランプ相場は長続きしないという一勝一敗なものですからどうしても保守的に見てしまうのかもしれません。調整が入るとしたらいつ頃だろうか、というのは誰にも分からないからこそ調整なのであって、些細なことでドーンと下がるかもしれないし、杞憂で終わって突っ張り続けられた精神力の強い人が大儲けする時期が来るかもしれないわけでして。

 その意味では「こういう良い状態はどうせ続かない」と薄々思っているところへ、ある意味で強制的なセミリタイアがあったことを口実に一度リセットしようと思いたくなる自分の心理状況の問題なんじゃないかとさえ思うんですよね。最近は、個人的に好きでいじっている銘柄以外にはあまり手を出さなくなっていましたし、あまり興味のなかった世界に進出した友人を頼って投資の仕掛を作ったりするようになりました。自分の手金を動かすのに他人任せでいいのかと思う部分はありますけれども、人生を考えたらどこかで釣り合いを取るためにも一回休みでいいんじゃないかと自分に言い聞かせている状況、でしょうか。

 それでもまあ、新規でまたコンテンツファンドは立ち上がるわけですが。私はいったい何しているんですかねえ。ほんとに。

 なもので、何があってもおかしくならないように、ヘッジホッグみたいなポートフォリオを作って自分で自分に幻滅しております。ただ、止むに止まれず現金化したBTCが今日になって一気に下落しているのを見て地味にラッキー。人間万事塞翁が馬といったところでしょうか。やれやれ。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.190 相場にまつわるごく私的なぼやきと、国内ウェブ動画ビジネスの動向および最近のサイバー事件についてを語る回
2017年5月30日発行号 目次
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【0. 序文】「相場下落」の冬支度、なのか
【1. インシデント1】ウェブ動画サイト戦国時代
【2. インシデント2】米諜報機関のサイバー兵器に端を発した世界規模のサイバー事件が浮き上がらせる問題点を考える
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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