※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.034(2018年12月14日)からの抜粋です。
先日のことですが、アップルのエグゼクティブバイスプレジデントをつとめるフィル・シラーさんと話をすることができましたが、なかなか興味深いことを言っていました。シラーさんによると、“あえて言葉にはしていない”仕掛けが、アップル製品にはたくさんあるんだそうです。
例えば、iPhoneのカメラアプリには、ニューラルエンジンで画像を分析、識別し、適応的に“より良い写真”とするためのフィルター処理を行っているのだそうです。一流の写真家の意見を取り入れ、過去に撮影された多くの作品から学んで、空、森、湖、人物などの描写を最適なものにする光学フィルター処理を行う。
“世界最高のフィルターを開発した”というシラーさんですが、何も言わずに「撮影された写真が『きれいだ』と感じてくれればそれでいい」とも言います。被写体の細かなディテール、質感、奥行き感、ホワイトバランスなど、いろいろな部分で違いが出せるようにiPhoneのカメラはつくられているけれど、純粋にユーザーは写真を楽しんでくれればいい。この考え方は、パーソナルコンピューター“Macintosh”の時代にまで遡るアップルのDNAだとも言います。
例えば、macOSのフォントレンダリング(文字描写)やレイアウトは、常に印刷物に匹敵する品位となるよう細かな調整が行われてきました。画面上の色と印刷物、あるいはデジタル写真が持つ本来のカラー特性とディスプレーとの間での一致感を高める“カラーマネジメント”も同じ。いずれもプロフェッショナルにとっては重要な要素ですが、一般ユーザーにもユーザーインターフェースを通じてそれらの技術を提供することで、その品位の高さを“感じてもらえる”と信じているのだと言います。
「スティーブはよく、私たちは“テクノロジーとアートとリベラルアーツの交差点”に立っているのだと話していた。だからこそ、感性に訴える部分に力を入れるが、一方でそれは説明すべきものではなく、感じてもらうべきものだとも考えてきた。(アップル製品には)まだまだ知られざる仕掛けがたくさんある。製品を通じて、それらを感じてくれるとうれしいね」(シラー氏)
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」
2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。
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