※高城未来研究所【Future Report】Vol.457(2020年3月20日発行)より
今週も、那覇にいます。
日々20度を超え、時折25度まで気温があがる那覇の日中は、まるで初夏のような気候です。
現在、沖縄では2月20日以降感染が確認されていないため、新型コロナ拡大で自粛していた県主催イベントを再開すると発表。知事が市町村や民間にも呼びかけ、一部地域では学校も再開しました。
また、離島には春休みが近いことから(東京・大阪の春休みが前倒しになったことから)、人が押し寄せ、活気が戻りつつあります。
日本最南端で「日本一早い夏」が来る石垣島では、例年同様に川平底地ビーチで海開きが開催されました。
事実、数日前から、沖縄はコロナ感染者は実質ゼロになり、いまや日本でもっとも安全な場所になったようにも見えますが、海外へ行けなくなった本土の人たちが集まってきているため、再びコロナが発生しないとは限りません。
本日、米国は日本を含む全世界の渡航警戒レベルを4段階中、最も厳しい「渡航中止・退避勧告」(レベル4)に引き上げ、米国人に対し全ての渡航中止を勧告し、国外にいる米国人の帰国検討も要請していますが、沖縄を見ていると、とても同じ星の出来事だと思えないほどです。
今後、国家ロックダウンに向かう国も増えると予測します。
いまから1ヶ月以上前に、本メールマガジンでウイルスが高温多湿に脆弱であることはお伝えしましたが、もうひとつ、僕は、都市化にも大きな問題があるだろうと考えています。
シンガポールを見れば明らかですが、灼熱の炎天下の南国で、エリートは長袖を着ることを誇りにしています。
それは、近代化したビルのなかで働いていることの現れであり、同時に高所得であることを意味していました。
いまから十年以上前に出した自著にも記しましたように、香港やシンガポールが金融立国として力をつけたのは、インターネットの普及より、エアコンの普及が先にあってのことでした。
そのため、高温多湿地域で高層化されたビルでは、まず、窓の開閉ができず、湿度と気温が保たれた密閉した空間は、人間だけでなく、ウイルスにも心地よい空間となっていったのは、間違いありません。
また、稲垣足穂が「ヰタ・マキニカリス」のなかで、都会に風が吹かないのを嘆きましたが、それゆえ、世界的にみても都市部での感染力速度が増しています。
単に人口密集地であることだけでなく、そこらにある密閉空間や風通しの悪さこそが、ウイルス蔓延の源だと考えます。
さて現在、表立っていませんが、米国のコカイン相場が急騰し、今後、日本の覚醒剤相場も相当値上がりするものと思われます。
まず、仕入れである国境を超えるトランスポーテーションが止まり、国家非常事態宣言が出されているため、国内のデリバリーも止まります。
それにより、コカインや覚醒剤の中毒者は、マスクやトイレットペーパー以上に、愛用品が「品薄」になることを恐れており、水面下の「買い占め」が起きています。
そんな中、米国やフランスでは、「コカインがコロナウィルスを殺す」といった情報がSNSで拡散し、価格がさらに急騰。フランス政府は、「コカインはコロナウイルス予防に効果はありません。むしろ、健康に有害な副作用や中毒を引き起こします」と、公式に注意を呼びかけるまでの騒動になりました。
事実はさておき、狂乱は当面続きそうです。
いよいよここ何年もお話ししてまいりました「転換期」が近づいてまいりました。少なくとも時計の針は、20年近く戻るでしょう。
那覇は今週も静かです、まるで台風の目のなかにいるように。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.457 2020年3月20日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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