高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

衰退がはじまった「過去のシステム」と「あたらしい加速」のためのギアチェンジ

高城未来研究所【Future Report】Vol.493(2020年11月27日発行)より

今週も、東京にいます。

連休があった先週末から今週にかけて、週前半は大変天気が良かったこともありまして、京都や金沢などの観光地は大混雑だった模様ですが、東京都心部はガラガラで、いつもの散策コースである東御苑も、過分な人出は見られませんでした。

皇居を訪れたことがない方はまったくイメージできないかもしれませんが、先週もお伝えしましたように、東御苑内旧江戸城二の丸には雑木林がありまして、このあたりの散策は、世界最大の首都圏である東京都心部とは思えません。
最寄りの江戸城正面玄関として知られる大手門まで、地下鉄大手町駅から徒歩3分と記載もありますが、大手町駅は地下鉄5線が乗り入れる広大な駅で、路線と降りるホームによっては1キロ以上歩くことになり、二の丸雑木林より遥かに大きな地下空間が広がります。

同じ大手町駅構内でも、丸の内線から都営三田線への乗り換えは、下手をすると15分以歩くこともあり(ホーム端からおよそ1キロ)、なにしろ丸の内線大手町駅の住所は大手町(大手町1丁目)ですが、都営三田線の大手町駅の住所は丸の内(丸の内1丁目)という、複雑な上に事実上、隣町の駅なのです。

ちなみに、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので念のためお話ししますと、地下鉄の地上入り口にある駅名の下に書かれた色が着いた各線の丸印は、左から降り口から近い改札順になっています。
ですので、皇居散策の帰りに大手町駅の看板を見つけて降りようとも、目指す路線が一番右端に記載されていたら、相当歩くのを覚悟しなければなりません。

さて現在、駅構内や主要地下鉄の広告空きスペースが、著しく目立ちます。
大手町駅を歩くと、この数ヶ月「オフピーク」をはじめとする東京メトロの自社広告ばかり。
テレワークに限らず、これだけ乗降客が減ってしまうと、交通広告価値が下がるのも致し方ありませんが、それにしても極端なほど空きが目立ち、車内でも空き枠が目立ちます。
本来なら、主要2線と言われイメージが良い銀座線、丸の内線でも空き枠が目立ち、この2線は私鉄沿線への乗り入れがなく、可処分所得が高い人たちが乗っていることから、交通広告も他線と比べて高額でした。

実は東京メトロの広告は殿様商売同然で、新興の広告媒体とも言えるタクシー広告が、それなりのパッケージに対する値引きに応じてくれるのに対し、地下鉄広告の大半は、いまだにExcel管理で都度問い合わせないと共有してもらえないような、やる気も売る気もない状況が続いていました。
真っ先に空き枠が目立つようになって当然と言えば当然です。

表層的には新型コロナウィルス感染拡大による乗降客数が激減してしまったことが、地下鉄広告の空き枠が目立ったように思われますが、深層では、古い仕組みにいつまでも付き合っていられず、現実的にリモートで広告出稿管理できない「過去のシステム」から、順序よく衰退がはじまったと見た方がいいでしょう。

交通広告同様、「良い場所」と言われる「土地」に根ざし胡座をかいていた「既得権」も、現在、変化に耐えきれません。
この典型例が、観光ビジネスです。
各地にある良い場所を占め、殿様商売を行っていたのが「ローカルキング」と呼ばれる地方のボスたちですが、彼らは自民党の集票装置でもありました。
この「ローカルキング」のビジネスを救済するのが、GoToトラベルキャンペーンの本質なのです。
つまり、近く選挙を見込んでいたはずです。

この冬から「あたらしい加速」のために、ギアチェンジが行われます。

その後に控えているのは、大々的なゲームチェンジになるだろうな、と今週も皇居周辺を探索しながら想いに更け、秋晴れのなか、冬の訪れをゆっくり感じています。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.493 2020年11月27日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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