高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

効果がどこまであるのか疑問に感じるコロナ対策のその中身

高城未来研究所【Future Report】Vol.532(2021年8月27日発行)より

今週は、都内のホテルで待機中です。

出国地にもよるのでしょうが、帰国後3日間は空港そばの指定ホテルで強制的な隔離がありまして、その後、11日間は自分で申告した場所で「待機」しなければなりません(「隔離」ではありません)。
この間、不要不急の外出は自粛するように伝えられ、日常的に必要な飲食物等の買い物や医療機関などの最低限の外出に限られます。

空港で提出した誓約書に記載された通称「隔離アプリ」と呼ばれる「MySOS」なるアプリに基づき、毎日11時から14時の間に送付する健康チェック(熱はないか? 家族も問題ないか?)と、不定期な位置情報の確認(およそ日に2〜3回)、そして「AI自動架電機能」(30秒の顔画像確認&いつも同じ背景が条件)もしくはオペレーターによる確認電話を受けなければなりません。

GPSの位置情報から「待機場所」にいるかどうか判断され、もし、申請した「待機場所」から離れていると「待機場所から一定距離の移動が感知されました。誓約書違反の疑いがあります。至急、待機場所にお戻りください」と警告され、仮に申請した場所にいるのに関わらず、トイレやお風呂に入っていて対応できなかったとしても、こちらからコールバックすることはできませんので、応対はその時限りのワンチャンスだけとなりますが、出るまで何度も着信があることもありません。
ちなみに、位置情報の確認は14日間ほぼ1日2回午前と午後の1回ずつで、夜にかかってきたことは一度もありませんでした。

このコロナ禍に海外へ何度も出る「通」は、「MySOS」アプリからの電話を「S子からの電話」と揶揄します。「まるで拘束魔のメンヘラ」のようだと話しますが、言い得て妙だと思いました。

また、この間に再出国も可能で、こちらは以後不問となります。

さて現在、デンマークでは議会の決定により、10月1日からすべてのコロナ対策を終了することを決定しました。
これにより、マスクの着用義務はなくなり検査制度も廃止。
あわせてデンマーク人は、ワクチンを接種したかしていないか、あるいは検査で陽性か陰性かの証拠を提出する必要もなくなります。

デンマークは、他国に先んじて集団免疫を獲得したわけではありませし、それどころか変異株が猛威を振るい、8月8月付のデータでは、発生率の上限も大幅に上昇しています。
しかし、デンマークの政府感染症機関のコメントによれば、夏が終わって人々が仕事や学校に戻った後に新たな感染の波が予想されても、「もはや無理に警戒せず、インフルエンザと同じようなものだと認識する」と発表しています。
つまり、国家としてできることは行ったので、あとは個々の対策に委ねるという決定を行なったのです、インフルエンザ同様に。
ちなみに、デンマークは米国や日本と違って、製薬利権がありません。

「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べ、その後にリーマンショックを呼び起こしたミルトン・フリードマンの言葉を思い出しながら、ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」を「待機」中のホテルで再読する今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.532 2021年8月27日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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