高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

タンザニアで感じるトップの死に対する本当の評価

高城未来研究所【Future Report】Vol.588(9月23日)より

今週は、タンザニアのアルーシャにいます。 

昨年もお伝えしましたが、タンザニアでは「コロナはない」ことになっており、一昨年5月以降、新型ウイルスの感染状況を公表するのをやめています。

当時、ジョン・マグフリ大統領が、パパイヤ、自動車オイル、ヤギのミルクなどをPCR検査に出すと、すべて陽性になったので正確さに欠けると発表。
あわせて「コロナフリー」宣言をしたため、ウイルスや感染事例の存在は公式的にはなくなりました。
この状況は現在も続きます。

また、新型コロナ・ワクチンに関しても「ワクチンは良くありません。もし効果があるなら、白人男性はいち早くHIV/エイズワクチンをアフリカに持ってきたはずです。ですが、そのようなことは起きませんでした。タンザニア人はこれらの輸入品(ワクチン)に注意する必要があります。彼らがあなたをとても愛しているとは思わないで下さい」、「アフリカには、コロナ以上の大変なウィルスが蔓延っています。問題はこちらなのです」とジョン・マグフリ大統領は発言しています。

今年に入って欧米諸国でもPCR検査の結果やワクチンに懐疑的な姿勢を示す国が増え、また、感染者のカウントをするのをやめた現状を鑑みるに、もしかしたらタンザニアの取り組みのほうが、一歩先を進んていたのかもしれません。

しかし、皮肉なことに昨年の春、コロナ(と思われる疾病)でジョン・マグフリ大統領が死亡。61歳でした。
コロナに関する言説からも強引な政治家だったことが伺えますが(あだ名が「ブルドーザー」)、シンパも多く、葬儀の際には反対派だった多くのミュージシャンたちも協力し「追悼歌」を作成しています。
このような文化的側面から国政を司ったトップの死に対する本当の評価が垣間見れるものだと感じます。 

ジョン・マグフリ大統領が在任中に行った主な政策は、

・大金がかかるとされた独立記念日の記念式典を中止し、その予算を衛生の改善やコレラの拡大防止の為の大規模な清掃活動を実施。
自らも路上でごみ拾いを定期的に行う。
・議会の開会を祝う夕食会の予算や会食を90%以上削減。
浮いたお金を病院のベッド増設や道路工事の費用に充当。
・大統領や副大統領、首相が飛行機のファーストクラスのチケットを購入するのを禁止。
・公費でのクリスマスカードや正月のグリーティングカードの発行禁止。
・遅刻した公務員を6時間収監。
・政府の会議やワークショップは高いホテルではなく、政府の建物内で行うよう命令。
・閣僚の数を30人から19人に削減。

などがあります。
なにより徹底した汚職の撲滅に力を注ぎ、賄賂に関して厳しい刑罰を課しました。

ジョン・マグフリ大統領の後任には、副大統領であったサミア・スルフ・ハッサンが選出されています。
タンザニアでは初めての、また、東アフリカ地域で2番目の女性大統領ですが、ジョン・マグフリ大統領のような剛腕はなく調整型のため、いつ政変が起きてもおかしくない状況です。 

開発途上国から低中所得国に急成長したタンザニア。
この背景には、故ジョン・マグフリ大統領が命懸けで改革した汚職撲滅があったのは間違いありません。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.588 9月23日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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