※高城未来研究所【Future Report】Vol.430(2019年9月13日発行)より
今週も、スリランカのアーユルヴェーダ施設にいます。
人類が遺伝子の存在を知る5000年以上前から、アーユルヴェーダは人によって体質が異なり、それは親から引き継いだものだと考えられていました。
アーユルヴェーダの診断は、主に脈診と問診により、その人の「ドーシャ」が、どのような状態になっているか判断することからはじまります。
「ドーシャ」とは、アーユルヴェーダ理論の中心となる三つの性質(体質)のことで、
Vata(ヴァータ)=風
Pitha(ピッタ)=火
Kapha(カパ)=水
と分けられ、このバランスこそが人によって異なり、親から引き継いだもの、つまり、いまでいうところの遺伝子そのものなのです。
こうやって生まれ持ったバランス=遺伝と、現在のバランスの差異が不調をきたす根本原因と考え、アーユルヴェーダでは、本来のバランスに戻す様々な施術を行います。
簡単に言えば、体内に溜まった毒素を抜くこと、つまりデトックスすることが、本来のバランスに戻す第一の鍵となります。
そのための術が、パンチャカルマです。
「パンチャ」とは、サンスクリット語で五つという意味を持ち、「カルマ」は技、要するに「五つの秘技」を使って、体をデトックスするのが、このパンチャカルマです。
「パンチャカルマ」の施術では、まず、現在のドーシャのバランスを見て食事の内容を決めます。
その後、各人の状況にあわせ、五つの秘技を選び、組み合わせ、精神や魂を含めて、その人本来の状態に戻していきます。
具体的には、
1:ヴァマナ:催吐法(胃からデトックス)
2:ヴィレッチャナ:下剤法(小腸からデトックス)
3:ヴァスティ:浣腸法(大腸からデトックス)
4:ナスヤ:点鼻法(頭部からデトックス)
5:ラクタモクシャナ:瀉血法(血からデトックス)
があり、この五つの治療法を中心として、各々に合わせた治療計画を立てて進めていきます。
なかでも、本メールマガジンでも度々取り上げ腸内環境のリセットには、2:ヴィレッチャナ(Virechana)が、どんな西洋医療や代替医療の方法より強力だと実感して、結果長年通うにまでに至りました。
また、この処置を行うための準備や、パンチャカルマが終わった後の養生期間も必要となり、日程は数週間から場合によっては数カ月近くを要します。
それゆえ(特にはじめての場合)、アーユルヴェーダ施設に長期滞在する必要があるのです。
失ってしまった健康を取り戻すには、便利も時短もありません。
さて、月末に発売予定の新刊「333ウルトラデトックス」の取材と最終執筆のために今回スリランカへ訪れておりまして、「まだ、書いてるんですか!?」と編集スタッフ同様、読者の皆様の呆れ顔が目に浮かびますが、念のため、遅筆を治すアーユルヴェーダの秘術はないのかとドクターにお尋ねしたところ、「早くから書けばいいじゃない」と軽くいなされました、、、、、。
言うまでもなく、現代人は食事と生活習慣によってドーシャが乱れていますが、ドーシャを整えると、不思議なことに性格は穏やかになります。
でも、遅筆だけは治りません。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.430 2019年9月13日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


その他の記事
![]() |
遺伝子と食事の関係(高城剛) |
![]() |
捨てることのむつかしさ?(やまもといちろう) |
![]() |
英国のシリコンバレー、エジンバラでスコットランド独立の可能性を考える(高城剛) |
![]() |
「銀の弾丸」も「必勝の奇策」も世の中にはない(やまもといちろう) |
![]() |
自分らしくない自分を、引き受けよう(家入一真) |
![]() |
「コントラスト」と「ダイナミックレンジ」(高城剛) |
![]() |
なぜ母は、娘を殺した加害者の死刑執行を止めようとしたのか?~ 映画『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』佐藤慶紀監督インタビュー(切通理作) |
![]() |
ポスト・パンデミックの未来を示すように思えるバルセロナ(高城剛) |
![]() |
「リバーブ」という沼とブラックフライデー(高城剛) |
![]() |
「いままでにない気候」で訪れる「いままでにない社会」の可能性(高城剛) |
![]() |
上杉隆さんのこと、日本のメディアのこと(茂木健一郎) |
![]() |
気候変動や環境毒のあり方を通じて考えるフェイクの見極め方(高城剛) |
![]() |
週刊金融日記 第277号 <ビットコイン分裂の経済学、ハードフォーク前夜の決戦に備えよ他>(藤沢数希) |
![]() |
柊氏との往復書簡(甲野善紀) |
![]() |
国産カメラメーカーの誕生とその歴史を振り返る(高城剛) |