藤沢数希
@kazu_fujisawa

週刊金融日記 第277号 <ビットコイン分裂の経済学、ハードフォーク前夜の決戦に備えよ他>

藤沢数希のメルマガ『週刊金融日記』第277号(2017年7月31日発行)より、冒頭部分をお届けします。


〘第277号 目次紹介〙
// 週刊金融日記
// 2017年7月31日 第277号
// ビットコイン分裂の経済学
// ハードフォーク前夜の決戦に備えよ
// 暑い夏はシンガポールチキンライスとビール
// 老後に社会保障を最大限に利用する方法
// 他

 
 こんにちは。藤沢数希です。

 ビジネス経済誌の週刊SPA!で月1ぐらいで短い映画紹介を書く番が回ってくるのですが、週刊誌なので発売週に公開かその1、2週間後ぐらいに公開の映画でないといけない、という縛り的なものがあります。今回、僕が紹介しようと思っていた映画は、他の人が紹介することになり、それじゃあ他の映画を見なければ、と思いつつもビットコインのことを考えていたら、いつの間にか〆切前になっておりました。そして、夏のあまり作品がないこの時期に困ったことになってしまい、2日で映画を6本も見ることになりました(笑)。

★映画『東京喰種』は霧嶋董香という女子高生グールがすごく良かったのですが、あとで気がついたのですが、ネットで話題になっていた清水富美加さんでした。

 人間の脳というのは面白いもので、こうやって映画を見ている間も、バックグラウンドで勝手にいま関心がある問題を考えているんですよね。つまり、ビットコイン・トレーディングです(笑)。そういえば、昔、大学で研究していたときも、ずっと考えていた問題は、寝ている間にけっこう解決策が出てきました。

 ということで、久しぶりにまじめにトレーディングしたのですが、けっこう面白いです。ビットコインの取引所は、ロットサイズが小さいのですごく頻繁に取引が行われているように見えるのですが、やはり全世界で5兆円もないので、イメージでいえば任天堂1社の株を、全世界の暗号通貨トレーダーでトレーディングしている感じですね。

 先日紹介したビットフライヤーのマーケットだと、数千万円のポジションなら簡単に取れるけど、億単位は厳しい感じです。これだと証券会社やヘッジファンドのトレーダーは小銭過ぎてポジション取る意味がないので、大人のお金はほとんど入っていない市場です。ふつう、そういう市場は閑散としているのですが、ビットコインの場合は、すごく活気に溢れているのが面白いところですね。

●ビットコイン取引所 bitFlyer
https://bitflyer.jp/?bf=qrnsepru

 金融立国のスイスはやはり暗号通貨にも力を入れるようですね。スイスというのはなかなか恐るべき国です。グローバル経済の中で常に勝ち続けていますね。

●ビットコイン大国を目指すスイスの挑戦
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8085.php

 そして、盗難されたビットコインなど約4400億円を資金洗浄していたロシア人が、ギリシャでFBIに逮捕されました。これはスパイ映画を超えていますね。


●ビットコインで40億ドル超を資金洗浄したロシア人逮捕 マウントゴックスにも関与

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/40-14.php

 日曜日にニュースを見ていたら堀江さんたちが開発しているロケットの打ち上げ実験が報道されていました。日経Webは日曜日のトップニュースです! やはり、最初からすべて成功したら面白くないですよね。貴重な実験データが取れたようで、次が楽しみです。

●ホリエモンロケット、宇宙空間達せず エンジン緊急停止
http://www.asahi.com/articles/ASK7X5H53K7XUBQU013.html

 今週も面白い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

―1人で仕事をするべきか人を雇って業務拡大するべきか
―カジュアルシャツのオーダーメイドがない理由
―老後に社会保障を最大限に利用する方法
―母親が病気で父親が単身赴任をしている訳あり彼女との結婚について
―過去に酷い振られ方をして恋に本気になれません

 それでは今週もよろしくお願いします!

 

1.ビットコイン分裂の経済学 ~ハードフォークを正しくプライシングする

 世界で最初に作られた暗号通貨であり最大の価値を持つビットコインが、8月1日にブロックチェーンを分岐させ、新たな暗号通貨ビットコイン・キャッシュが生まれる。予定通りに恒久的な分岐が行われれば、ビットコインの所有者は、同数のビットコイン・キャッシュを同じく所有することになる。暗号通貨の市場参加者の間では、このハードフォーク(本体とは互換性のないブロックチェーンの分岐)を巡って議論が錯綜している。また、取引所もこの大きなイベントの前に混乱しているようだ。

 僕は最初、このハードフォークを株式分割と同じようなものとして理解していた。つまり、ビットコインの量が2倍になり、価値が半分になるということだ。しかし、これは誤りであることがわかった。まず、すぐに気づくことは、ビットコインが倍になるわけではなく、ビットコインとは二度と交わらない別の暗号通貨ができるわけで、その価値はビットコインと比べてかなり低いことが予想される。つまり、たとえ株式分割のアナロジーが正しいとしても、価値の分割のされ方は、ビットコインとビットコイン・キャッシュの価値の比になる。分裂前のビットコインの価格(旧BTC)が、分裂後のビットコインの価格(新BTC)とビットコイン・キャッシュ(BCC)の和になるというわけだ。式で表すと次のようになる。

  旧BTC = 新BTC + BCC

 ここで1BCCの価値は、1BTCの1割程度と予想されている(これはどの程度になるかは正確にはまだ誰もわからないが)。そうすると、1BTC=30万円とすると、1BCC=3万円程度だ。つまり、30万円の株が3万円の配当を払うのと同じということになる。この点で、株式分割よりも配当落ちのアナロジーのほうが、ずっと正しい。

 先日、紹介した取引所ビットフライヤーでのBTC現物とBTC-FX(=ビットコインに連動する証拠金取引のためのCFD)との価格の乖離を見ると、つい2、3日前まで、むしろ、BTC-FXのほうが1万円ほど現物の上で取引されていた。しかし、この配当落ちのアナロジーが市場参加者の間に広がると、この価格の乖離はなくなり、いまやBTC-FXはBTC現物の1万5000円ほど下で取引されている。僕はこのミスプライスを発見し、乖離差が縮まる方向、つまり現物BTCロング、BTC-FXショートのポジションを取り、儲けることができた。

 ところが、この配当落ちモデルも、じつは根本的に誤っているのだ。ビットコインのFXや先物をどのように調整するべきか考えているときにそのことに気がついた。

 
(続きは藤沢数希のメールマガジン『週刊金融日記』第277号にてお読みください)

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藤沢数希・著『損する結婚 儲かる離婚』

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藤沢数希
理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で教鞭を取った後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスクマネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。

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