高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

未来系南の島・香港から日本の将来を占う

※「高城未来研究所【Future Report】Vol.207(2015年6月5日発行)より

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今週は香港にいます。

月曜日は東京の渋谷で読者大感謝祭と銘打ちまして、「旅は人を幸せにするのか?」をテーマに、多くの方々の前でお話しさせていただきました。

2000名を超える方々にお越しいただきまして、本当に嬉しい限りです。
あらためまして、お越しいただきました皆様に御礼申しあげたく存じます。
誠にありがとうございました。

そのトークライブの直後、僕は香港に飛びました。

先日発表されましたスイスのビジネススクールであるIMD(国際経営開発研究所)による2015年における世界競争力ランキングによると、総合ランキングの結果1位が米国、2位が香港、3位がシンガポールで、一方、日本の国際競争力は今年27位と昨年から6位も順位を下げ、中国(22位)、韓国(25位)についに抜かれることになりました。

この現実を直視する必要があります。

香港の中心部は香港「島」で、そして、シンガポールも「島」であり、小国とはいえ2位と3位が「なにもなかった南の島」が発展した「未来系南の島」であることに、僕は大きく注目しています。

そこには、卑下ではなく小国としての現実的な危機感が見え隠れし、また、自国を俯瞰的にしっかり見る目から競争力を伸ばしたのは間違いありません。

そうしなければ、あっという間に大国に飲み込まれてしまうからで、香港もシンガポールも自ら大きく変化し、世界に門戸を開く道を選びました。

それが今日、国際競争力として現れたのです。

一方、日本は「ガラパゴス」だと言われています。

携帯電話やテレビの規格はもとより社会システムも含め、内需と成功体験に溺れ、「その島特有」の考え方がグローバルには通じないと言われており、それが結果として国際競争力を下げているのは事実です。

競争力だけが大切ではないとは思いつつも、国民が疲弊している現実を考える必要はあるはずです。

しかし、この「その島特有」の事情は、日本やガラパゴス島には限らないと僕は考えています。

香港でもシンガポールでも、あらゆる島に必ず「ガラパゴス的」な事情があり、それこそが島のオリジナリティや面白さ、時には強さでもあるはずです。

だから、自身で世界の島々を廻って考えれば、「ガラパゴス的」なものと「グローバル的」なものの良い棲み分けやバランスがわかるのではないか、もしかしたら、日本的な「一国二制度」もあるのではないか、それが、次の日本の強さになるのではないか、と考えながら、時間を見つけ、現在、世界中の島々を回っています。

近年、シンガポールに学ぶべきとのことが号令のように言われていますが、もしかしたら時の大国に翻弄されてきた香港にこそ、日本は学ぶべきことがあるようにも思います。

現在も中国との関係に揺れながら、発展を続け、大きく変化し続ける香港。

島国には島国として生きねばならない巧みな外交や、多くの人を受け入れながら、島のしきたりや伝統を守れる立地的条件がなによりもの強みになるはずです。
そして、人々を「優しい気持ち」に出来る力を島は必ず持っています。

僕の島をまわる葛藤と冒険は、もう少し続きそうです。

 

┃高┃城┃未┃来┃研┃究┃所┃【Future Report】
Vol.207
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/ 2015年6月5日発行 /

■目次
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
… 1. 近況
… 2. 世界の俯瞰図
… 3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
… 4. マクロビオティックのはじめかた
… 5. 身体と意識
… 6. Q&Aコーナー
… 7. 著書のお知らせ

 

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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