
先日、フジテレビ系ネット放送ホウドウキョクで、火曜日を担当させていただいている「真夜中のニャーゴ」にライターの朽木誠一郎さんをお呼びして、あれこれお話をしておったわけです。何ていうんでしょう、30歳のころを思い返すと当時は2ちゃんねる関連の後始末で黒歴史感いっぱいだったんですが、面白ければ何でもよいと当時は思っていたので反省することしきりです。
んで、ウェブから進化していろんな媒体で記事を書かせていただくようになったのですが、当時はテキストサイト全盛期で、ブログが出るか出ないかという状態だったなか、テキストサイト大手と言われている人たちはたくさんいました。200名以上、頑張って取り組んで発信されていたでしょうか。
そこからブログの世界になり、またSNSとしてのmixiがブームになっていく過程で、テキストサイトに半ばしがみついていた人は、テキストサイトのブーム減退とともに名前を観なくなっていきます。だいたいブックマークやブラウザの巡回ソフトで閲覧するのに最適であったテキストサイトは、RSSリーダーやSNSのような閉じた世界に適応することができず、ぶら下がっていた書き手とともに沈没していくことになるのです。
当時、私も御多分に漏れずメインでは「死体置き場」というサイトで経済事情を自分なりに調べて考えて書くというスタイルでやり、その後ブログブームが来ると「切込隊長ブログ 俺様キングダム」を立ち上げてテキストサイトはリンクのみの状態にしました。ブログのほうが読みやすいし、人が集まるのだから、慣れて更新しやすいテキストサイトにこだわっても明日はないな、と思っていたのです。
テキストサイトには、情報感度も高そうで、書き手としての能力もある人はたくさんいました。ただ、書きやすいやり方、自分なりのこだわりを貫いた結果、人通りの減ったテキストサイトにリソースを集中してしまい、記事が読まれなくなり、反響も減って、ひとつ、またひとつとサイト閉鎖やネット引退に追い込まれていったのです。
ご自身の意志で引退を決意し、更新を止めた方もいっぱいおられるので、一概に競争に負けたというわけではないのでしょう。ただ、いま振り返っても「あの人の書いているもの、面白かったのにな。どこかウェブ媒体に原稿寄せれば喜ばれるだろうにな」という人もたくさん記憶に残っています。就職や結婚、出産、介護、ご自身の健康問題などなど、ネットから離れてそれっきりになる人にはそれぞれのご事情はあるのでしょうが、好きでモノをネットで書いて、書き続けている人が、2000年前後からたかだか16年ほどでこれだけいなくなってしまうというのは、やはり寂寥感を抱かざるを得ません。
あれから私も歳を取り、家族も構え、仕事もとても安定していることもあって、昔ほどとげのある書き方はしなくなりました。いまでも充分刺激的だと言われるのですが、以前は読み返して「ああ、私も丸くなったな」と自分で思うぐらい酷いことをたくさん書いてきました。でも、あれがウケていた時代の書き方を捨て、それを読み物として面白がってくれた読者と一緒に歳を取っていくことを避けるためにいろんなものを封印する、というのは、おそらくは次のチャレンジをするために必要なことだと思うのです。
金が儲かるかどうかはともかく、界隈の住人として「生き残る」ことを考えると、どうしても変化をするために昔のものを捨てる、慣れて成果の出ることを諦める、培ったノウハウを使わずやめる、という判断は、どうしてもしていかないといけないことだと思っています。
「限られたリソースと才能のために、選択と集中を」というのは簡単なんですが、そこに存在意義を持ち、心を入れて居場所を作ってしまうと、どうしても逃れられない磁場が発生して、その磁場の衰退とともに消えて行ってしまうリスクは考えておいたほうが良いのかもしれません。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.162 夏も後半ということで過ぎ去りし日々を振り返りつつ、修羅の世界たるコンテンツ業界の怖い話など
2016年8月25日発行号 目次

【0. 序文】捨てることのむつかしさ?
【1. インシデント1】お盆の季節に思うことなど
【2. インシデント2】脇の甘い業界関係者がむしられる修羅の世界、コンテンツ業界
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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