高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

世界百周しても人生観はなにも変わりませんが、知見は広がります

高城未来研究所【Future Report】Vol.273(2016年9月9日発行)より


今週は、ポルトガルのマデイラ島にいます。

21世紀初頭、ユーロバブルに沸いたのは、ギリシャだけではありません。
南欧全体が沸きに沸き、ほぼアフリカに位置する欧州の離島であるこの島も、当時はユーロバブルの恩恵を大きく受けました。

2001年から2007年まで、この島の主産業は建設業で次々とリゾート開発や大規模インフラ工事が行われましたが、2008年のリーマンショックを境に、風景が変わります。
島内のGDPの8割近くを占めていた建設業が、ほぼゼロになってしまったのです。

大型リゾートコンドミニアムは建築中に頓挫し、南国に廃墟が次々と生まれていきました。
失業者も溢れ出しましたが、その際、この島は変化を恐れず一丸となって観光業に大きく舵を切ることにしました。
もともと温暖な地域であったことが幸いし、欧州では咲かない珍しいアフリカの花が咲くことから、常春の「花の島」として地域ブランディング。
これが見事に当たり、現在では欧州各地からLCCが乗り入れ、島は活気を取り戻しました。
現在は島内GDPの8割以上が観光業となったのです。
今週はワインウィークだそうで、夜の街もかなり賑わっており、まるで近年の観光業が成功したお祝いのようにも見えます。

さて、毎年僕の9月は移動が多いシーズンで、まだ終わらない夏休みと(クロージング・パーティのシーズンです!)、夏休みが終わって仕事始まるのが混在する月で、今年もあわただしく過ごしています。

普段はあまり考えないのですが、この先3週間のフライト数を数えると、なんと31便も搭乗予定があります!
渡航先をザーッと考えても、21日間で欧州、アフリカ、南米、オセアニア、アジアと移動しますので、いわゆる世界一周なのかもしれませんが、通年で考えても毎年世界4-5周していますので、気がつくとこの25年で世界百周しているように思います。
ですが、だからと言ってなにも代わり映えないのも事実です。
世界一周すると人生観が変わるそうですが(と、誰がいいはじめたのでしょうか? JTB?)、世界百周しても僕の場合は人生観はなにも変わりません。

ただし、知見は広がります。
その上、サバイバル能力もコミュニケーション能力も高まります。
そして、ピンチに耐性がつきます。
さらに、人生に「ゆらぎ」が起きます。
最後に、だからこそハッピー感が高まるのです。

たぶん、それらは移動距離と移動速度に比例し、それゆえ、僕は世界一周した人たちより100倍ハッピー感が高いのです!と、自分に言い聞かせながら、散らばる仕事先を飛び回っているのが今月です。

常春と言われるマデイラは、秋とは無縁な場所ですが、月夜に映える花はとても美しい、と感じる余裕があるのでまだ大丈夫。
旅先の花鳥風月を感じなくなれば、それは自分を見失っている証でもあります。

今年も年末まで、忙しい季節がはじまります。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.273 2016年9月9日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

詳細・ご購読はこちらから
http://yakan-hiko.com/takashiro.html

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

ひとりぼっちの時間(ソロタイム)のススメ(名越康文)
未来を切り開く第一歩としてのkindle出版のすすめ(高城剛)
いわゆる「パパ活」と非モテ成功者の女性への復讐の話について(やまもといちろう)
マイルドヤンキーが「多数派」になる世界(小寺信良)
ウェブフォントを広めたい・ふたたび(西田宗千佳)
夏の京都で考える日本の「失われた150年」(高城剛)
富める中東の地で都市化と食生活を考える(高城剛)
【対談】名越康文×平岩国泰 ほめればほめるほどやる気を失う子どもたち〜「放課後」だから気づけた、子どもの自己肯定感を伸ばす秘訣(名越康文)
新型カメラを同時二台買いするための長い言い訳(高城剛)
「大テレワーク時代」ならではの楽しみ(高城剛)
吉野彰さんノーベル化学賞に想う、リチウムイオン電池と現代デジタル製品(本田雅一)
古舘伊知郎降板『報道ステーション』の意味(やまもといちろう)
トランプは「塀の内側」に落ちるのかーー相当深刻な事態・ロシアンゲート疑惑(小川和久)
「不倫がばれてから食生活がひどいです」(石田衣良)
音声入力を使った英語原書の読書法(高城剛)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ