『媚びない人生』刊行記念インタビュー

「野良猫」として生きるための哲学

 

伝えたかったのは「強く、しなやかに生きよう」ということ

――『媚びない人生』というタイトルに表れているように、この本には「強く生きる」というテーマがありますよね。

ジョン・キム:僕が伝えたかったのは「強く、そしてしなやかに生きよう」ということですね。「野良猫」という言葉にも表れていますが。

――カフェ・ゼミの参加者に「やりたいことをやろうとすると、社会に阻まれてしまう気がする」とおっしゃっていた方がいましたが、「強く生きよう」と呼びかけても、「そうは言っても……」と感じる人もいると思うんです。つまり、本書に書かれている「野良猫」のような生き方を理想としたとしても、一方で自分の周囲の環境がその生き方を認めないということもありますよね。そのときに、周囲とどうやって折り合いをつけていけばいいのでしょうか。

ジョン・キム:「社会が阻む」というのは、ある程度は前提として考えればいいと思うんです。その中で、どうやって自由に生きるかが重要なんです。自分を取り巻く社会の状況や他者、未来ときちんと向き合うこと。不条理な現実に対して見て見ぬふりをするのではなく、まずは直視すること。そのことによって、「自分にできること」が見つかるんです。この本には、どんな状況であっても幸せを見つけていく道すじを書いたつもりです。

――「強く生きたい。しかしそれでも怯えてしまう」という人に向けて、メッセージをいただけますか。

もし、社会や周囲の環境に怯えている自分を発見したら、まず、なぜ怯えているのか、その理由を探してみてほしい。そして、どうにもできない事象については、いったん受け入れてみてほしい。一方で、どうにかできる事象については、解決に対して努力の余地があるわけですから、解決へ向けてどういう努力をしたのか、自分に問いかけてみてほしい。

僕のこの本に込めた、根本のメッセージはこういうことです。

「社会を変えるような革命を起こすことは難しい。一方で、人間の内面の革命はあらゆる人の中で、瞬間的に起こりうる」。その革命は非常に静かですが、非常に力強い革命だと思う。その革命を成し遂げた結果は、その人の穏やかさとして表れてくるはずです。

著者が家族同様に大切と考えるゼミ生の卒業へのはなむけの言葉「キムゼミ最終講義 贈る言葉」を原点として書かれた一冊。将来に対する漠然とした不安を感じる人たちに向けて、「今この瞬間から内面的な革命を起こし、人生を支える真の自由を手に入れる」ための考え方や行動指針が熱い言葉で綴られている。

 

※目次より一部抜粋
「従順な羊ではなく、野良猫になれ」
「瞬間を生きる。次の瞬間、死んでもいいように」
「結果に対する全責任を負う決意に基づいた選択は、常に正しい」
「目的地がない船には、どんな風も順風になることはない」
「肯定のオーラの起点となる。与えることに喜びを感じる人になる」

 

撮影:安部俊太郎
取材:福島奈美子

1 2 3 4 5
ジョン・キム
慶応大学特任准教授・韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学、英オックスフォード大学、ドイツ連邦防衛大学、米ハーバード大学を経て2004年から現職。アジア、アメリカ、ヨーロッパ等、3大陸5ヶ国を渡り歩いた経験から生まれた独自の哲学と生き方論が支持を集める。

その他の記事

世界的観光地が直面するオーバーツーリズムと脱観光立国トレンド(高城剛)
「心の速度を落とす」ということ(平尾剛)
心身を整えながら幸福のあり方を追求する新年(高城剛)
「けものフレンズ」を見てみたら/アマゾン・イキトスで出会った動物たち(川端裕人)
11月に降り積もる東京の雪を見ながら(高城剛)
意外に簡単に見られる新4K放送。だが課題も…(小寺信良)
「ブロマガ」はプラットフォームになり得るのか(小寺信良)
付き合う前に「別れ」をイメージしてしまうあなたへ(石田衣良)
川端裕人×小野雅裕 対談<答えの出ない「大きな問い」が僕らをつないでくれる>(川端裕人)
「モテる人」が決して満足できない理由(岩崎夏海)
オリンピックという機会を上手に活かせたロンドンは何が違ったのか(高城剛)
週刊金融日記 第294号【怪物ビットコイン ~ハードフォークという富の複製、ビットコイン・ダイヤモンド誕生!時価総額1兆7000億円他】(藤沢数希)
夫婦ってなんなんだ、結婚ってなんなんだ(切通理作)
夏至にまつわる話(高城剛)
ママのLINE、大丈夫?(小寺信良)
ジョン・キムのメールマガジン
「媚びない人生の作り方」

[料金(税込)] 660円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4水曜日配信予定)

ページのトップへ