茂木健一郎
@kenichiromogi

茂木健一郎の「赤毛のアン」で英語づけ(4)

『「赤毛のアン」で英語づけ』(4) 大切な人への手紙は〝語感〟にこだわろう

 

いかがでしょう?

 

今まで読んできた『赤毛のアン』では、アンが終始ギルバートに反発していたのに、この文章では、うって変わってラブラブですね!

それにしても、dusk とtwilight(一応、「黄昏」と「夕暮れ」と訳しましたが、日本語と英語が対応するわけではないので、それぞれ英語で理解するのが良いでしょう)の語感の差にこだわるアンは、まさに英語のクオリアの達人です。そして、この手紙全体から伝わってくる、薄暗がりで大切な人に語りかけているような調子は、どうでしょう。素敵ですねえ。心が温まりますねえ。私は、高校生の時、原書でこの本を読んで、まさにこのクオリアにやられてしまったように思います。

アン本人は、これはラヴ・レターではない、と言っていますが、これは誰がどうみても、ラヴ・レターですね。ペンのせいにして、アン、可愛いですね。

 

この名文!

 

But in the dusk I'm free from both and belong only to myself . . . and you.
でも、黄昏時には、どちらも自由で、私・・・そして、あなたに所属しているのです。

 

 

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茂木健一郎
脳科学者。1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文藝評論、美術評論などにも取り組む。2006年1月~2010年3月、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』キャスター。『脳と仮想』(小林秀雄賞)、『今、ここからすべての場所へ』(桑原武夫学芸賞)、『脳とクオリア』、『生きて死ぬ私』など著書多数。

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