※やまもといちろうさんのメルマガ「人間迷路」Vol.109<FC2を追い落としたとされるドワンゴの凄味と第二ラウンドを見据えた動きに注目する回>より
大手企業勤務の看板が取れたとき、ビジネスマンはそのスキルや人脈の真価が問われるというのもひとつの事実だと思うのですよ。
業界をまたいだお声がかかる人もあれば、本当はどこかに引き取ってもらうつもりのはずがどこにも入れずになし崩しに起業に追い込まれる人もいます。実に微妙なのは「退職しました」のFACEBOOKに何百の「いいね!」や「おめでとう&お疲れ様コメント」がつくかで争っているかのような自意識の高い人が少なくない点です。ジョブホップすることはもはやそれほど珍しくないのだから、プロとして胸を張って退職し再就職するか起業するかすればそれでいいんじゃないかと思います。
しかも、これらは真の意味でその人の実力を示すバロメータなのではなく、単純に人間性や付き合う人の多さ、あるいはウェブでうるさい人をどれだけ味方に付けているのかでしかないんです。困ったことに、ウェブでの声援が大きいほどに、自分は支持されているのだ、能力を認められているのだと勘違いするケースがまた多いわけであります。
私もどちらかというとウェブに読み手を多く持ち、良くも悪くも万単位の人に読んでいただける書き手にはなりました。しかし、そういう読んでいただける心に恃み頼って仕事をするというのは恐怖感を持ちます。それだけ、読み手の心というのは移ろいやすく、ちょっとしたことで離れていくものだということを知っているからです。
同様に、境遇の変化に昨日まで「いいね!」を押していた人が、その相手の肩書きが外れた瞬間に読みにも来なくなるソーシャルグラフを私は知っています。まあ、そういう仕事をしているからなんですが。逆に言えば、それだけ人様の信頼というのは勝ち取ることはもちろん、維持することがむつかしい。常に次に続く人、肩書きに寄り添いたい人、誰々が推す誰かしか認められない人というのがいるのだということでありましょう。
悲しいことですが、人間社会の道理や仕組みというのはこういう薄情で自分本位な人間関係の総体なのであって、そういう割り切りや冷静な理解もまた、渡世を考える上で大事なことなのです。
もちろんその人に本当の実力があれば話は別ですが、一般的に、大手企業から退職された人が転職を明らかにするまでの間にその人のソーシャルグラフ上のパワーを維持できることは稀です。私みたいに自分の名前一丁でやっている人間からしても、如何に人は見栄えや肩書きで他人を評価しているのかが理解できて薄ら寒いところではあります。
本当に実現したいことがあって、それに向かって努力している人が、いまある仕事を離れるというストーリー作りも含めたセルフブランディングというのは、自分を見てくれる人垣を維持するという意味でとても重要なのだということを改めて思い知った次第です。
やまもといちろうメルマガ「人間迷路」Vol.107
<FC2を追い落としたとされるドワンゴの凄味と第二ラウンドを見据えた動きに注目する回>
目次
【0. ヘッドストーリー】大手企業勤務の看板が取れたとき、ビジネスマンはそ
のスキルや人脈の真価が問われるというのもひとつの事実だと思うのですよ。
【1. インシデント1】ドワンゴが仕掛けるFC2社摘発騒動の顛末と余波
【2. インシデント2】近頃なにかと話題のドローンについてまとめてみました
【3. 特別対談その2】茂木健一郎×山本一郎 『小保方問題、ネトウヨとの絡み
方などなどについて茂木健一郎さんに直接ツッコミを入れてみた』(5/5)
【4. 迷子問答】迷路で迷っている者
「人間迷路」のご購読はこちらから
その他の記事
|
現代の変化に対応できず長期停滞に陥っている双子のような日本とイタリア(高城剛) |
|
新卒一括採用には反対! 茂木健一郎さんに共感(家入一真) |
|
「デトックス元年」第二ステージに突入です!(高城剛) |
|
Netflix訪問で考えた「社内風土」と「働き方」(西田宗千佳) |
|
なぜ今? 音楽ストリーミングサービスの戦々恐々(小寺信良) |
|
うまくやろうと思わないほうがうまくいく(家入一真) |
|
いま、東シナ海で何が起きているのか(小川和久) |
|
なぜ作家に「酒好き」が多いのか(ロバート・ハリス) |
|
今週の動画「顔面へのジャブへの対応」(甲野善紀) |
|
就活生へあまりアテにならないアドバイスをしてみる(小寺信良) |
|
週刊金融日記 第289号<ビットコイン・ゴールド 金の雨が天から降り注ぐ、自民圧勝で日経平均未踏の15連騰か他>(藤沢数希) |
|
過去に区切りをつけ次のチャンスとピンチに備える(高城剛) |
|
日本のテレビ業界は変われるか(高城剛) |
|
極めてシンプルでありながら奥が深いシステマ小説(西條剛央) |
|
セルフィーのためのスマホ、Wiko Viewから見えるもの(小寺信良) |












