ゆとり世代にせまる時限爆弾
これが例えば企業だったら、30代に差し掛かったゆとり世代の人たちをクビにして、新しく非ゆとり世代の若者を雇う――といったことになる。そうして、世の中には大量の失業したゆとり世代が溢れかえることになるのではないだろうか。ゆとり世代は、社会の中のあぶれものになってしまうのではないだろうか。
それは、今はまだ顕在化していないが、2010年の10年後、つまり2020年には顕在化する問題なのである。時限装置付きの爆弾なのだ。ゆとり世代は、今はまだ上から押さえつけられているだけだから、それほど大きな問題にはなっていない。日本は年功序列が強い国だから、上から押さえつけられることには免疫がある。しかし、下から突き上げられることには免疫がない。ゆとり世代のほとんどは、まさか非ゆとり世代が自分たちの競争相手として、後ろからひたひたと迫り来ているなどとは想像すらしていないのである。
そのため、2020年にこの問題が顕在化した際には、大きなショックが彼らを襲うのではないだろうか。非ゆとり世代との競争に負けて社会の片隅に追いやられた彼らは、その多くが心を病んだり、ひどいときには自殺してしまったりするのではないだろうか。
するとそれは、必ずや大きな社会問題になるだろう。だから、それを未然に防ぐためには、今、ゆとり世代の若者が競争心や競争力を身につけるしかないのだ。逃げるのではなく、そこに真正面から立ち向かわなければならないのである。
ぼくがこの「競争考」を書いているのは、そういう危機が迫っているゆとり世代に競争の何たるかを教え、迫り来る2020年問題を少しでも緩和したいという思いからである。そこで絶望し、人生を損なってしまう人を一人でも少なくすることが目的なのだ。なぜそれをするかといえば、そういうふうに多くの若者が一斉にダメージを受ければ、それは深刻な社会問題となって、世の中全体を暗くしてしまうからである。つまり、単にゆとり世代だけの問題ではなく、日本社会全体の問題としてとらえているのだ。
そこで次回からは、第2部として、これまで競争心、競争力を身につけてこなかったゆとり世代がどうすれば競争心、競争力を身につけられるのか、その具体的な方策について考えていきたい。
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岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」
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岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。
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