※名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」2015年1月15日 Vol.091より
自分について私たちが語る(書く)ことは、本来の意味での「私の病」についての記述以外にありえません。「病とは何か」ということのもっとも正確な表現は、「私について語る」ということにこそあるのです。私について語ること、その暗い満足に陥ってはいけません。
「私の悩みは」「私の苦しみは」「私という人間は」……。こうした「私」から始まる悩み事に対する答えは非常にシンプルです。
それは、身体を柔らかくして、生活習慣を整える、ということ。それだけです。身体や生活習慣をないがしろにしている人ほど、「私」を主語にして悩みを語りたくなります。しかし、身体や生活習慣をないがしろにしている人に効く「心の薬」はないのです。
「私」というのは、私の身体にぎっしりと詰めこまれた重石のようなものです。それをどう解毒し、砕き、排泄してゆくか。それこそが問われています。
そのために必要なことは人それぞれです。ただ、敢えて言うなら、朝起きたとき、「すぐに動けない」「気分が滅入る」「だるい」というように、朝のコンディションが悪いという人は、その状態から脱するということだけに数か月から数年、専念すべきです。
朝のコンディションを整えるために、最低でも1日に1時間以上はかけてください。まずは、身体を柔軟に作り変えることです。身体を柔らかくすれば、朝のコンディションは確実に改善されます。こうした「身体」や「生活習慣」という観点をないがしろにして心の問題を問うことはできません。
これは決して避けて通ることはできない関門なのですが、自分の心に振り回されている人ほど、この基本から目をそらす傾向にあるようです。どうかがんばって、自分の身体と向き合ってください。
名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」
目次
00【イントロダクション】「私」という生活習慣病
01【コラム】被災者としてのムーミン
02カウンセリングルーム
[Q1]ゲームをやりすぎるのは心によくない?
[Q2]絶滅した体癖はありますか?
03精神科医の備忘録 Key of Life
・理屈は「踊り場」に過ぎない
04読むこころカフェ
・「わかってほしい」の奥にあるもの
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
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