やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

衰退する日本のパラダイムシフトを先導するのは誰か

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.118<日本産業がいつか来た道を着実に辿る新興中国製造業の小米の快進撃と悩み、あるいは辻元清美女史との大好評対談の続き>2015年1月10日発行より

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2014年12月14日に投開票が行われた衆議院選挙ですが、その公示日から投開票日までの二週間、有権者は何を考えたのか、どう行動したのかといった分析が徐々に進み、争点別の有権者の考え方がかなり鮮明に分かるようになってきました。

近いうちに、高齢者問題の西高東低や、もう高齢者が減少に転じるぐらい過疎が極まった地域で起きている現実など、さまざまな社会問題の嚆矢が報じられ始めることと思います。

争点で常にトップになるのは経済問題、雇用に関わる部分です。ここには、どうしても期待値と現実の狭間で思い悩む有権者の姿があり、政治に求めるものはやはり豊かで安定した生活であることに変わりはありません。

一方で、財源問題や年金、介護といった社会福祉に直結する問題についての関心の高まりは、もっぱら40代を中心に危機感が高まり始めている現状があります。すなわち、親の介護が始まりだす40代は、その介護と育児に挟まれ、さらに働いて家族を養わなければならないという「一番最初に先が見えなくなる世代」であるとも言えましょう。そして、今後、政治や社会が高齢者をこれ以上養えないことが分かったとき、やはり一番最初に保障から外されて、何ももらえなくなることを経験する世代でもあるのです。

下手をすると、いまの50代中盤からもう危なくなるのかもしれませんが、いわゆる「投票に行く」とパネル調査で事前に回答したり、出口調査で増大している年齢的な属性は40代前半であります。このあたりから、日本はもうこれ以上良くなることはないと、我が事として真に受け止めている最初の世代なのかもしれません。

私も42歳になったばかりですが、団塊Jr.ど真ん中として、いっぱいいる同学年との競争を強いられ、バブル経済を具体的に体験することなく就職氷河期2年目で大学を卒業した世代です。「敷かれたレールの上を頑張って走ったところで、必ずしも実入りがあるわけではない」原体験が、衰退する日本のパラダイムシフトを先導する条件になるのかなあと思う次第です。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.118<日本産業がいつか来た道を着実に辿る新興中国製造業の小米の快進撃と悩み、あるいは辻元清美女史との大好評対談の続き>

2015年1月10日発行
目次
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【0. ヘッドストーリー】今回の衆議院選挙で振り返る、国民の高齢化対策
【1. インシデント1】近頃経済ニュース界隈でなにかと話題の中国Xiaomi、抱え
る問題も大きいようです
【2. 対談】辻元清美さんと対談しました 第3回(全5回)
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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