高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

「時間」や「死」が平等でなくなる時代到来の予感

高城未来研究所【Future Report】Vol.392(2018年12月21日発行)より

今週は、金沢にいます。

毎年、冬の帰国時に人間ドックを受診しておりまして、今年は、友人たちを誘って、夏に取材に訪れた最新設備が整う金沢のクリニックにやってきました。

鎮静法で寝ている間に内視鏡を入れ、また、外からMRCPをはじめ徹底検査を行って中から外から体と頭の隅々まで調べ、さらに、他のドックでは、なかなか行っていないマイクロRNA等リキッドバイオプシーによるがんの超早期発見から、有機酸検査などのバイオロジカル検査を並行して行って、現在の腸内や神経伝達物質の状況、そして今後のリスク箇所を割り出しています。

現在、執筆中の30年後の未来を描いた新刊に記しておりますが、いままで貧しい者も富める者も唯一平等だった「時間」や「死」が、今後、平等でなくなってしまう可能性が高まります。
保険診療外のバイオロジカル検査などは、「それなりのコスト」を必要としますが、現在、巷で話されているような「所得の二極化」だけではなく、今後は、各人の「持ち時間の二極化」や「健康寿命の二極化」が明確化し、どこかで大きな社会問題になるかもしれません。

階級社会のロンドンでは、保険監察局が地下鉄ジュビリー線に沿って平均寿命を調査したところ、中心地のウェストミンスター駅から東へわずか6駅のカニングタウン駅に向かうにつれ、男性の平均寿命が77.7歳から71.6歳と、極端に短くなっていくと発表しました。
ロンドンに住んだことがないと、なかなかイメージしづらいでしょうが、乱暴ながらに東京に置き換えてみると、日本橋に住む人と、東へ6駅の西葛西に住む人では、おそらく年収が大きく違い、それが平均寿命を決定づけていると推察されています。
ロンドン保険監察局のデータをみれば、一駅違うと平均寿命が1年違う計算になり、今後もこの傾向は顕著になると考えられているのです。

しかし、検査代金が「それなりのコスト」とは言っても、SONYのデジタルカメラα7R3よりは安価ですので、3〜4年に一度カメラを買い換えることを考えれば、「いま、何に対して投資をするのか?」と捉えなおし、デジタルカメラの購入同様に、保険外診療の最新人間ドックやバイオロジカル検査費用を並列で思案するのが、今後の「生き方」のように思います。
なにしろ、「時間」だけは購入できなかったのが、今後は購入可能になるかもしれないからです。

今週、わざわざ金沢まで来て、お土産ショッピングや観光名所巡りどころか、駅前の鼓門すら一度も見ずに、クリニックのなかで長く過ごすと、もしかしたら、もはや僕は「外的な経験」すら求めなくなったのかもしれません。

モノに囲まれていた「過去」の自分に、機会あれば、教えてあげたい。
モノなんか捨てた先に、「本当の楽しい未来」があるんだよ、と。

「外的な経験」を楽しんでいた「少し前」の自分に、機会あれば、教えてあげたい。
「内的な探求」にこそ、「本当の楽しい未来」があるんだよ、と。

いや、「今」のそんな思いが、時間を超えて「過去」の自分に伝わったから「今」があるのかもしれないな、と、MRCPのなかで思いに耽る今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.392 2018年12月21日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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