やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

企業のトップストーリーについて思うこと

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私個人はオリンパス問題を直接触っていたわけではないのですが、その前後に、木村剛さん率いる日本振興銀行問題や、同じように飛ばしや粉飾決算に従事しているいくつかの大手企業の取材でご一緒したことがあります。日本振興銀行は、その問題の端緒となった木村さんと組んだ三原さんが鬼籍に入られ、またパートナーでもあったOさんが消息不明の状態となっていまだご家族ともども行方が分からなくなっている状態ですので、何をかいわんやということではありますが。

やはり調べ物をしていてこれで大丈夫なのかと思ってしまうケースは多々あって、例えば最近だと女性向けのファッション系のサイトを運営し、大手イベントと提携して派手に仕事をしているある会社の不祥事に気づくわけなんですが、外側から見ても売掛金をごまかしていろんな仕組みを構築しているのかなあと察知できる状況であるのに、どういう理由か同じく何故利益が出たのか良く分からない大手男性向けファッションサイトと資本提携を行い、またC2Cサービスとして大手に名乗り出ようというアプリ会社の運営するファンドからの出資を得る交渉をしていると関係者自らがFACE
BOOKで公言したりしています。

別にそれはご自由にということなのですが、一方でそのやり方で大きくなる会社というのは、もちろん正味の売り上げがなかなか伸びない中で、まじめに計算すると月次決算が赤字の状態であるはずなのに、どういう理由かどこからかお金が出てきて黒字計上し、ベンチャー系の内輪受けメディアから黒字転換すげーとか賞賛を浴びて上場準備をしていたりするわけであります。

蓋を開けてみると、特定のベンチャー界隈のファンドから出資を得ていたり、特定VCの特定担当者が手持ちの案件だったりして、ちょっと気になるわけですよね。無茶するなあというか。それでも関係者が前を向いてまじめに手がけていて、これからちゃんと売り上げがついてきて事業家も投資家も関係者も顧客もハッピーだったらそれでいいんですが、2015年の上場ゴール案件でそういう幸せを実現している会社というのはあまり見当たらないのも事実です。ある種、上場ゴールを目指した結果、すべての関係者が徒労感に満ち溢れるというか、続発する問題に対処するために必死になって堤防決壊しないようにパッチワークを繰り返すというのは悲哀以外の何者でもないだろうと感じるわけです。

もちろん、ベンチャー企業なのですから、既存事業がやりたくでもなかなかできない業界や慣行の歪を見つけ出し、そこを炙り出すことで利益を上げていこう、世の中を合理的にしていこうという働きがメインです。したがって、どうしてもグレーゾーンだけど法的対応される前にきっちり稼いでシロにしていこうぜ、あるいはクロにされる前に稼ぎ切って複数の事業の柱を作る原資にするぜ、ということであればまあ分からなくもないのです。

このあたりの、ベンチャー界隈特有の活気ある海賊気質と、業界秩序と消費者保護などスーツを着た人たちのかっちりした世界とを組み合わせてより良い方法をバランスよく模索できるスケール感のある会社ってできないものなんでしょうか。あるいは、そういう企業家って出てこないものなんですかね。

いざ話を聞いてみるとアイドルや女優の誰それを抱いたとか、一晩で麻雀で何百万勝ったとか、まあそれは武勇伝としては面白く聞くんだけど、そういう破天荒だけが企業家じゃないよって言いたい気持ちを、どうか理解してください。俺は結婚しない主義だといって複数女性と子供作っても許されるのは、あなたのやっている事業の調子がいい間だけです。それを止められる人、何かあったときトラブルシュートできる人を、周りにちゃんと置いてくださいね。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路

Vol.149 ドローンがダボハゼ的に当局に使われるのはしょうがないと思いつつ、ガチャ問題でゆれるソシャゲ界隈の法的措置を生暖かい気持ちで眺める回
2016年3月01日発行号 目次
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目次
【0.序文】トップストーリー
【1. インシデント1】IoTやAIが当たり前になるとき誰がどう責任をとるのかが改めて問われることになりそうです
【2. インシデント2】ソーシャルゲーム業界とエクストラ
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。サイバーインテリジェンス研究所統計技術主幹など歴任。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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