やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

揺れる情報商材 違法化、摘発への流れが強まる


 表題は少し踏み込み過ぎではあるのですが、一応問題提起する話が徐々に増えてきたこともありまして記事にしてみようと思いました、はい。

 NHKの報道内容の通りではあるのですが、幾つか補助線がありまして、現状では野放しになっている「情報商材」が物品の対価を伴わない詐欺的な行為の一部として被害の申し立てが急増しているというのは事実としてあります。

https://twitter.com/nhk_news/status/1075939959935258624

【ネット広告 トラブル 情報募集】ネットやSNSの広告をきっかけにした消費者トラブルが増えています。もうけの方法を語る情報商材から、化粧品やサプリメントなどのフェイク広告まで、ネット広告の闇を追跡中。(クローズアップ現代+)情報やご意見をお寄せください。

 
 その意味では、当メルマガもそうですし、電子書籍の類は大概において情報商材と同じですし、また、何々の効用があるとする情報を売るにあたって書籍なら構わなくてオンラインならアウトというのはなかなか線引きのむつかしい議論ではあります。また、書かれていた効用が得られないという消費者トラブルにおいては、特に頻出するのは健康情報やダイエットなど特定の分野にまず一山あり、また、レシピや自己啓発、美肌(アンチエイジング)などがあったうえで、さらに投資商品・投資情報、競馬やぱちんこなどギャンブルに関連する必勝系情報などなど、問題となりそうなものはそもそも昔からあったのです。

 とりわけ、健康情報についてはWELQ問題のように明確にこれはマズいというレベルのものもあれば、逆にアレルギー・敏感肌対策のように人によって全く効用が異なるものもまた多々あるのが現実です。ここまで来ると、規制をしよう、被害を認めて摘発するぞといっても、実際に効用がある人がいないわけではないという反論が出た瞬間に無理筋になってしまうため、ただでさえむつかしい経済事犯の摘発という筋論で言えばこの手の問題は幾ら被害者が騙されたといきり立っても「筋悪案件」として取り上げられることはあまりなかったわけであります。

 ところが、先日有名YouTuberのラファエル氏が手掛けた投資商品で被害者が続出し、どうも被害届が出されたようで刑事事件化する動きが出始めています。どう推移するのかは良く分かりませんが、さすがに放置できない大型案件が出て、大人が見て「これはもうだめだろう」ということで、界隈に対して一定のガイドラインでも出す方向へ5年なりかけて動いていくのかもしれません。

人気YouTuber「世界一儲かる投資」「利回り80%超!?」 紹介動画が波紋
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/raphael

ユーチューバーの炎上商法を、グーグルはいつまで放置するのか(徳力基彦)
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20181221-00108433/

 
 ただまあ、この手の動きは児童ポルノでも海賊版対策でも時間がかかるものですし、前述の通り「問題だからと言って、それによって助かった人がいたり、騙す意図が確認できないなどして経済事件にならない」という事例も多いので、むしろ刑法詐欺罪のような代物よりも景品表示法違反のようなカジュアルなネタでやるほうが一般的なのではと思う部分はあります。

 また、徳力さんが指摘している通り、こんなのをまかり通らせるプラットフォーム事業者の問題はあるだろうと言われるとその通りで一理あります。ある意味で、フェイクニュースと同様の事態ですから、どういう受益の構造があるのかを見極めてやっていかなければならなかろうと思うわけであります。

 それを言い出したら、今年はじめの仮想通貨バブルのときにどれだけのしょうもないゴミコインが高値で投資家に売りつけられたのかを見つめてみると、そもそもが情報商材に飛びついている本当にマズそうな人たちというのは未公開株詐欺や地面師紛いの人たちもたくさんいますし、あるいはネットベンチャーが広告収入欲しさにバズりそうな話題をネットで広めることだけを考えて運営しているケースもあります。どこから手を付けるのだろう、という話で言えば、やはり一番目立つ人、分かりやすい事件が対象になるのであって、そのあたりも踏まえて「誰が一番最初に吊られるのか」という人狼的な雰囲気を感じます。

 当メルマガをお読みの方はそういうアンテナが高い人であろうとも思いますけれども、それでもやはりちょいちょい当メルマガの相談宛に「騙されたんですが、お金は取り返せませんでしょうか」という内容が送られてくるぐらいには一般的なことなのかなとも感じます。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.248 情報商材摘発の可能性に触れつつ、ソフトバンク大規模通信障害や大手プラットフォーマーの動向からあまり明るくない2019年をうかがう回
2018年12月27日発行号 目次
187A8796sm

【0. 序文】揺れる情報商材 違法化、摘発への流れが強まる
【1. インシデント1】ソフトバンクの大規模通信障害に思うこと
【2. インシデント2】2019年はネット広告とアドテク整理の年になる?
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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