※高城未来研究所【Future Report】Vol.638(9月8日)より
今週も、東京にいます。
台風による曇り空や雨模様が多い今週ですが、自著「いままで起きたこと、これから起きること。〜「周期」で読み解く世界の未来〜 」にも記載しましたように、地球を含む宇宙には人智を超えたサイクルがありまして、古くから日本でも二十四節気・五節句などのほかに、「二百十日」と呼ばれる暦日があります。
「二百十日」は、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた雑節のひとつで、立春を起算日として210日目の9月1日ごろは、昔から台風の多い日、もしくは風の強い日だと言われてきました。
阿蘇山で嵐に遭遇した夏目漱石の実体験に基づく小説『二百十日』や風の神様の子を描いた宮沢賢治『風の又三郎』は、どれも9月1日前後の出来事であり、そのため全国各地の神社で「風鎮祭」や富山の「おわら風の盆」など、いまも毎年9月頭に風鎮めの祭りが催されています。
江戸時代前期の天文暦学者で神道家だった渋川春海による、初めて日本人の手で編纂された和暦「貞享暦」にも「二百十日」の記載があります。
また、大正12年9月1日に起きた関東大震災は、木造住宅が密集していた当時の東京に強風が吹き込んだため、火災が3日間続き、一般的に地震災害の第一死因となる圧死ではなく、焼死によって多くの人たちがお亡くなりになりました。
一方、気象には「特異日」というものもありまして、その理由は解明されていませんが、なぜかその日には特定の気象現象が起きやすくなる事実があります。
日本で大型台風が来襲しやすい特異日は、9月17日頃と26日頃だと言われおり、枕崎台風や伊勢湾台風など気象観測データが残る巨大台風が上陸した日も、この両日にあたります。
つまり、9月こそ気候の変化にもっとも注意しなければなりません。
「特異日」のことを英語では「シンギュラリティ」と呼び、ドイツの気象学者アウグスト・シュマウスによって研究が行われたことから、元来は気象に用いられていた言葉でしたが、近年は転じて何らかの社会的・政治的事件が集中して起こる日を指すようになりました。
発明家にして思想家のレイ・カーツワイルによれば、2045年に技術的特異点が訪れ、この年、技術的「成長」が指数関数的に続く中で人工知能が「人間の知能を大幅に凌駕する」と予測し、ここから「われわれが超越性(スピリチュアリティ)と呼ばれるものに遭遇する」時でもあり、「特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能になって、運命を超えた力を手にすることになる」と述べています。
大きな出来事が起き、世界や各人の命運が分かれる「特異月」とも言える9月。
日々の装備も含めて、変化のための準備を怠らないことが個々の命運を大きく分けるのだろうな、と歴史的考察から考える今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.638 9月8日日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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