岩崎夏海
@huckleberry2008

岩崎夏海【Q&A】より(その3)

アイデアを生む予定表の「余白」

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[Q]時間を有効に使うにはどうしたらいいですか?

[A]マルチタスクと予定表の「余白」がカギ

起業するにせよ会社に勤めるにせよ、いざ働き始めた時にまず心がけたいのは、「仕事の能率」を上げる、ということです。仕事のできるできないは、つまるところ「仕事の能率」で決まるともいえるでしょう。こなす量が多かったりスピードが早かったりすることが、周囲にとっては最大の評価要因となるのです。

そして、仕事の能率を上げようと思ったら、まずは「時間を戦略的に使うこと」から始めるといいのではないでしょうか。

例えば、ぼくは仕事を「マルチタスク的」にするよう心がけています。1つの仕事に集中するのではなく、3つの仕事に分散させています。なぜかというと、その方が「時間の使い方」として効率的だからです。

ぼくが放送作家をしていた若い頃、まだ受け持つ番組数が少なかった時には、1つの番組に対してずいぶんと長い時間を掛けてアイデアを練っていました。

しかし、その頃に生み出したアイデアというのは、今振り返るとちっとも面白くありません。なぜなら、時間がありすぎると変にアイデアをこねくりまわしてしまうので、勢いがそがれるからです。それに、集中力もそれほど続かないから、途中で休憩せざるをえないので、結局効率もとても悪かった。

ところが、やがていくつか並行して番組を受け持ち、マルチタスク的に仕事をするようになると、不思議なことに、アイデアの質も量も向上しました。

時間がないから、自然と緊張感が生まれ、集中力が持続するようになりました。それに、適度なところで切り上げるから、勢いも保たれます。また、一つの仕事が終わればまた別の仕事に取りかかれるので、飽きるということがなく、休憩も少なくて済みました。

そんな正のスパイラルが起こったので、仕事がどんどんとうまく回るようになったのです。

それ以来、ぼくは仕事に時間を掛けないことと、いくつかの仕事を同時に掛け持つことを自分に課すようにしてきました。その方が、仕事の質も量もぐんと上がるからです。

ただ、その際に注意しているのは、「仕事をやった気になる」ことです。

マルチタスク的な仕事のやり方で陥りやすいのは、自らの「忙しさ」に安住してしまい、いつしか仕事の目的が「忙しさを追い求めること」となってしまうことです。そうなると、あえて時間のかかりそうな仕事ばかりを選ぶようになるので、やがて仕事の能率は下がってしまいます。

放送作家をしていた時、番組会議に何時間でもつき合っていた時期がありました。夕方から始まって朝まで、12時間以上続くような会議を毎週のようにこなしていました。

しかし当時は、それを疑問には思いませんでした。なぜなら、そういうふうに予定が詰まると、仕事をした気になれたので、とても安心できたのです。

しかしながら、今冷静に振り返ると、半日も続くような会議は大半がくだらないおしゃべりかボーッと雑誌を読む時間で埋められていました。そのため、能率はもちろん、成果もほとんど上がっていませんでした。それは、短くすればよっぽど捗るような会議だったのです。

そのことに気づいてから、ぼくは、仕事に対する新たな考え方を持つようになりました。それは、「忙しくならない」ということを自分に課す――ということです。「仕事」と同時に、「遊び」や「何もしない時間」も、あらかじめ予定に組み込むようにして、それを含めての「マルチタスク」にしたのです。

そのためぼくは、今も夕方5時以降は仕事をしないようにしています。土日や休日も、よっぽどのことがない限り予定を空白にしています。

そういうふうに、遊んだり空白の時間を設けることも、仕事の能率を上げる一つの方法なのです。

これもやっぱり放送作家時代に経験したことですが、明日の朝8時までにやらなければならない宿題があった時、前日の夜12時頃に家に帰ってきたりすると、「あと8時間もある」などと安心して、眠い目をこすりながら、だらだらとアイデアを練っていたりしました。

しかし、気がつくと眠気にうつらうつらしたりして、集中力は全く上がらず、結局8時間をフルに使っても、大したアイデアは思いつけなくて、ちっとも成果が上がりませんでした。

そこである時、思い切って前日の晩は寝ることにしたのです。そうして、締め切りの1時間前に起き出すと、大急ぎで宿題をこなすようにしました。

すると、不思議なものでそういうふうに切羽詰まると、集中力が増し、良いアイデアが出てくるようになったのです。あるいは、思いついたものをそのまま出すから勢いも生まれ、それが高評価につながったりもしました。しかも、ちゃんと睡眠を取っているので、その後の時間も有効に使えるようになったのです。

思えば、若い頃の自分は「遊び」や「休息」の時間を考慮に入れず、時間の使い方を設計していました。いや、そもそも時間の使い方をどうするかというプランや戦略さえ持たず、場当たり的に目の前の仕事をこなしていたのです。これでは、能率や成果が上がるはずもありません。

そうした反省を経て、今では遊びや休みまでをもインクルーズしたマルチタスク体制を構築し、日々の時間をマネジメントしています。時間というのは、あらためて考えると実は「有限」なので、それをどう使うかということは、仕事を円滑に進めるためにはとても重要なのではないでしょうか。

 

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岩崎夏海

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

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1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

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