FT独自の中国語記事は、中国語で読める最もグローバル視点のものといえる
FT中国語版にはもう一つ特徴がある。それは中国語版のためだけに書かれた、さまざまな中国人バンカーや金融コラムニストによる論評記事だ。クレディ・スイス(UBS)や香港上海バンク(HSBC)など、今中国市場において多くのメディアに引用されるアナリストたちのコラムがここに詰まっているのである。
さらにIT、中国社会、外交、そしてメディアなどもともとその範囲は金融だけにとどまらず、FT中国語版の開設当初(2005年)は、大学を卒業し、社会を引っ張っていく新しい世代にとって「読むべきニュースサイト」だった。当時は一部には批判もあったが、有能な各分野のコラムニストを原稿料無料で集めており、書き手にとってもメンツの立つメディアだったのである。
実はわたしはNewsPicksの創設当初、この中国語コラムを翻訳転載したいと思っていた。あまりにも「業界の中の人による、密接な現場コラム」だったからだ。だが、FT中国語版編集部からFTイギリス本部へと回された依頼は、FT中国語編集部からの「お断り」として届いた。お金の話も、取り扱い方も、まだまったく話をしていない状態での「お断り」に、FT本部は中国語の世界で語られている話題をFTの名前で海外に出したくないのだな、とわたしは感じた。
中国でFT買収はどう語られているか
そんなだったから、当然のこと、今回のFTまるごと日経への買収話は、中国でも、特に経済や金融を司るエリート層にはショッキングに受け止められている。
買収を伝えるメディアのほとんどは、すでに英語メディアや日経が報道したそれの中国語翻訳で、たんたんと繰り返し語られた事実が中国語化されただけだ。もちろん、FT中国語版も、英語サイトで発表された買収に関する話題を翻訳して伝えている。買収に関する基本的情報はすでにひと通り中国側に伝わっていると言っていい。
そこからどんな視点が生まれるのか。それが今回わたしが注目していたことだ。やはり、中国を知る意味で、非常に面白い論評が出てきた。
一つは上海のネットメディア『澎湃新聞』(The Paper)の記事。この『澎湃新聞』は、上海で人気が高い新聞『東方早報』が始めたネットニュースサイトだが、もともとその背後には上海の政府系メディアコングロマリットが大きく関わっている。2014年に設立されて以来、急速に人気ニュースサイトに成長したが、ややもすると政府系の誘導記事なども見られ、ニュース性はあるものの、その立ち位置は「政府寄り」とされるメディアだ。
『澎湃新聞』は「FTが日本人に売却された、あなたは読み続けますか?」(http://bit.ly/1OH43cA) というタイトルで……
(この続きはふるまいよしこ氏(@furumai_yoshiko)の『§ 中国万華鏡 § 之ぶんぶくちゃいな vol.99 増刊号 話題: なぜ『フィナンシャル・タイムズ』は売られたのか』をご購読ください!)
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