高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

温泉巡りで気付いた看板ひとつから想像できる十年後の街並み

高城未来研究所【Future Report】Vol.282(2016年11月11日発行)より

(photo by hiroooooki CC BY 2.0)

今週は、九州北部の温泉をまわっています。

仕事と仕事の合間に数日空いたこともありまして、久しぶりに温泉巡りを再開しました。
その昔、日本中の名湯を見つけようと、あちこち訪ね、九州では鹿児島県と宮崎県のすべての温泉地を制覇したことがあります。
その後、欧州に転居してしまい、なかなか日本の温泉を巡る機会を得ませんでしたが、今週、久しぶりに黒川温泉、湯布院、別府などを数日かけて、まわってみることにしました。

まず、どこも東アジアからの多くのゲストに驚きましたが、黒川温泉は、まだまだ情緒や温泉街らしさが漂っています。
歓楽的要素や派手な看板を廃した統一的な町並みは、いまも健在ながら、規模を上手に少しづつ拡張しているのが伺えました。

もともと黒川温泉は、宴会客中心(パーティーピープル中心)になって一度ダメになった温泉街ですが、当時の新明館の当主が、まるで僧侶のように洞窟をノミ一本でコツコツと掘りはじめ、それが洞窟風呂となって話題を呼び、見事に復活を遂げた温泉地です。
その復活劇と再定義=「街全体が一つの宿で、通りは廊下、旅館は客室」が、いまも世代を超えて引き継がれていることを実感しました。
かつて、誰でも彼でも呼び込んで失敗した反省をするように、いまは訪れる客を選んでいるようにも見えます。

一方、湯布院も同じように東アジア全般からのゲストが多いのですが、タウンマネージメントがまったくダメな街に変貌していました。

多くの人が目にする街中の案内板が汚いのは論外で、各々の宿は自分の敷地の他は、とても手が回ってない(あまり考えていない)様子が見えています。
今回、若い四代目当主が率いる有名な老舗旅館に泊まりましたが、なによりスタッフ間のコミュニケーションが悪いのに驚きました。
個々の若い現場スタッフが良くとも、おそらく中間管理職の仕事が悪いため、顧客が望む情報共有ができず、サービスに支障が出ています。
まさに、いまの日本の現状を、湯布院の老舗旅館で見た感じでした。
この宿の全体のまとまりのなさが、湯布院全体のまちづくりににじみ出ています。

共に観光カリスマと呼ばれる人たちが再興した場所ですが、時は流れ、未来がふたつに分かれていくのを実感した、久しぶりの九州北部の温泉めぐりでした。

街の看板ひとつから、十年後の街並みが想像できますね。
残念ながら湯布院には、かつて通っていた良い客が戻ることは、もうないでしょう。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.282 2016年11月11日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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