高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

日本が抱える現在の問題の鍵はネアンデルタール人の遺伝子にある?

高城未来研究所【Future Report】Vol.292(2017年1月20日発行)より


今週は、千葉県木更津にいます。

新年会、仕事、新年会、仕事と寒さ募る中、この1月は日本全国を回っていまして、ここ木更津には、日本有数の遺伝子研究所にリサーチのため訪れています。

このメールマガジンでも多くのご質問を頂戴しますDNA検査は、いままで根拠となる論文や臨床データの大半がコーカソイド、いわゆる白人中心ということもあって、不確かなものも多くありました。

すでに遺伝子研究において、日本はかなりの遅れをとっておりまして、世界最先端と言われるのは中国のBGI(北京ゲノム研究所)で、キーテクノロジーの次世代シーケンサーをもっとも保有しているのは、BGIの深セン研究センターです。
それに続くのが、米国となります。

では、日本がどれくらい遅れているかと言いますと、実はそれなりの精度を伴った日本人のフルシーケンスが完全に終わったのが昨年2016年でして、日進月歩のこの業界において、また、次世代医療の鍵となる遺伝子研究において、とても先進国とは言えないのが現状です。
このように遅れてやっとわかった日本人の遺伝子は、驚くことに絶滅したネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子がもっとも残っている種の可能性が高いと言われています。

ドイツのマックスプランク研究所は、絶滅したネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子調査を長年続け、TLR1とTLR6、TLR10というネアンデルタール人とデニソワ人特有の3つの染色体を起源であるはずの現在のアフリカ人を探しましたが、発見できませんでした。
そこで、ヨーロッパ人と東アジア人(遅れてわかった日本人含む)、アフリカ人などの現代人の14集団のエリアを調べたところ、TLR系の遺伝子を最も多く持つのが東アジア人(主に日本人)で、他の集団と比べても約51%高いことがわかったのです。

なかでも注目は、米バンダービルト大などのチームが米科学誌「サイエンス」に発表した論文で、これによれば、ネアンデルタール人の遺伝子は、うつ病や気分障害が顕著で、遺伝情報を担うDNAの塩基配列に、ネアンデルタール人との混血に由来する変異がある人は、これらの病気の危険性が増すという発表です。
世界的に見ても人口比で高い日本の自殺率やうつ病は、もしかしたら、ネアンデルタール人の遺伝子と関係しているのかもしれませんし、ホモ・サピエンスの社会システムと合わないのかもしれません。

また、いままで6万5000年前から7万年前に我々ホモ・サピエンスはアフリカを出たとされてきましたが、どうやら10万年以上前にアフリカを脱した可能性が高いこともわかってきました。
ホモ・サピエンスとネアンデルタール人との間の異種性交渉が確認された最古の事例は、ロシアとモンゴルの国境付近に位置するシベリア南部のアルタイ山脈の洞窟で発見されたネアンデルタール人のゲノムで、 その21番染色体に刻まれていたのは、人間のDNAの痕跡だったことが判明し、これらから推察されるのは、10万年以上前にホモ・サピエンスがアフリカを出たことを明らかにしています。

このように、大きな人類史が覆るほどの発表が毎年続き、遺伝子はまだまだ未解明な点が多いのが現状でして、最先端テクノロジーを駆使すれば、確かに誰でも安価にフルシーケンスすることは可能ですが、それを読み解くにはもう少し時間が必要だと思われます。
これは、ホロスコープとそれを読み解く占星術師の関係にも似ており、生まれた時間と場所の星の位置は一生変わりませんが、そのホロスコープを読み解く占星術師やタイミングによって、まったく違う答えになることが多々あるのです。

確実性の高い遺伝子情報が年を追うごとに開明されているのは間違いないのでしょうが、たったひとつの論文で人類史が変わってしまうこともあるのが、遺伝子情報の面白さでもあり、危うさでもあります。
だからと言って、全否定するのではなく、膨大なデータと巨額な研究費を必要とするのでしょうが、90年代のデジタル革命、00年代のモバイル革命、2010年代のメディカル革命のすべてに乗り遅れてしまった日本は、先進国の中でも後塵を拝しているのが現状です。

面白いのは、自国民の遺伝子を解析することは、各国とも歴史の再考察やナショナリズムのように考えている点ですが、なぜか日本では、そのような風潮も生まれていません。

一兆円の市場規模を持つ、世界最大の占い市場を抱える日本は、日本人ならでは遺伝子情報の解析より星占いのほうが重宝されているように僕には見え、同時に根拠のない根性論や気合いのようなものは正当化されますが、これらももしかしたらネアンデルタール人由来なのではないか、と最近考えるほどになりました。

もし、歴史が再び巡るなら、ネアンデルタール人同様、もっとも絶滅に近い人種が日本人ということになりかねません。
「不思議の国ニッポン」と諸外国から囁かれる絶滅危惧種の人々の国。

いったい、なぜネアンデルタール人は滅びたのか。

少子高齢化をはじめとする日本が抱える現在の問題の鍵は、意外なところにあるのかもしれません。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.292 2017年1月20日発行発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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