川端裕人メルマガ・秘密基地からハッシン!より

「けものフレンズ」を見てみたら/アマゾン・イキトスで出会った動物たち

川端裕人メールマガジン「秘密基地からハッシン!」Vol.034より
 
熱狂的な人気を集めつつある動物擬人化アニメ「けものフレンズ」。このアニメを『動物園にできること』などの著書がある小説家&ノンフィクションライター川端裕人はどう観たか? 

合わせて「秘密基地からハッシン!」最新号から、南米ペルー、アマゾン川上流の網の目状の水域の中にある街「イキトス」の動物園探訪記をお届けします。
 
 

<筆者撮影>

もしも、この週末に動物園にいって、なぜかサーバルの前に人だかりができていたりしたとします。

あるいは、アルパカの前で「モフモフでボリューミー!」と感動していたり、プレーリードッグの前で「こいつは尾黒か?」とか気にしている人がいたとします。

こういった人たちは、普段、動物園に来ないけれど、とある共通の理由で、この数週間のうちに動物園への興味をかきたてられ、足を運んだ人たちです。

「あ、フレンズの人たちですね。わーい、たのしーい!」とか言ってあげるといいです。

 
 

野生動物たちを萌え擬人化!

さて、アニメの話をします。

小学生の時に「宇宙戦艦ヤマト」、中学生の時に「機動戦士ガンダム」や「赤毛のアン」を見て育ったわたくしも、成人し、就職してからは、しばらくアニメを見ていませんでした。

それが、「銀河へキックオフ!!」のおかげで本格的にまた見るようになって(なにしろ知り合いが制作側だったり、出演したりしているものが結構あるわけで、楽しみ倍増です)、以来、常時、毎週、2つ、3つくらいはウォッチするようになりました。

今期の話題作といえば、「キルラキル」のトリガーが作っている「リトルウィッチアカデミア」ですよね! という予想を反故にして、赤丸急上昇中なのが「けものフレンズ」。(「リトルウィッチアカデミア」も大変よいです)。

架空の動物園「ジャパリパーク」(超巨大なサファリランドのようなもので、生物地理学的な配置になっている模様)を舞台に、なぜか人間(少女)に姿を変えてしまった動物たちアニマルガールたちが登場します。

サーバルちゃんは、主役級の一人です。「銀河へキックオフ!!」の主役、翔くんを演じた小林ゆうさんは、ツチノコ役です(時々、UMAも登場します)。

野生動物たちをいわゆる「萌え擬人化」したアニメで、生き物好きにしてみると賛否両論あるでしょう。動物園の人たちは、常に過剰な擬人化と戦っているともいえますから。いや、それ以前に「萌え擬人化」が嫌いな人はそれだけでアウトかも。

 
 

ホンモノの飼育員による解説など凝った仕掛けも

でも、実際に見ていますと、なんともいえぬ脱力感のある雰囲気、深そうで明かされない設定の謎(どうやら人類は絶滅した後なのかもしれない)、擬人化されつつもそれ故に際立つ動物のマニアックな特徴など、もろもろ興味深いです。おまけに、要所要所に、現役の本物の動物園飼育員の本気の解説が入るという、贅沢な構成。本当に不思議な雰囲気を醸し出しています。

ぼくは最初、飼育員が出演するというので見ていたんですよね。

これまで出てきた動物園の飼育員は、東武動物公園とか、夢見ヶ崎動物公園とか、江戸川自然動物園とか、天王寺動物園とか、多摩動物園とかの人で(あの人やこの人たち!)、時に、もそもそ、時に楽しげに語ってくれています。あ、顔出しではないですよ。声だけです。

そして、その出演が後押ししたのかしなかったのか、まずは、不思議な総合的魅力でもって、「けものフレンズ」は今期の覇権アニメとまで言われるようになりました。

ファンも多いですよ。すごくふえてますよ。

サーバルは安定の人気ですよ。でも、ほかの動物にも萌えを感じる人たちが続出ですよ。自分の観測範囲では、ハシビロコウがブレイクしています。

そういう背景がありまして、ぼくのtwitter観測によれば、けものフレンズを求めて、地元の動物園に行こうと計画しているフレンズがいっぱいいるみたいなのですよ。

なお、本篇は、今、無料公開されているみたいです。全部の回かどうかは自信がないけど。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00871/v12267/

このリンク以外にもニコ動でも見られるかもしれません。

さて、動物つながりということで、今号34号「どうすいはく」から一部をお届けします。

原稿を準備する段階では、特に意識していたわけではないのですが、ふと気づくと、この回の主役、カワウソなんです。フレンズの人気が、マックスなカワウソです。

偶然だけど、たのしーい!

擬人化される前の、ネイティヴな姿を御覧ください!

と言いたいところですが、実は、このカワウソ特別でして……まあ、どんなふうに違うのかはご自分の目で見てあげてください。
 
 

イキトスの動物園で出会ったオオカワウソ

以前、南米ペルー、アマゾン源流の都市、イキトスにて、野生動物の保護施設CREAで「オオカワウソ」の子どもの保護個体を紹介しました。

画像はこちら。


2016年10月21日Vol.026より
 
 
すると「その子は分布域が重なるオナガカウソ!」と指摘をいただきました。さすが、わが最強のクルー(読者)たちであります!

なにしろ、オオカワウソも、オナガカワウソも、どっちにしてもレアで、「実物を見たことない! うらやましい!」というコメントまでいただくと、豚に真珠、猫に小判で、なにかしら馬耳東風(?)なかんじの気分にもなり、申し訳ないやらなんやら。

というわけで(?)、今回は、本物のオオカワウソがいるイキトスの動物園「キストコンチャ」を軽く散歩しましょうか。CREAのすぐ近くにあったので、ちょっと覗いてみたのですよ。

名前は、スペイン語ではなくて、現地の言葉で「キリスト湖」みたいな意味で、なおかつ、キストコンチャ湖のほとりにあるからここも「キストコンチャ」なのだという説明を受けたけど分かったようなわからないような。

実際に湖のほとりの斜面を使った敷地のようですね。まあ、難しいこと考えずに、入ってみましょうか。
 
 

園内のそこかしこにアマゾンらしさを感じる

入り口には、アマゾンカワイルカやジャガーが描かれた看板があって、どうやら、アマゾンに焦点を絞ったコレクションプランなのかも、と想像します。

入場料は、子ども1ソル、大人9ソル、イキトスの人は4ソル。

ローカルな市民と、よそから来た人の間に差をつけてましたね。

ちなみに、1ソルは30円強くらいなので、単純に日本円換算すると、外国人は300円近く、イキトスの人は120円くらいで入ることができることになります。

これでも、たぶん地元の人にとっては結構いい値段なのかもしれません。でも決して高額というほどでもないようです。

では、緑の木立の中、斜面を降りて、展示をみてまいりますか。

でも、その前に、ハキリアリが道を横切って葉っぱを運んでいるシーンにあちこちで出会ってさすがアマゾンってかんじです。


〈アマゾンぽさがずんずん伝わってくる〉


〈園内地図。湖に面した斜面に作られた動物園〉


〈ゲートから先、いきなり斜面。降りたところに動物がいる〉


〈がんばれハキリアリ〉

さてさて、どんどん坂をおりていって、最初に見た展示、なんだと思います?

 
 

謎のイルカ展示

まさにアマゾン!というかんじが全開の、アマゾンカワイルカ!

これがですね。本当に不思議な光景。

青いフェンスで囲まれたプールで飼ってるんですけど、小さい子が中にはいって、でっかいブラシで歯磨き(?)しようとしてるんです。

ふれあいプログラム??イマイチよくわからないぞ!と思いつつ、単純に見ている分にはほのぼのとしてましたけどね。

そういえば、日本では動物園にイルカがいるのはあまりきかいなけれど、ヨーロッパは水族館じゃなく、動物園にいることがよくありますね。一方で、北米では、動物園にイルカはいませんね。そういう微妙な差もおもしろいです。

それにしても、いったい、このセッションはなんだったんでしょ。


〈イルカの展示にて〉


〈いったいなにをしようとしていたのだろう〉

なんか釈然としないまま、先に進むと、ちょっと先にありましたよ。
 
 

「キャラ」が立っていた! アマゾンオオカワウソ

今回、大いに期待していた、アマゾンオオカワウソです。

結構、園内でも人気の展示のようで、人だかりができてました。カワウソって動きを見ていて飽きないから、日本の動物園でも、うまく行動を引き出して人気者になっているところ、結構ありますよね。

でも、ここのオオカワウソは、とりたてて大きな仕掛けがあるわけではなく、天然の行動(?)をしてました。常同行動もそれなりに。

それにしても、オオカワウソって、ルックスがいいというか、キャラが立ってます。

なんか「悪いやつ」です。顔つきが悪い。悪いとこに惹かれますね。「爬虫類ぽい」とか言う人もいます。たしかに言われてみれば、顔が扁平でやや爬虫類的ですね。

とにかく、オオカワウソを御覧ください、と言っておきながら、別のカワウソだったので、これがオオカワウソっすからね! ということで。


〈オオカワウソがいる放飼場。左下に泳いでいる〉


〈泳いでいる分には普通のカワウソ〉


〈ちょっと、キリッとしてますかね〉


〈上陸。指と水かきが立派ですねぇ〉


〈この表情! なんか悪そう!〉

その先、どんどん歩きます。

やっぱり、アマゾンの動物ばっかですね。
 
 

そのほかの展示は…

目立ったのはジャガー。現地では、Otorongo、オトロンゴって言うのですね。

あと様々な新世界ザル、ブラジルバク。アナコンダ!なんかもいました。

さらに、屋内に小水族館などがあって、主役はデンキウナギとか。

概して、施設は古く、特に新世界ザルなんかは、かわいそうなかんじのやつが多かったです。


〈ジャガーさん〉


〈ブラジルバクさん〉


〈ウーリーモンキーさん。なんかアニマルライツ団体のウェブページに出てきそうな表情〉


〈同じく〉


〈リスザルさんは、もっと情けない表情〉


〈デンキウナギ〉

なんとなく展示のモダン化が見られたのは、ただひとつ、black faced spider monkeyですかね。

これは、檻形式ではなくて、垂直空間もふんだんに使えるようにしてありました。

もっともうっかり、全体像を撮影するのを忘れてしまったので、広さとかあまり思い出せないんですけど。ひとつの完結した展示として、ちょっと離れたケージ群とは一味ちがったかんじでしたね。



〈竹みたいなものを立てかけてあって、上下を行き来していた〉

なお、動物園の中に、ビーチがあって、湖で水遊びができるようになっていました。

これが、園名にもなっている、キトスンコンチャ湖なんですね。

ぼくが訪ねた時は、一応雨季だったんですが、雨が少なめだったそうで、この時期、水に浸っていてしかるべきマングローブは陸地の上に。これはこれで風情がありますね。

きっと日本に来ていない動物もいる動物園なので、マニアックな人にはオススメかもしれないです。

CREAから近いし、アマゾンマナティを見に来たら、一緒にこっちも見ていけば? みたいなかんじの動物園でしたね。

「けものフレンズ」的な世界観でいえば、「あまぞんちほう」みたいな区画に、ごっそりこの動物園を持ってきてもよさそうです。

そこのカワウソは、「わーい、たのしいー」じゃなくて、「おらおら、たのしいぜー」と荒ぶっているかもしれません。


〈陸上のマングローブ林〉


〈ビーチにて〉
 
 
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川端裕人メールマガジン『秘密基地からハッシン!

2017年2月17日Vol.034
<イキトスの動物園で出会ったオオカワウソ/タバコ問題を考えなおす(下)/ラルフ・ウィスラーの「ドードーハウス」を訪ねる前編/北京の知られざる「世界天文遺産」たち/再読企画>ほか

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目次

01:巻頭特集【カナダ、恐竜と古生物の旅】
02:keep me posted~ニュースの時間/次の取材はこれだ!(未定)
03:どうすいはく:イキトスの動物園で出会ったオオカワウソ
04:宇宙通信:北京の知られざる「世界天文遺産」たち
05:秘密基地で考える:タバコ問題を考えなおす(下)
06:連載・ドードーをめぐる堂々めぐり(34)ラルフ・ウィスラーの「ドードーハウス」を訪ねる 前編
07:著書のご案内・イベント告知など
08:特別付録「動物園にできること」を再読する:第七章「方舟の乗客たち〜種の保存計画をめぐって」

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川端裕人
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。普段は小説書き。生き物好きで、宇宙好きで、サイエンス好き。東京大学・教養学科卒業後、日本テレビに勤務して8年で退社。コロンビア大学ジャーナリズムスクールに籍を置いたりしつつ、文筆活動を本格化する。デビュー小説『夏のロケット』(文春文庫)は元祖民間ロケット開発物語として、ノンフィクション『動物園にできること』(文春文庫)は動物園入門書として、今も読まれている。目下、1年の3分の1は、旅の空。主な作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、アニメ化された『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)、動物小説集『星と半月の海』(講談社)など。最新刊は、天気を先行きを見る"空の一族"を描いた伝奇的科学ファンタジー『雲の王』(集英社文庫)『天空の約束』(集英社)のシリーズ。

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