
私が外野として語るべきことはすでにBuzzFeedの古田大輔さんが書いておられる内容でほぼ納得しているわけですが、この「#metoo」問題については、本来なら当事者間、あるいは本当に解決したいのであれば代理人を立てて法的に処理するべきことが、一方的な告発という態を取ると簡単にこじれてしまうことに問題があるように感じます。
はあちゅうと #metoo への批判 ハラスメント社会を変えるために共感を広げるには
ハラスメントという点では、今回は告発をした側のはあちゅう(伊藤春香)さんがいまなお童貞いじりをネットで繰り広げることで、女性に対するセクハラと同じように男性に対しても同じような嫌がらせをするのは辞めようという話がさらに告発する資格とか告発の延焼などの問題に容易に広がっていってしまうというのが気になるわけです。
もちろん、程度問題もありますし、告発する内容や人物の信憑性の問題は付きまといます。例えば、宴会で酒の入った上司が部下の女性に同情して「結婚しないの?」と訊くことそのものがハラスメントという扱いになるかどうかはその部下の女性がどう受け止めたかであって、上司がどういう真意であったかは問題にはされません。極論を言えば、傷ついたと思ったら、それはハラスメントということになります。しかしながら、その場では酒の席だからと流していた人が、後になってあの上司はけしからんと突然告発をし始めたとしたらどうでしょうか。
これが、仮に本来の「#metoo」問題の枠内で語るならば、本来は権力を背景にした肉体関係の強要を断れなかった、というようなハラスメント以上の何らかの暴力に関りがあるべきものです。言論の自由や表現の自由のレベルにまで踏み込んで何かを制限しようという問題ではなかったはずです。
しかしながら、小島慶子さんが書いておられるように性的なロールや、いじられキャラのようなラベリングが人に与えられ、それに対して本人が不快と感じる「いじり」があるならば全部ハラスメントであるという風に、metooは容易に拡散していきます。以前のポリコレ棒と同じように、気に入らない何かを感情的に叩く際に正当化する道具としてハラスメントやmetooを使っていくようなプロセスはどうしても存在するであろうと思います。
結果として、今回の問題があまりにも先鋭的な爆発の仕方をしてしまったがゆえに、日本におけるmetoo運動は本件の鎮火とともに下火になっていかざるを得ないかもしれません。その意味では、実にもったいないことであったと同時に、いろんなものの黒歴史になっていくのではないかという危惧をするのです。この「誰も得をしなかった感じ」はどう落としどころを考えるべきなのでしょうか。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.211 日本におけるmetoo運動の微妙な成り行きを見守りつつ、噂の齋藤ウィリアム浩幸さん周辺についてやITセキュリティの今後の課題などを考える回
2017年12月25日発行号 目次

【0. 序文】「#metoo」が本来の問題からいつの間にかすべてのハラスメント問題に広がっていくまで
【1. インシデント1】「元」参与となった齋藤ウィリアム浩幸さんの周辺にまつわる考察
【2. インシデント2】これからの時代のITセキュリティで必要とされる考え方
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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