※高城未来研究所【Future Report】Vol.377(2018年9月7日発行)より
今週は、イングランド北部ニューカッスルにいます。
産業革命により大きく発展し、イングランド北部最大都市となったニューカッスル(アポン・タイン)は、19世紀末には、世界最大の造船所を擁していましたが、第二次世界大戦後、英国の造船業は伸び悩み、1970年代には炭鉱も閉鎖。
その後、英国を代表する「没落都市」として、知られることになります。
さて、今回この街に訪れたのは、97%の予測確率で知られるノーザンブリア大学の天文学者であり、最近、太陽と人類の未来について話題の論文を発表したバレンチナ・ザルコヴァ教授に、直接お話を伺うためです。
彼女は、「気候変動は、人間や社会の問題で、現在地球を襲う気候変動は人類一丸となれば解決できる、と思いたいのは私も同じです。
しかし、実際は太陽と地球の関係が気候変動を起こしており、太陽に関してのデータは、少なくとも最近300年間の歴史では覆されたことがないのです。
今後、1640年から1700年のようなミニ氷河期が2020年から2050年の30年間に起こり、温暖化にはなりません。
いまは、その変化の過程にいて、これに伴い人類の生き方も変わらざるをえません」と話し、数千年におよぶエビデンスを元に発表されたレポートは、世界中で大きな話題となっています。
実は、2015年ごろから英国政府やEUでは、スペースウェザーに対するリスク対策が始まっています。
いまや気候と太陽の活動が大きく関わっているのは明白になっており、太陽フレアや他の磁波などから放射線やマグネティックストーム等が地上にまで到達し、次々起こる異常気象を想定しています。
例えばサテライトシステムや地上のあらゆる電気系統がやられ、交通、運輸、作物生産にも多大な被害を及ぼし、もしそうなった場合の緊急用のエネルギーをどこから手に入れるか、国別、地域別での対応などをどうするか、という内容が議論されているのです。
すでに、英国内のプログラムからヨーロッパ全体の組織に移り、英国はNASAを含める米国と提携して研究を行なっています。
もはや単なる英国内の話ではないので、ESA(ユーロピアン・スペース・エージェンシー)とビジネス・エネルギー・産業戦略省との連携もはじまっています。
ミニ氷河期とそこに向かう激しい気候変動は、地球の規模を超えた「宇宙気候変動」なのです。
ザルコヴァ教授は、僕に話します。
「太陽を中心に楕円状に地球はまわっていますが、実は太陽自体も動いているのです。
特に木星や海王星の重力の影響を受けており、周期があります。
これにより、地球の気候は周期的に変動します。
これは、過去何万年もの植物データから見ても、明らかなことなのです。
気候変動は、人為的なものとは無関係です。
私は、地球に降り注ぐ太陽光のスペクトラムを解析し、予測を立てています。
これが、97%という高確率の予測の背景にあるのです。
今後、予想しない太陽からの磁気嵐が降り注ぐことによって、大規模停電なども多発するでしょう」。
いま、僕らが目撃しているのは、「宇宙気候変動」です。
今後、この変動はますます大きくなり、社会や個々の生活に大きな変化を与えます。
そして、「いままで」と「明日から」は、まったく別の世界になるのです。
かつて、栄華を誇った英国を代表する都市ニューカッスル。
その姿は、いまや見る影もありません。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.377 2018年9月7日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


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