藤沢数希のメルマガ『週刊金融日記』第310号(2018年3月27日発行)より、冒頭部分をお届けします。
〘第310号 目次紹介〙
// 2018年3月27日 第310号
// 教育工学も基本は恋愛工学と同じ
// 米中貿易戦争勃発
// 目黒駅の安くて美味しい立ち飲みビストロ
// 非モテコミットしてしまったAクラス妻から離婚を切り出されました
// 他
こんにちは。藤沢数希です。今週もスギ花粉から逃げるため、また、いろいろ用事もあってセブに来ております。
★フィリピンは海老とチキンが美味しいですね。東南アジアは海老養殖が盛んですし、鳥や豚は先進国のように小さいスペースで効率的に生産できないため、基本的に放し飼いで美味しいです。逆に、牛肉は固くてあまり美味しくないんですけどね。
マッドクラブ、フライド豚足、エビ山盛り。美味しゅうございました。 pic.twitter.com/ObHHU3fIKP
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年3月26日
日本の学校はちょうど春休みなので日本人がセブにたくさんいますね。観光というより英語の勉強が多いようで、セブ留学は流行っていますね。僕が数年前に予想した通り、小学生ぐらいの母子の組がとても多い印象です。また、小学生ぐらいの子供の団体がけっこういて、留学ビジネスは流行ってるなぁ、と思いました。これだけ流行ると、春休みや夏休みなんかの日本の学校が休みの時期は、僕がバックナンバーで紹介したようなメジャーどころは予約が取りにくいかもしれませんが、セブには英語学校が200以上もあるので、Webページをよく読んで、良さげなところを予約すればいいかと思います。そして、社会人が有給を利用したり、転職の狭間などに短期留学する場合は、3月後半や8月なんかは避けるべきですね。
僕は中学入試に英語が加わると、日本人の小学生がたくさんセブに来る、と思っていたのですが、どうやらその通りになりつつあるようです。昔、このことをセブで英語学校を経営しているような知り合いに話しても、みんなピンと来ておりませんでした。日本の中流以上の家庭が、偏差値競争で他の子供を出し抜いていい学校に入れるために、どれほど教育に心血を注いでいるかということは経験者でもないと想造できないんですよね。
●AI時代には英語学習がますます重要になる3つの理由|藤沢数希(特別寄稿)
https://souspeak.com/ai-english/
『週刊金融日記 第221号 フィリピン英語短期留学事情と英語の勉強法』
仮想通貨ですが、圧倒的なシステム開発力とユーザーオリエンテッドな経営姿勢で、あれよあれよという間に世界最大の仮想通貨取引のプラットフォームになったバイナンスですが、日本に支店を作ろうとがんばっていました。しかし、金融庁から許可を得るのが難しいようです。未登録の状態ですでに多くの日本人が使っていることから、逆に金融庁に警告を出されてしまい、日本市場から追い出されることになりそうです。消費者を守るというより、こんな歴史の浅い仮想通貨業界でも、すでにある日本の業者を守るためのような気もします。仮にそうだとしたら、仮想通貨が盛り上がってわずか1年で、官民が一体となった既得権益が出来上がり、新規参入者を排除するために動きはじめたわけで、経済学的にはなかなか興味深い事例ですね。
そうこうしているうちに、地中海の小国のマルタ共和国がバイナンスの誘致に成功し、本社をマルタに移すそうです。マルタはユーロ圏で、これでめでたく顧客は、法定通貨のユーロとさまざまな仮想通貨との交換ができるようになるかもしれせん。日本とはとても対照的でした。
★マルタ共和国の首相がTwitterでバイナンスを歓迎し、バイナンスのCEOもそれに応えました。
日本の規制当局は世界最大の暗号通貨取引所のバイナンスを追い払うようですが(僕は詳しいことは知りません)、マルタ共和国はバイナンスを歓迎(誘致?)したようですね。 https://t.co/ka6gEn95fj
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年3月23日
経済誌の週刊SPA!で月に1回ぐらい映画を紹介する番が回ってくるのですが(発売日から1、2週間で上映される作品の中から選びます)、今回は『レッド・スパロー』という、ハニートラップを武器に機密情報を盗み出すロシアの極秘諜報部隊に関する映画を紹介しました。美女のスパイが活躍する、気楽に見れるお色気アクション映画かと思ったのですが、本格的なスパイ映画でなかなか面白かったです。
そして、この映画を見たあと、イギリスに亡命した元ロシアのスパイと彼の娘が軍事用の神経剤で襲撃されたというニュースが入ってきて、こうしたことはいまでもフィクションの世界だけではないんだな、と思い背筋が凍りました。
『週刊SPA! 2018年 4/3 号』 https://amzn.to/2pEgkcC
●兵器級神経剤「ノビチョク」には解毒剤がない ~ロシア人開発者
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9800.php
★本格スパイ映画のレッド・スパロー。みなさんも、ハニートラップには気をつけましょう。
『レッド・スパロー』試写で見たけど、意外とすごい本格的なスパイ映画でかなり面白かった。恋愛工学的にもスパイの心理操作のテクニックが参考になる。ハニートラップには気をつけないとwww https://t.co/C5nOzMqRir pic.twitter.com/3QYa9IRCIk
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年3月8日
今週も面白い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。
―熊本県のド田舎の公立高校から東大理三に合格しています
―メガバンク勤務ですがお金がまったく貯まりません
―30代半ばですが大企業総合職や医師や弁護士等の所得が高い女性と結婚したいです
―森田剛と宮沢りえについて質問です
―非モテコミットしてしまったAクラス妻から離婚を切り出されました
―上海でEカップ巨乳ちゃんに飛行機でのナンパから鮮やかにゴール
今週もよろしくお願いします!
1.教育工学も基本は恋愛工学と同じ
実際に子育てしているおっさんはもちろん、子供を持っていないおっさんまでもが、どういうわけか教育論が大好きだ。そして、IT時代だから小さいころからプログラミングを勉強させるべきだとか、グローバル経済で生き残るためには英語を勉強させるべきだとか、いろいろ偉そうに語っている。また、インテリの日本人は受験について語るのが大好きで、ちょっとした自分の子供時代の自慢話をはさみつつ、受験勉強で勝つための自説を展開している。Twitterで、大企業でほんのすこしぐらい出世して小さな成功を手にしたインテリのおっさんたちをフォローしたり、あるいは、NewsPicksなんかを覗けば、こうした「ぼくがかんがえたさいきょうのきょういくろん」で溢れかえっている。
しかし、それらはたいていはうまくいかない。ちょっと考えればわかるのだけれど、子供はひとりの人間であり、自分とは違う人間であるという点では他人だ。他人を思い通りに動かすことは容易ではないし、また、そうするべきでもないのだ。「ぼくがかんがえたさいきょうのきょういくろん」がたいてい上手くいかないのは、それが自分が有名企業に勤めていて、いかに将来性があるかを説明しながら女を口説いても、まったく上手くいかないのと同じだ。親が考えた、これをやれば将来有利になる(はず)、という勉強の計画表を子供に与えて、やれ!と言ったところで、子供は嫌になるだけなのだ。
ネットで有名になった話で、真偽のほどは定かではないが、ゲーム中毒になってしまった知人の子供をゲーム嫌いにさせるためにどうしたらいいか、と相談された著名な心理学者が次のような計画表を用意したと言う。
(1) 毎日「ゲームをしろ!」と子供に言う
とにかく、子供の顔を見たら「ゲームをしなさい!」と言おう。他のことをやっていたら、まずはゲームをやってからにしなさい、と。
(2) 目標を決めさせる
たとえば、最低1日7時間やるとか、マリオカートならどこどこのコースを最低20周する、ドラクエなら最低レベルを5上げる、モンハンならクエストを最低5つクリアする……、といった具合だ。
なるべく具体的に、できれば紙に書いて壁に貼っておこう。
(3) 進捗管理をする【重要!】
そして、親はしっかりと子供が目標通りにゲームをしているか進捗管理をする。また、ゲームで脇道に逸れて、目標達成のためには非効率なプレイをしていたら、怒って、すぐに正しいプレイを教えること。間違えたプレイをしたら、すぐに直さなければいけない。
また、目標が達成できていないなら、「今日、何時間ゲームしたの?」「まだ、クリアできてないの?」等々適宜檄を飛ばす。
(4) 定めた目標を約束通りに達成できたらご褒美に新しいゲームを買う
子供が約束通りに、ちゃんとゲームを目標通りにクリアしたら、次の新しいゲームを報酬として買ってあげよう。目標を設定するときに、こうした「報酬条件」も決めておくと効果的だ。
ゲーム中毒を直したい親は、必死にこれら(1)~(4)を毎日実行した。そして、心理学者はその様子を観察し、十分に治療プログラムの効果が出てきたことを確認すると、もうあとは子供にゲームをさせなくてもいい、とアドバイスした。半信半疑だった親は、ゲームに関しては子供に何も言わないことにした。その結果、驚くことに、子供はゲームにまったく見向きもしなくなったという。
皮肉なことに、それがプログラミングであれ、英語であれ、あるいは将来東大や国公立医学部に子供を入れるための幼少期からの勉強であれ、親が良かれと思ってやることは、だいたいが上記のようなプロセスになってしまうのだ。
最近、プログラミング教室が流行ったり、また、プログラミングなどの授業を学校で行っているところが増えてきたため、プログラミング嫌いの子供、あるいは、親にやらされて仕方なくプログラミングをやっている子供が増えてきたそうだ。また、これはこうしたプログラミング教室が流行っていることと関係があるのかどうかわからないが、最近の学生は、プログラミングの授業で書いたプログラムを実行したがらないそうだ。間違えるのが怖いからである。
●プログラムのエラーが出ることを怖がる学生さんたち
https://togetter.com/li/1212450
★親の経済予測から子供のためを思って、子供をプログラミング教室に連れていったところで……。
これからはプログラミングが重要だ、ということで、親が子供をプログラミング教室に通わせるみたいなのはダメだと思うんよ。子供がハマるには、自分たちで親の知らない面白い世界を見つけた、みたいな物語が必要であって、親が将来のためだからって教室に連れてったら、もうそれでダメな気がする。
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年3月22日
さて、教育工学というよりも、もっと狭く、日本でいい大学に受からせるための受験工学は、このメルマガで過去に解説したように、すでに完成しているように思える。
まずは、読者の興味深い投稿を紹介しよう。
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―熊本県のド田舎の公立高校から東大理三に合格しています
(続きは藤沢数希のメールマガジン『週刊金融日記』第310号にてお読みください)
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藤沢数希・著『損する結婚 儲かる離婚』
男女双方とも、簡単に全財産以上の金額が吹っ飛ぶのが結婚という金銭契約です。 「結婚はデリバティブ取引と同じでゼロサムゲーム。こと金に関しては夫婦は食うか食われるかの関係にある」。金融工学と恋愛工学について研究を重ねてきた藤沢数希が、適切な結婚相手の選び方を具体的なケースを元に解き明かす!
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