本田雅一
@rokuzouhonda

メルマガ「本田雅一の IT・ネット直球リポート」より

闇が深い国際ボクシング協会(AIBA)の問題点

※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.026(2018年8月10日)からの抜粋です。



アマチュアレスリング、大学アメリカンフットボールと信じられないような事件や告発が続くなか、アマチュアボクシングの一連の問題報道に驚いている人も少なくないかもしれません。暴力団など反社会的組織との関係を想像されやすいボクシングという競技。しかし、それだけに運営には気を遣わねばならないはずでした。

ご存知の方も多いでしょうが、そもそもアマチュアボクシングは「国際ボクシング協会(AIBA)」の組織運営に問題があるとして、IOCのバッハ会長が統括団体のガバナンス(組織統治)や審判の判定で、繰り返し問題が浮上してきていることから、2020年東京五輪の実施競技から除外する可能性があるという話があります。

誰もが知っている伝統ある競技を、決定事項ではないものの“外す可能性”があるというのですから、よほどのことが重なったのでしょう。大きなお金が動くわけでもないアマチュア競技者向けの競技連盟ですから、そこに巨額が動く“利権”などありません。

しかし、このAIBA。本当にスポーツ団体なのか? と思えるほど、問題のある人ばかりが幹部なのです。AIBA会長だった台湾の呉経国氏は、国際スポーツ憲章などさまざまな規約の違反を指摘されて昨年11月に辞任。さらに、リオ五輪でも不可解な判定が相次ぎました。

リオ五輪の代表を決めるアジア大会にまで遡ると、インドの女子選手が疑惑判定で敗れた末に3位に入賞したものの、そもそも準決勝での敗戦が「到底負けているはずがない」と思われるなかで敗れ、表彰式で銅メダルの受け取りを拒否。疑惑判定で敗れた相手にメダルをかける、といった事件もありました。

今回、山根明・元日本アマチュアボクシング連盟会長が、一連の不用意な発言を連発して“闇”を自ら告白しましたが、実のところグローバルのアマチュアボクシングを統括するAIBAそのものが、八百長や買収の疑惑だらけで、ガバナンスがなっていなかったのです。

その山根明会長、会長を辞任する際に「選手たちは東京オリンピックに出られなくとも、その次のオリンピックもあります」と、まだ決まっていないこと(東京オリンピックからのボクシング競技除外は決定事項ではありません)を、さも決まったように言っていたのですが、彼自身、AIBAがIOCから処分されるようなことを“やっている”ことを知っていたのでしょう。

知人ジャーナリストの話によると、山根明会長の実績は確かなもので、特にAIBAとのコネクションが強く、海外での日本の存在感は確実に高まっていたという話はアマチュアボクシング界にいる人なら、誰もが知っていたそうです。だからこそのあの強気、だからこその一連の発言だったのでしょう。しかし、実績があるから、プラスの側面があるからとマイナス部分に目を瞑り続けた結果が現在ということなのでしょうね。

AIBAを取り巻く不正浄化の流れと、日本アマチュアボクシング連盟の話は、もちろん別の組織の話ではあるものの、そこには共通する何かを感じざるを得ません。もっとも、今回のコラムで考えてみたいのは、山根明氏のことではありません。関連はするのですが、なぜ彼らが“ああいったことになる”のかを考えてみたいと思います。


(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)

 

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2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。

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本田雅一
PCハードウェアのトレンドから企業向けネットワーク製品、アプリケーションソフトウェア、Web関連サービスなど、テクノロジ関連の取材記事・コラムを執筆するほか、デジタルカメラ関連のコラムやインタビュー、経済誌への市場分析記事などを担当している。 AV関係では次世代光ディスク関連の動向や映像圧縮技術、製品評論をインターネット、専門誌で展開。日本で発売されているテレビ、プロジェクタ、AVアンプ、レコーダなどの主要製品は、そのほとんどを試聴している。 仕事がら映像機器やソフトを解析的に見る事が多いが、本人曰く「根っからのオーディオ機器好き」。ディスプレイは映像エンターテイメントは投写型、情報系は直視型と使い分け、SACDやDVD-Audioを愛しつつも、ポピュラー系は携帯型デジタルオーディオで楽しむなど、その場に応じて幅広くAVコンテンツを楽しんでいる。

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