ご存知の方もあるかと思いますが、大手ソーシャルゲーム関連銘柄でこのところ立て続けに大規模リストラが進んでおり、人材市場にこれらの企業を見切ったか、肩を叩かれたとみられる人材が溢れ出てきて面接待ちをしています。
困ったことに、ゲーム業界はもう天井を迎え、良いゲームをきちんと選んでしっかり遊ぶプレイスタイルが中心に戻ってきて、コンソールが息を吹き返しつつある状況で、ちょっと遊んでガバっと課金するようなインスタントなスマートフォン向けゲームの開発経験やサーバーサイド技術があるだけではなかなか思ったような給与で採用されない事態になってしまっているのが現状です。
とはいえ、まだ開発意欲の旺盛な企業がVRやリッチゲームの方面で採用を拡大している状況ではあるので、上手くニーズがマッチすればと思う一方、なかなか再就職先が決まらない人はアジャイル系の開発会社に入ったり、ウェブサービス会社に転じたりするケースが多いようです。
個人的に目につくのは、やはりイケてる企業で業績が伸びているときに、ある種の甘えのようにアクセルを地べたまで踏むような経営意欲旺盛な経営陣のいた会社ほど、ブレーキを踏むタイミングを間違えて大事故を起こしているように思えるところです。
別にゲームに限ったことではなく、日産ゴーン前会長の件もそうでしたし、ゲームで復活する前のソニーや、総合家電の看板を下ろさずに頑張ろうとしていたころの東芝なんかでも、やはり本当にどうにもならなくなってからリストラに舵を切る、足りない戦力は派遣社員や中途で入れてきて、役に立たない人たちはサービス系子会社に片道切符で放り投げるというようなことが常態化していました。これはもう、良いとか悪いとかではなく、経営者の見込み違いと、働く側の抱いた幻想と現実の落差に立ち入ったとき等しく起きる現象なのだと思うのです。
経営者も人の子ですから、気持ちよく褒めてくれる人材を脇に置きたいと思うし、ツキが向いているときは何をしてもうまくいくし、何でもできる全能感に浸ることもまた少なくない。そういう人たちが、天にも昇る気持ちで「僕は死なない」とか月面旅行を企図したりすることはあるでしょう。
ただ、事業や組織、人心というのは一番最初に現実を見る分大変に冷酷なもので、伸びる期間が急激であった分だけ、離れていくスピードもとても速いのです。世界的に景気が拡大しているころは、ある程度浮ついた話をしていてもおカネがあとからついてくる、業績が欠点を隠してくれることはあったかもしれません。
でも、いったんは時代の風を掴んで成功した人たちでも、その中で生き残る人は着実に取り組んでいる人だけなんだろうと思い至る次第です。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.251 諸行無常を感じるこのところのビジネス界隈のあれこれをまとめて語ってみる回
2019年1月31日発行号 目次
【0. 序文】イケてた会社のリストラに思う
【1. インシデント1】CCCの何度目かの蹉跌
【2. インシデント2】新しい転売問題、フリマアプリが泥棒市の風格を研ぎ澄ますまで
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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