高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

大麻によって町おこしは可能なのか

高城未来研究所【Future Report】Vol.401(2019年2月22日発行)より

photo by Daniel Stonek (licensed under the Creative Commons Attribution 3.0 Unported)

今週は、ウルグアイのプンタ・デル・エステにいます。

「南米のイビサ」と呼ばれるプンタ・デル・エステは、ウルグアイの首都モンテビデオから車で2時間ほどの海沿いに位置する、南米屈指のリゾート地として知られています。

人口わずか数千人の小さな町に、毎年ハイシーズン(12月から2月)に数十万人が訪れるウルグアイ最大の観光地で、また、ナイトシーンが盛んな地でもあります。

いまから6-7年前に、この街にDJとして数週間滞在しましたが、街を歩けば、当時より現在のほうが遥かに活気に溢れ、物価も高騰しているをの感じます。

この大きな理由が、世界初ウルグアイの大麻全面解禁にあります。

2013年、ウルグアイは世界で初めて娯楽医療共に、大麻を全面合法化しました。
南米でも先進的なことで知られるウルグアイは、高額な税金をかけるカナダや米国カリフォリニアの大麻政策とは違い、驚くことに、無税で大麻解禁に挑みました。
その理由のひとつは、蔓延するハードドラッグ撲滅の意味合いが大きく、成果は確実に上がっているように見えます。
かつて街角に立っていたドラッグ・ディーラーの姿はなく、明らかに治安が良くなっているのが、わかります(家族連れが、増えてます)。

そこで、首都モンテビデオにある大統領府に出向き、担当者にお話を伺いました。
お相手していただいたのは、ウルグアイ共和国全国薬事委員会書記長ディエゴ・オリベラ氏と、カナビス大麻規制研究所事務局長のマルティン・ロドリゲス氏です。

「市場価格は、我々が決める」と言い切る彼らは、現在もアンダーグラウンド市場に蔓延するコカインや闇大麻相場を見極めながら、国民に供給する量と値段を、日々調整しています。
「成果は、確実に出てきた」というだけあって、闇市場の撲滅に、本気で取り組んでいる様子です(https://bit.ly/2Iomz0O)。

また、世界初の大麻全面解禁を錦の旗に、観光業は驚くほどの活況を見せています。
大麻博物館や「THC」という名のホテルなど、この数年で関連施設が続々オープン。
もともとナイトシーンが盛んだったプンタ・デル・エステは、他にはないあたらしい盛り上がりを見せているのです。

こうなると、海外の投資家がほって置くはずがありません。
街の地価は、年々高騰するばかり。
現在、ホテルとコンドミニアムの建設ラッシュで、そのなかでも一際目立ち巨大なのは、あの「トランプタワー」です。

もし、多くの人たちが「大麻によって町おこしは、可能なのか」とお考えなら、その回答は、ウルグアイのプンタ・デル・エステにあります。

5年前には、戯言だと思われていた「不思議な夢」が、いまや、驚くほどの速度で現実化しています。
かつての「ゴールド・ラッシュ」にちなんだ「グリーン・ラッシュ」は、北米だけでなく、南米でも大きなうねりとなっているのです。

この世界的な大きな潮流は、どこかで一冊にまとめたいと思ってます。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.401 2019年2月22日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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