やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

重要な衆院三補選、戦いが終わって思うこと


 選挙モードになっているのもあって、私自身の頭の中が選挙一色になっております。
 いやー、他人事として関わる選挙って本当に楽しいですよね。

 とはいえ、国難になるぞと思われるのは、やはり「岸田文雄政権が唯一賭けた選挙区なのに、劣勢が伝えられる島根1区で勝っても負けても6月中の通常国会で解散総選挙を打つ可能性が出ている」ことに尽きます。

 これ、申し訳ないけど7月下旬に投開票でやると71議席以上自公が失って下野ってのも当然想定される支持率なんですよね。まあ、立憲勢力だけで過半数には到底及ばないのも事実なので、維新や国民民主党に頭を下げて翼賛体制にシフトせざるを得ないのかもしれませんが… それでも大変なことです。

【衆院補選と漂流する自民党】唯一の与野党対決になる島根1区と、うっかり解散に踏み切りそうな俺たちの岸田文雄 【山本一郎の“炎上商法”】滅びゆく地方と混乱する政治の雑感

滅びゆく地方での雑感

 で、ここにきて「岸田文雄さんが島根1区に負けても漢気解散に打って出るのであれば、自民党内で党を割る動きが出る」という観測も強くなってきました。当初は「そんな与太話を誰が流したんだ」って雰囲気で受け止めていたんですが、塩谷立さんが離党勧告の処分を受けて離党後に、月刊『Hanada』で寄せた記事が今までの塩谷さんぽくない雰囲気のアレで、同じようなことをそう言えば菅義偉さんが言ってたよなあということで風聞になっておるわけです。

 ご存知のように菅義偉さんは元総理として維新と公明党の間をやじろべえのように泳いで繋いでいたパイプ役であって、数少ない有力者としてはやはり要石的な役割を果たしてきたのですが、昨年の自民党東京都連と公明党執行部との喧嘩がいまだに尾を引いているのはあるのかなという感じでありました。そこへ、本来の主義主張としては割と新自由主義的な面が強い菅義偉さんが維新勢力とのかかわりを深めている状況になると、今回処分が相次いだ清和研究会に所属していた皆さんの扱いを巡って俄然注目されるようになってきます。

 維新としても、現状では政党支持の低迷が始まって、追い風がやんでしまっている状況で自民党が割れて一部合流となれば願ったり叶ったりな面もあり、あくまで「本当に島根1区で負けた後、岸田さんが7月28日投開票で解散を打つことになったら」という条件付きですが本当に自民党を割る動きが顕在化するのではとなるわけです。

 目下、各議員のパトロン筋が議員に対して説得に回っている(笑)という話がありまして、私もうっかりその場で同席してしまった以上は「まあ、自民党公認で逆風の中そのまま落選するぐらいなら、乾坤一擲で党をおん出て旧安倍晋三さん的シンパ(右派)に担がれ資金も手当てしてもらって勝負するのもアリかな」と思ってしまうのはありますね。それこそ、本来はそこまで関係が深くなかったはずの世耕弘成さんですら、衆議院和歌山2区への鞍替えを念頭に離党後もあちこち暗躍して回っているんです。もちろん、あれだけの人ですから、暗躍して当然と思いますが、ただほうぼうに話をしていたらそりゃあまあ漏れるわけですよ。

 正直「うわ面倒くせ」と思うようなことも起きるのではないかと思っていて、その起点はやはり「萩生田光一さんは軽い処分で終わったのに、岸田文雄さんが嫌いな大物だけ放り出された」という処分内容・方針に対する不満だったんじゃないのかなあと感じます。

 東京15区情勢も芳しくない中、文藝春秋が元側近の小島敏郎さん口説いてきて小池百合子さんの学歴詐称疑惑をぶっ込んできている話もあり、これは次回以降のメルマガで情勢を語りたいと思いますがまあ酷いもんです。ほうぼう相談や情報交換を進めすぎて、うっかり「ど」と入力すると「どうにかなりませんかね」が自動に表示されてしまうぐらい、困ったことになってきたなあと思う次第です。どうにかなりませんかね。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.438 衆院三補選が終わって思うことなどをつぶやきながら、警察組織のガバナンスや米国におけるTikTokの行方をあれこれ考える回
2024年4月28日発行号 目次
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【0. 序文】重要な衆院三補選、戦いが終わって思うこと
【1. インシデント1】県警本部から暴力団幹部に個人情報が漏れる話
【2. インシデント2】いよいよTikTokが米国で禁止されそうな件
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
【4. インシデント3】「国公立大学の学費を三倍に」慶應義塾塾長・伊藤公平君の騒ぎに関する補遺

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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