高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

自分との対話として「書く」ということ

高城未来研究所【Future Report】Vol.418(2019年6月21日発行)より

今週は、ヒマラヤ5000メートル越の山から、インドのマナリ、パンジャーブ州チャンディガール、デリー、東京、金沢と移動しています。

ボンベで酸素吸入しながら登るヒマラヤの山々から、イスラエル・ヒッピーの町オールド・マナリ、コルビジェが都市デザインを手がけたチャンディガール、南アジア最大の都市デリーから世界最大の都市圏人口を誇る東京、そして古都金沢と短期間で移動すると、低酸素地帯にしばらくいたせいか、目の前にある現実が、現実のように思えません。

まるで、ゲームの世界を歩いているような不思議な感覚を文字にすることは難しいのですが、人は想像以上に頭のなかで空間認識を行なっているんだな、と実感します。
いや、ゲームというより、テレビのチャンネルを変える感覚に近いかもしれません。

どちらにしろ、浮遊感のような感覚が今週ずっと続いており、現実と非現実の間を彷徨っている状態なのですが、不思議と心地よい感じがあります。

実は、僕にとって、このような定期的なメールマガジンの執筆は、現実世界に戻れる「唯一の鍵」のような作業で、かつてビート・ジェネレーションの作家たちが、タイプライター(主にロイヤル社製)を持って旅に出た理由が、よくわかります。

ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグそしてウィリアム・バロウズを初めとするビート・ジェネレーションの作家たちは放浪者であり、反逆者であり、当時のアメリカの社会規範に片っ端から立ち向かっていったことで知られています。
広大なアメリカ大陸からモロッコまでを自由気ままに旅し、ライブ・ポエトリー・リーディングを各地で行いました。

このような作家を生業としている者に限らず、あらゆる人にとって「書く」ことは、我に返ることでもあり、そこには、ちょっとしたメールも計画も含まれます。
自分の頭のなかに溜まった良いアイデアも悪い想いも、まるで「書く」ことによってデトックスされ、正しい自分を取り戻す行為なのではないか、と思えて仕方がありません。

他者とのコミュニケーションではなく、自分との対話としての「書く」こと。
誰にでもできそうで、誰も行わなかった「書く」手法を発見したのが、ビート・ジェネレーションの作家たちなのでしょう。

さて、今年も、いよいよ本格的な夏がやってきます。
今年は忙しく、すでに世界4周しましたが、来月には5周目が控えています。

移動距離とアイデアは比例する。

長年お話しして参りました僕の言葉が本当に正しいとしたら、今後、いったいどんなアイデアが飛び出すのか。
なにより、僕自身が楽しみでなりません。

みなさま、どうか良い夏の旅を!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.418 2019年6月21日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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