高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

季節の変わり目に丹田呼吸で自律神経をコントロールする

高城未来研究所【Future Report】Vol.439(2019年11月15日発行)より

今週は、富士山の麓、朝霧高原にいます。

標高1000メートルを超える高原の朝は既に氷点下で、つい数日前まで滞在していたキューバとの寒暖差は40度近くあり、移動に慣れている僕でも、流石に早朝は堪えます。

人間の体温は、自律神経によって調節されており、体温を上げる交感神経と体温を下げる副交感神経が、互いに働きあって適宜バランスをとっています。
しかし、寒暖差の大きい場所を高速で行き来したり、同じ場所にいても突然気温が上がったり下がったりすると、それに対応しようとすることで必要以上にエネルギーを消費してしまい、疲労が蓄積します。
これが、季節の変わり目に起きる「寒暖差疲労」です。

シーズンごとの季節の変わり目に体調を崩す人も少なくないと思いますが、一般的に前日よりも気温差が5度以上あると体に影響が出やすく、身体的不調から精神的不調まで、症状は人それぞれ異なり、不定愁訴に陥ってしまうものです。

主には、イライラや落ち込み、睡眠障害に頭痛、めまい、肩こり、腰痛まで様々ですが、これに十数時間の移動が加わり、前日との寒暖差が30度以上もあれば、体調不良になって当然です。
人間の体は、急激な変化に対応できず、危険信号を発するようにできているのです。

しかし、移動のたびに不調を起こしていたら、着いた日から撮影に臨まなければいけないような仕事に対応できません。

そこで僕は、自律神経のコントロールを徹底して試みます。

自律神経とは、内臓、血管などの働きをコントロールし、体内の環境を整える神経で、内臓や全身の血管や分泌腺を支配する神経系です。
知覚・運動神経と違って、意思とは関係なく独立して働いており、意識しなくても呼吸をしたり、食べたものを消化するために胃を動かし、体温を維持するため汗をかいたりするのは、自律神経があるからです。

自律神経には、前述した交感神経(起きている時の神経・緊張している時の神経)と副交感神経(寝ている時の神経・リラックスしている時の神経)があり、この二つは、一つの器官に対して互いに相反する働きを行いますが、時差ボケや気温ボケに陥ると、この自律神経が乱れてしまい、心身に不調を来します。

季節の変わり目に体調を崩す方は、この自律神経の乱れが原因であることが多く、逆に言えば、いかなる場合に置いても、スピーディに自律神経を整えることができれば、難局を乗り越えることができると言えます。

また、これはあまり知られていないのですが、飛行機のなかで軽度低酸素血症の状態に陥る人は、少なくありません。
しかし、 機内では換気の制限を受けないため、息切れや呼吸苦が生じにくく、自覚症状がありません。
移動が疲れたと感じる人のなかには、実は自覚なく機内で低酸素血症になってしまった人が少なくないのです。

これらを解消する最善の方法が、人間が1日平均2万回も行っている「呼吸」です。

自律神経を自分でコントロールできる唯一の方法は「呼吸」で、一般的には、交感神経の働きを高める「胸式呼吸」と副交感神経の働きを高める「腹式呼吸」があると言われていますが、激しい移動が続く僕が行っているのは、「丹田呼吸」です。

丹田呼吸は、大きな呼吸を丹田(おへその5〜9センチ下)をイメージしながら行うことにより、自律神経系が過緊張になっている場合はリラックスさせ、疲れて機能低下している場合には、適度の緊張を取り戻させて調和を回復する方法として、古くから知られています。
また、副交感神経は加齢の影響を受け、男性は30歳以降、女性は40歳以降から副交感神経の活動レベルが徐々に低下しています。

そこで、男性は30歳以降、女性は40歳以降で、移動や季節の変わり目や移動に疲労を感じるようなら、「丹田呼吸」ならずとも、自分にあった呼吸法を見つけ、自律神経を整えることを都度行わなければなりません。

現代のドクターの大半は、不明な疾病や症状を「ストレス」を言い訳にしますが、その際に呼吸法を伝える医師が、ほぼ皆無なのは実に不思議な話です。

一ヶ月前とは比べものにならないほど朝晩の冷え込みが激しい日本各地。
こんな時こそ、ぜひ一度呼吸を、見直してみてください。
コツは、「吸う」(足す)ことではなく、「吐く」(引く)ことにあります。

しっかり吐かなければ、たっぷり吸えませんから(丹田を意識しながら)。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.439 2019年11月15日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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