※高城未来研究所【Future Report】Vol.453(2020年2月21日発行)より
今週は、キューバのビーチタウン、バラデロにいます。
撮影する機会が多いこともありまして、年間通じてかなりの時間を太陽光が燦々と降り注ぐ南国で過ごすのですが、実は昨年1年間を通じ、ある人体実験に取り組みました。
本メールマガジンのQ&Aコーナーで、頻繁に視力やレーシックに関してのご質問をいただいており、つい最近まで、視力は遺伝によるもので、なかなか解決できないものだと考えられてきました。
確かにそれは間違いではなく、母系遺伝子の影響を大きく受けます。
しかし、この数十年。
人類(特に東アジア)の視力は、著しいほどに劣化しています。
もはや遺伝だけとは言い難いレベルで、その要因をテレビゲームやパーソナル・コンピュータ、そしてスマートフォンだと、わかりやすい犯人を仕立ててきましたが、研究を重ねると、どうやらモニターディバイス類と視力低下の相関性はそこまで高くないことが判明しました。
そこで浮かび上がってきたのが、「屋外で過ごした時間」です。
これは、光に当たることが大事なのか、ビタミンDの生成か、遠くを見渡すのが大事なのかわかりませんが、どうやら非常に明るい日光が視力に何らかの影響を及ぼしていると、多くのエビデンスから徐々に明らかになってきました。
つまり、長く屋外で過ごすと視力が上がる研究結果が出たのです。
そこで、僕自身が一年かけて実験しました。
昨年は世界7周したことを何度かお伝えしましたが、これは、スタジオで一切撮影しない上に、自然光だけを使って撮影するスタイルであることから、比例して「屋外で過ごした時間」が例年に比べて長くなったことを意味しています。
僕が二十代の頃は、グリーンバックやブルーバックのスタジオばかりで撮影してて、あとから合成することを得意としていましたが、カメラがデジタル化し(かつては動画もフィルムでした!)、小さくなり、また、カメラマンにお願いするのではなく、僕自身で撮影するようになってから、基本的にスタジオ撮影は行わず、屋外で照明も使わず、自然光だけで撮影するようになりました。
昨年、カンヌ国際映画祭で「人間の内面を豊かに描いた作品」としてキリスト教関連の団体から贈られるエキュメニカル審査員賞を受賞し、いよいよ日本でも公開される「名もなき生涯」の監督で、経験なクリスチャンであるテレンス・マリックは、天の光、つまり太陽からの自然光だけで、すべての映画を撮影しています。
僕もかつてはコンピュータ・グラフィックスや合成を多用した作品作りが得意でしたが、大人になって幾度も人智を超えた体験をすると、より自然に近い存在になりたいと思うようになり、気がつくと自然光ばかりで撮影するようになりました。
その結果、年間通じて、太陽光の下にいる時間が年々増えたのです。
そして先月、昨年と同じクリニックで、年に一度の視力検査を受けて調べたところ、見事に視力が上がってました!
これが太陽の恵みなのか、これこそ人智を超えた「なにか」なのかわかりません。
今後も人体実験を続けたいと思っています。
さて、ミネラルウォーターを買うのも一苦労で経済破綻も囁かれるキューバですが、人々は陽気で悲壮感がまったくありません。
これこそ、太陽の恵みなのかもしれませんね。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.453 2020年2月21日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


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