※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2015年2月20日 Vol.023 <見えるもの見えないもの号>より
以前なんでうちがルンバを導入しないのかというご質問をいただいた時、うちのメインの戦場は階段だからという回答をさせていただいた。だがよく考えると、どうもそうではないらしい。
おそらくお掃除ロボットを導入するというプロセスにおいては、誰もが掃除をめんどくさがっているという前提が共有されている必要がある。みんな掃除なんか嫌いですよねと。しかし中には掃除することが嫌いじゃないというタイプの人がいて、そういう人にとっては自動で掃除してくれるロボットは、楽しみを奪う存在である。
よくよく考えてみたら、僕は別に掃除は嫌いじゃなかったのだ。そもそも自分ちのみならず、自治会の環境衛生部に入って道路の溝とか公園とかまで掃除して回ってるわけだから、どちらかと言えば好きなんだろう。そういう人のツールとしては、ルンバは果てしなく向いてないわけである。
しかも自動制御ロボットという点では、甚だ効率が悪い。デタラメに動き回ってぶつかったらランダムに違う方向を向くだけというのでは、最終的に掃除は仕上がるかもしれないが、同じところを何度も通っているはずだ。掃除という、キチンとした行為に対して、デタラメに動くというアクション自体が受け入れられない。
空を飛ぶドローンが、自動で障害物を避けようという時代ですのよ奥様。地べたをゆっくり走るロボットとして、今どきそのクオリティはない。どのメーカーもルンバの動きをモデルにしているので、同じような動作のものばかりだが、もっときちんと端の方からキチンと順番に攻めていっていただきたい。障害物は自動で避けて進む、吸い込めないでかいゴミがあったら頭の上のゴミ箱にひろって投げ入れる、ケーブルがあれば足を出して跨ぐようなものこそが、本来のお掃除ロボットのはずだ。
コデラ家ではそこまでのクオリティに達しない以上、お掃除ロボットの導入はない。では何を導入するか。これはもう強力に吸って吸って吸い殺すイキオイのハンディクリーナーだろうと。わかったダイソンだなと。皆まで言うなと。そういうことになったわけである。
今回購入したのは、DC74MHという上位モデルだ。ノーマルモデルはDC62で、違いは強化バッテリーと強モードの有無、モーターヘッドがソフトローラーであるというあたりである。DC74MHにはさらに上位の「コンプリート」というモデルがあるが、これはDC74MHに布団用のノズルと延長ホース、ハードブラシが付いているかどうかの違いだ。レビューを見ると、布団用ノズルは使いづらいという評判だったので、まあ必要になったらあとから買えばいいかということにした。
・ダイソンDC74MH
http://www.dyson.co.jp/dyson-vacuums/cordless/dc74/dc74-motorhead.aspx
本体の形状はすでにCMなどでご覧になったことがあるかもしれないが、持ち手の近くに本体があり、そこからノズルが伸びて普通の掃除機みたいに使えるというのがメリットである。サイズ的にはでっかい電動ドライバーぐらいの感じだ。吸引する際はレバーを握りっぱなしにするというあたりも、電動ドライバーに似ている。
重量は2.3kgで、鉛電池を背負った電動ドライバーよりは軽いが、女性では長時間の掃除にはつらいだろう。元々バッテリーもモーターヘッドを使うと16分しか持たないので、これで一気に家中を掃除するというようなものではない。強烈に吸い込む必要がある場合の、ワンポイントリリーフだ。
ポイントのソフトローラーヘッドは、ローラーそのものがソフトなわけではない。堅いローラーに柔らかい毛が生えているという構造だ。これのメリットは、密着性を上げつつも、デカいゴミが来たときは、柔らかい毛が折れてゴミを通す構造になっていることである。したがってデカいゴミも小さいゴミも1アクションで吸えるというわけだ。
ただ実際にデカいゴミを吸わせてみると、そうそう理想通りには行かない。お菓子を小分けしたビニール袋みたいなヤツは、吸い込み穴を塞いで「ボヘー」とでっかい音を立てることもしばしばある。これは基本的に、うちみたいにメインのゴミが子供のお菓子の包み紙みたいなうちには、あんまり向いてない。すでにある程度掃除してあって、細かいホコリみたいなものを吸うのに向いた商品と言えそうだ。
ただ細かいゴミは、ものすごく吸える。試しにコタツ布団を掃除してみたのだが、常時はなちゃんさんが寝てるだけあって、大量のネコの毛が取れた。これを固めてもう一匹ネコができるんじゃないかレベルの量である。あんまり目には見えてなかったので、これには驚いた。
ゴミの収納部が透明なので、掃除した成果が納得できるのは素晴らしい。ただ透明なだけに、内部の細いフィルターの隙間にホコリが詰まっているのも見えてしまうので、ダイソンを掃除するためのダイソンが欲しいところである。このあたりの詰めの甘さは、海外製品特有のものと言えるだろう。日本メーカーなら、そんな隙間などは許さない。
布団も付属のコンビネーションブラシで吸える。ほっとくと布地をガンガンに吸い込んでしまうので、手で布地を引っぱりながらの作業にはなるが、布団専用ノズルでもそこは大して変わらないようなので、買わなくて正解だった。
中継のパイプを外せば短くなる。ものすごく短いのにローラーヘッドが使えるのが、普通の掃除機にはないメリットだろう。車の中の掃除も劇的に楽になった。これまでソファやクッションなど、ネコが好きそうなところの掃除には粘着テープを使っていたが、これがまた使用量がバカにならない。そのあたりが一気解決した。
メインの掃除機に据えるには連続使用時間が物足りないが、これまで掃除機で吸いたかったんだけど吸えなかったところが、ハンドリングの良さでグイグイ行ける。もうちょっと値段が安ければ嬉しいのだが、アドオンのお掃除アイテムとしてはなかなか強力だ。
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」
2015年2月20日 Vol.023 <見えるもの見えないもの号>目次
01 論壇(西田)
Netflix・ネット接続テレビの先にある「データ活用」の裏表
02 余談(小寺)
うん、たしかに吸うね、Dyson Fluffy DC74 motorhead
03 対談(小寺)
ドローンの安全性、そして未来 (2)
04 過去記事アーカイブズ(小寺・西田)
VAIOブランドを作った「かっこよさ」へのこだわり
05 ニュースクリップ(小寺・西田)
06 今週のおたより(小寺・西田)
コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。
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