※高城未来研究所【Future Report】Vol.458(2020年3月27日発行)より
今週は、東京にいます。
桜が咲きはじめ、春らしい気候になって参りましたが、日々新型コロナウィルス関連のニュースで溢れ返る国際ニュースと一転、東京は、あまりに平穏な日々で驚きます。
現時点では、どの国の予防措置が正しかったかどうかに正解はないように思いますが、このメールマガジンでも再三お伝えしておりますように、日本だけがどうやら「ズレている」と、より多くの人が理解するきっかけになったのは間違いありません。
まず、新陳代謝が悪く血統主義の日本式システムでは、「スピード感」がなく、「決断」ができません。
やっとオリンピックのリスケジュールを決断しましたが、このような状況になるのは、1ヶ月以上前からわかっていたはずで、外圧があるまで自ら決めることができなかった内幕が、英国ガーディアン紙はじめ世界中の新聞に書かれています(が、日本ではモチロン報じられません)。
新型コロナ対策に限らず、重要な会議でも「上司と相談」、「持ち帰らせていただく」と述べるばかりで、いつまでたっても誰が決定権を持っているのか不明なまま時間ばかりが経過することが多々あると、日々お感じになる方は少なくないのではないでしょうか?
ではいったい、なんのための会議なのかと言われれば、「既定路線を崩さず」、「責任をとりたくない」けど「やってる感」を示すことが目的と言わざるを得ません。
これでは、生産性が一向に上がりませんし、誰かが変化させよう、もしくはイノベーションを起こそうとしても、ことごとく潰されてしまうか、無視されてしまいます。
また、この1ヶ月ほどの株価乱高下でも露呈したように、有事の際の切り札を日本は中央銀行が平時に使ってしまったため、もう手の内がないこと、そして、絶対にあってはならない中央銀行自ら株式の買入を行い、損切りできない状況まで追い込まれてしまいました。
その上、為政者に関わる問題は矮小化し、他の案件(例えば芸能人の不倫等)は壮大にするマスメディアの不透明性は、年々悪化しています。
さらに、「俺が法律!」と言い切る各村社会のドンの存在が日本式システムの特徴ですが、検事総長の強引な定年延長を見る限り、民主主義の根幹をなす三権分立さえ、怪しくなってきました。
このようなことから、現在の日本社会のフレームワークは、持って15年、早ければ10年以内に瓦解すると思われます。
第一次世界大戦の戦勝国だった日本が、1923年に起きた関東大震災、1929年の世界恐慌をへて、1941年に第二次世界大戦に突入する負の連鎖は、1945年の敗戦まで続きます。
20世紀の経済戦勝国だった日本が、2011年に起きた東日本大震災、2020年の新型コロナ恐慌(おそらく秋からが本番です)、そして今後分断した世界で起きる衝突に突入し、2030年代前半に、かつての敗戦同様の状態になることが考えられます。
しかし、唯一前世紀と違うのは、個人の力が増大し、「ふたつの世界」で生きることを可能としている点にあるのは間違いありません。
現在、日本の大半の情報は「ひとつの世界」しか報じません。
他者に惑わされることなく、自分の心に光をもたらす二歩先の「ふたつの世界」を、誰に何を言われようが歩むこと。
この「決断」を「スピード感」持って進まねばなりません。
当面、この星に生きるすべての人が、正解のない世界を彷徨う、いまこそ。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.458 2020年3月27日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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