高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

「Go To Travelキャンペーン」の正体

高城未来研究所【Future Report】Vol.474(2020年7月17日発行)より

今週は、那覇にいます。

新型コロナウィルス感染拡大期に、世界でも類を見ない国内観光需要喚起を目的とした「Go To Travelキャンペーン」が、いよいよ本格的にはじまるようで、観光立県と呼ばれる沖縄でも、この良し悪しについて様々な討議が行われています。

久しぶりにお目にかかった観光業に従事する友人たちも難しい顔をするばかりで、しかしながら、報道を見る限りにおいて、本質を伝えているメディアは、みあたりません。
「Go To Travelキャンペーン」の本質は、本メールマガジンで何度もお伝えしましたように、「麻生が集金し、二階がバラ撒く」現政権の基本方針が背景にあり、近年、箱物行政が目につきやすくなったことから、地域ブランディングの錦の旗を掲げた観光業にばら撒いてきた延長にあります。

この夏は、各地方の観光業者に「オリンピック景気」を約束していたこともあって、どんなことがあってもバラ撒かなければ、地方の自民党組織(および日本青年会議所等周辺組織)を納得させられません。
それゆえ、税金とともに新型コロナウィルスがバラ撒かれることになっても、口に出すことなく良しとする人たちが多いのです。

この沖縄の自民党組織が企む大型案件が、カジノとテーマパークです。
米軍基地移設関連の埋め立て予算が注視されていることもあって、MICEの名をかりた大規模開発が、次々と持ち上がっては消え、再び浮上するような状況が、ずっと続いています。

MICEとは、Meeting、Incentive、ConferenceまたはConvention、ExhibitionまたはEventの略語で、国際会議などを行うための施設建造が表の話ですが、実際は、カジノとテーマパークの誘致が本命にあります。

実は、15年前ほど前、ディズニーランドの建設が、普天間基地移設跡地に本格的に検討されていました。

先日もお話した、竹富島を中心とした八重山諸島をモチーフとする架空の島「イザヨイ島」を舞台にしたアニメ「スティッチ!」が、ディズニー肝煎で制作されたことがあります。
あまり知られていないと思いますが、ディズニーが「現地版アニメ」を制作したことは、本作品を除いては一度もありません。
このディズニーの沖縄への肩入れからもわかるように、内々に米国と日本政府の間で、在日米軍基地の跡地に「沖縄ディズニーランド」を作る話が、進んでいたのです。
それゆえ、ウォルト・ディズニー・ジャパンのキャンドランド社長が、当時の仲井眞県知事と頻繁にあっていました。
この仲を取りもったのが、県内最大手ゼネコン國場組の國場幸一社長(創業者は、自民党副幹事長國場幸之助議員の祖父)です。
いうまでもなく、問題を次々と起こす米軍を、「サーカス」で煙に巻くのが日本政府の狙いで、ゼネコンにしてみれば、辺野古埋め立て以降、これほど大きな仕事はありません。

ところが、仲井眞知事のあとに座った保守だったはずの翁長知事は、「オール沖縄」を掲げ、「沖縄の保守が革新を包みこむ」、「保革を越えた沖縄」などの政治スローガンを掲げ、「イデオロギーよりアイデンティティ」を打ち出し、在日米軍の県外移設等で、日本政府と真っ向から対立することになります。

この流れを見て、ウォルト・ディズニー社は、沖縄ディズニーランド計画を一度白紙に戻しました。

そして、この機を見込んで、ユニバーサル・スタジオや周辺の関係者、さらにカジノ誘致を念頭においた人たちが、沖縄テーマパーク構想に水面化で着手します。
その代表的人物が、沖縄県で國場組に次ぐ規模の大手ゼネコン・大米建設の創業一家で、6期衆議院議員を務め、菅官房長官の盟友、下地幹郎議員です。
昨年末に、中国系IR企業から現金を手渡された人物としても、記憶にあたらしい方も多いでしょう。

このように、単なる箱物を作ると目につきやすいことから、観光を表看板に掲げ、補助金や補正予算を使って地方(のゼネコンと自民党県議連企業)にバラ撒くのが、「観光立国」の本質にあります。
「Go To Travelキャンペーン」も、他ではありません。
つまり、観光の皮をかぶった「ゼネコン資本主義」下に、日本はいまだにあるのです。

また、自民党総裁選を睨んで、もともと二階自民党幹事長の別働隊として活躍していた小池都知事との間で、この1〜2ヶ月になにか動きがあったと思われます。
オリンピックや都知事選前まで感染者数を実質的にコントロールできたわけですから、逆にいま、東京都の感染者数を増し、それを誇張して公表することは都知事としては難しいことではありません。
あえて、このような行動に出て、観光利権の親玉である二階自民党幹事長が持つ自民党総裁選への影響力に足かせになるような行動を行うのは、いままでから考えると普通ではありません。
それが、「東京都」と「Go To Travelキャンペーン」の齟齬となって表面化しているのです。

「Go To Travelキャンペーン」の可否だけを問う人たちが絶えませんが、その実、自民党総裁選の前にバラ撒きを行い、集票を確かなものにしたい人と、それに一枚食い込もうとする人たちが蠢くのが、真の姿だと考えます。

一度決めたら玉砕までとまらない「日本式システム」による「Go To Travelキャンペーン」は、いよいよ来週7月22日から、はじまります。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.474 2020年7月17日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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