高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

無意識の領域へアクセスするあたらしい旅路のはじまり

高城未来研究所【Future Report】Vol.500(2021年1月15日発行)より

今週も東京にいます。

このメールマガジンは、今回で500号を迎えました。

発刊当初はバルセロナを拠点とし、イビサにある世界最大のクラブでレギュラーDJを務め、EUの永住権を取得。
その後、完全な住所不定生活に突入し、ミラーレスカメラを使った撮影を本格的にはじめ、ドローン片手に世界に点在する有人島90%以上の南の島々を巡った次に、世界の最先端医療を学びました。

思い起こせば当初、このメールマガジンの文字数を満たす事でいっぱいでしたが、ランと同じく、定期的に続けていれば書き慣れるもので、普段お話ししているようにイチからはじめて身につくまで、7年ほどの歳月を要したと実感しています。

人は7年周期で大きく成長すると話すのは、人智学者のルドルフ・シュタイナーですが、ここで簡単にシュタイナーが述べる「人の成長フロー」を、自らを振り返りながら記載したいと思います。

第1期(0〜7歳)は、物質的に体を作り上げる時期です。
手足をたくさん動かし遊ぶことを通じて、骨や筋肉や内臓を作り、「思い通りに体を動かす」経験から、「意思」の力が発達します。
また、「善」(安心や喜び、愛情)を受け取る時期でもあります。

第2期(7〜14歳)は、こころを育てる時期で、それまで親の言動を模倣していましたが、それ以外の模倣へと移行します。
江戸時代は「男子は15歳の元服で若衆髷から前髪を剃って大人の仲間入りをし、女子は14歳前後から島田髷を結い、成人を祝った」とされ、第2期の終わりが実質的に成人でもありました。
また、「美」(芸術や自然への美)を感じ取る時期でもあります。

第3期(14歳〜21歳)は、頭を育てる時期で、芽生えた自我により「自分自身の判断と社会」や「周囲と自分の関係」をうまく構築できず、感情は混乱しアップダウンも激しくなります。
美しい理想や世界に対して失望し、批判や人生に対しての疑問などが生まれます。
また、「真」(真実のある世界感) を受け取ろうとする一方、異性を求める時期でもあります。

ここまでの21年が第一サイクル、いわゆる今日の学校教育にあたります。

第4期(21〜28歳) は、経験を積む時期です。
衝動や感情を安定させ、社会性を身につけるために自我を鍛える時でもあり、社会の因果も理解した「関係性」を考えるときでもあります。

第5期(28〜35歳)は、 魂を感じるようになり、人生を客観的に見つめることによって現実世界に目覚め、あたらしい旅に出ます。
時には批判的で冷たく独善的になりますが、思考によって問題を解決できると感じるようにもなります。また、美的生活を試みる「構築」の時でもあります。

第6期(35〜42歳)は、人生の危機にぶつかります。
感情を通して得られる喜びでは、もはや満足できず、強さと大志を抱きつつ、空虚感や孤独感も併せ持ちます。
何か成し遂げることは、「自分の技を磨き、自我を保つこと」だと気づき、自分と真剣に向き合いはじめる「問い」の時期でもあります。

ここで、21年間の大きな第二サイクルが終わります。

第7期(42〜49歳)は、人生とキャリアに大きな変化が起きます。
前の7年、つまり第6期に起こった「危機」のあとの「生産」「革新」「創造」の時期で、新しい強さと新しい好機を迎えます。
キャリアに変化が現れ、「人生で本当にやりたいことは何か?」と真剣に考え、その鍵は忍耐や温かさ、そして新しい人間関係にあると気がつきます。
同時に混乱が終わり、秩序が訪れ、バランスが得られます。
ただし、「葛藤」の時期でもあり、大きな正しさとはなにか、善とはなにかと向き合う必要もあります。

第8期(49〜56歳)は、心の平安・安定で、人生で問題が起きても今までよりも柔軟性とユーモアを持って対処できるようになり、智慧と光を持ち、新しい挑戦に向かい、あらたな「創作」への意欲が湧く時期です。

僕のメールマガジンは、シュタイナーの言うところの第7期の後半からはじまり、いま第8期を無事終え、これから第9期がはじまろうとしているところです。

第9期(56〜63歳)は、エネルギーの炸裂・インスピレーションの時期で、もはや成功や権力には興味がなくなります。
人生から得た自信や尊敬を楽しみ、深い経験や成熟した感情をもとに生きていく。
新しい強さが活発になり、新しい生命力が生まれる時で、「本質」、つまり、真に自分らしく生きようと決意する時期でもあります。
シュタイナーは「霊人」を目指し、他人に尽くす時だといいます。

こうして、7年周期の心身かつ霊的な成長は、一巡して「還暦」を迎えます。
その後は、さらなる霊的成長が続く「エクステンデッド・バージョン」になるわけですが、そう考えると、このメールマガジン(および僕の人生)は、これからの7年間がいよいよ千秋楽となるはずです。
一体、どこに向かうのか、自分が楽しみでなりません。

また、この500号を通じて誰よりも成長したのも他ならぬ僕自身だと自負しますが、これもひとえに、飽きっぽい僕が次々と「世界」を変える度、懲りずにしっかりついてきてくださった読者の皆様のおかげだと、心から感謝いたします。
ここで改めまして御礼申し上げるのと同時に、どうか次の7年のさらなる新境地に、ご期待いただければと存じます。

さて早速、次回501号から数回に渡りまして、いよいよ内的探査の旅路を皆様とご一緒したいと思います。
昨年の緊急事態宣言以降、移動制限が続く中、それを好機と捉え、身体を絞って、脳のオイル交換に励み、心身を一新する僕なりの方法をお伝えして参りました。
次はいよいよ人間の持つ無意識の領域へアクセスするあたらしい旅路を、僕なりにお話ししたいと思っております。

70年代にはじまったAIと遺伝子の夢想的な研究が、今日、少しづつ現実化し、同時期にはじまったキネシオロジーをはじめとする無意識へのリサーチが進み、ニュートン力学の先にある非線形の世界へと、旅をはじめられる時代になりつつあります。

いま、好機が再びやってきました。
動けない時にどこへでも行けるような「ちょっと先の未来のもう少し先」へと、皆さんの「成長マップ」と照らし合わせながら進んで行く旅路。

どうか今後とも呆れることなくお付き合いいただき、末長くご一緒できましたら幸いです。

いつもご愛読、本当にありがとうございます!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.500 2021年1月15日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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