※高城未来研究所【Future Report】Vol.530(2021年8月13日発行)より
今週は、タンザニアのダルエスサラームにいます。
この街では、誰もマスクをしていません!
とても不思議な感覚なのですが、どこか並行世界に来てしまったような感じがあります。
先週もお伝えしましたように、タンザニア政府では「コロナはない」ことになっているため、現在においても、昨年海外調査団が調べた死亡例21件のまま更新されていません。
そのため、感染が爆発しているとみられる実態とは大きく異なり、近隣諸国の感染者数と比較した場合、感染症例が少ないために比較的安全な国と誤解されかねない状況にあります。
また、これが観光業に依存するタンザニア政府の問題点(戦略)でもあります。
政府による感染状況に関する統計の公式発表が中断されているため、現状と大きな乖離があり医療機関は既に逼迫、病床は常に満床状態にある様子で、こうした感染拡大を受けて、ISTをはじめとする有名(で高額な)インターナショナルスクールは、各行事の中止・延期が続いています。
アフリカのなかでも人口が急増している都市ダルエスサラームは、現在、実質人口は700万人を超えていると推察され(こちらも統計が曖昧です)、2100年の人口予測では7368万人!を数える超巨大都市になると言われるだけあって、どこも人だらけ。
当然ながら密集居住地区、市場等商業地区さらに近郊集落でも感染症と疑われる症状で急死する事例が急増しています。
政府は新型コロナウイルス感染症による死亡例とはしておらず、新型コロナウイルス感染症との関係も必ずしも明らかではありませんが、前大統領含む国会議員、政府要人、著名キリスト教牧師、人気歌手等の死亡事例があります。
それでも地元の人たちは誰もマスクをしていません!
そこで、コロナで死亡した大統領の意思を次いだ副大統領はついに方針転換し、ワクチン接種キャンペーンを開始。新大統領が初のタンザニアにおけるワクチン接種者として、その模様が生中継されるに至りました。
それでもマスクはしていません!
一方、大人気なのが祈祷師です。
コロナは「ない」ので、不調になったらそれは悪霊の仕業です。
そんな時に駆け込むのが祈祷師なのですが、人が押し寄せる祈祷所がクラスター発生源になっているのは、言うまでもありません。
不調な家族や友人と共に祈祷所に行くと、なぜか当人も不調に。
悪霊が乗り移ったと祈祷師は言いますが、なにしろ閉所で「密」ですから。
しかし、街はどこも平常なのです。
ここは未来なのか、別世界なのか、それとも過去なのか?
この夏、僕の旅はどこか並行世界に飛び込んでしまったように感じる日々を送っています。
とても不思議な気分なんです、まるでタイムスリップしたような。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.530 2021年8月13日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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