※高城未来研究所【Future Report】Vol.609(2月17日)より
今週は、神戸にいます。
先週起こったマグニチュード7.8の「トルコ・シリア地震」は、現在判明しているだけでも4万人以上が死亡。
避難生活を送る人は推計100万人に上り、21世紀に入ってから6番目に死者の多い自然災害となりましたが、このニュースを受けて神戸では災害準備に勤しむ人が急増しています。
というのも、1995年に起きたマグニチュード7.3の「阪神・淡路大震災」による甚大な被害を記憶する人たちが、いまも大勢いるからです。
「阪神・淡路大震災」は、第二次世界大戦後に発生した地震災害としては東日本大震災に次ぐ被害規模で、戦後に発生した自然災害全体でも東日本大震災が発生するまでは最大でした。
わずか30年にも満たない当時の記憶を持つ人がいまも多く、世界で大きな地震が起きる度、ホームセンターをはじめ、防災コーナーが人だかりになり、今回のトルコ・シリア地震も他ではありません。
また、日本政府は南海トラフの巨大地震が起きると、震度7の激しい揺れや九州〜東海の広範囲で10メートル以上、高いところで34メートルの大津波が太平洋沿岸を襲い、最悪の場合は死者は32万人を超え、経済被害も220兆円を超えると想定しています。
一方で、対策を進めれば被害を大幅に減らせる可能性があり、防災の呼びかけに余念がありません。
なかでも、懸念されるのが群発地震の可能性です。
最初の地震で大きな被害が及んでいない地域でも、次の地震に備えて「住民はあらかじめ避難する」ことが大切で、最低でもその期間は「一週間」。
場合によっては「数年」に及ぶ可能性もある、と政府が公式に発表しています。
実は、南海トラフの震源域の半分程度がずれ動くマグニチュード8クラスの地震が起きたあと、残りの震源域で巨大地震が発生した事例が過去にも確認されています。
1944年(昭和19年)の「昭和東南海地震」が発生した2年後、西側の震源域で「昭和南海地震」が発生して甚大な被害が出ました。
江戸時代だった1854年にも「安政東海地震」が発生した32時間後に、西側の震源域で「安政南海地震」が発生し、各地が激しい揺れや津波に襲われたと記録されています。
また、地震のリスクは、南海に限りません。
政府によれば、首都直下地震が起きると、最悪の場合は死者がおよそ2万3000人、経済被害はおよそ95兆円に達すると発表。
国の想定では、今後30年以内に南海トラフもしくは首都直下地震が70%の確率で起きるとアナウンスされています。
日本では「阪神・淡路大震災」や「熊本地震」など、内陸の直下にある活断層でも大地震が発生し、局地的に甚大な被害をもたらしてきました。
政府の地震調査研究推進本部は、全国の活断層で地震が発生する危険度を、「S」や「A」などの4段階に「ランク分け」したうえで警戒を呼びかけています。
神戸に限らず、大自然豊かな日本のダークサイドである地震大国の側面。
それを忘れてはいけないな、と思う今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.609 2月17日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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