高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

自然なき現代生活とアーユルヴェーダ

高城未来研究所【Future Report】Vol.657(1月19日)より

今週は、東京にいます。

この時期の南インドと東京の気温差は30度以上ありまして、3時間半のビミョーな時差ボケも堪えますが、気温ボケはなかなか解消されません。
人間は、前日と10度以上の気温差があると即座に対応できず、心身に多大な影響が出ることがわかっており、気温差が30度もあれば三倍の負担がかかります。
幸い、この時期は蓄積モードゆえ12%程度まで体脂肪を増やしておりますが、夏季飢餓モードの「シングル体脂肪」時に、北半球の真夏から南半球の真冬へ移動する際には相当堪えます。
昨年7月にブラジル渡航時には日中気温が4度まで落ち、東京34度からの落差は、かなり厳しい体感でした。
体質的に寒いのが苦手な僕は(ヴァータが高まると不調になる僕は)、北半球の暑い夏から真冬の南半球へ移動する時こそ、気をつけなければいけないと実感した旅路でした。

さて、先週お伝えしました各人によって異なるアーユルヴェーダの体質が、想像以上のご反響をいただきましたので、今週も引き続き詳細をお伝えしたいと思います。

人にはドーシャと呼ばれる風、火、水が組み合わさった体質があり、このバランスを整え病を未然に防ぎ、また自己免疫力を高めることであらゆる疾病を克服できると考えます。
そこで日頃からドーシャのバランスを整えるため、個々によって異なる食べ物から仕事、さらには生き方まで、各人に適したライフスタイルを探らねなりません。
これは、驚くべき5000年前の遺伝子検査とも言うべき概念なのです。

ところが人は、単一のドーシャが優勢であることはほとんどなく、大半は複合体質ゆえ、バランスを崩しやすくなってしまっています。
そこで、今週は複合ドーシャにつきまして、もう少しお伝えしたいと思います。

まず「ヴァータ・ピッタ体質」は、ヴァータとピッタに共通する「軽さ」が強調された性質です。
冷え性にもかかわらず暑いのも苦手で、ヴァータ体質の特徴であるスリムな体と、敏捷さ、友好的な性格を備え、食欲が旺盛で大食する傾向にあり、ストレスに対する不安と怒りが交互にやってきます。

続いて「ピッタ・カパ体質」は、ピッタとカパに共通する「油性」や「湿性」が強くあらわれます。
カパの特徴である安定感とピッタの特徴である抜かりなさが発揮され、カパの影響による頑強な肉体にピッタの特徴である代謝のよさが加わるため、寒さにも暑さにも強くタフ。
精神的には、カパの注意深さによってピッタの怒りっぽさが中和されています。
ただし、自信過剰と自己満足に陥りやすく、ストレスがある状況では恐怖や怒りによって自らを緊張させ、厳しく追い詰める傾向もあります。

次に「ヴァータ・カパ体質」は、ヴァータとカパの双方に共通する「冷性」が際立つため、体も心も冷たさに弱いという傾向がみられます。
体格は、背が高いか低身長で細めです。
冷え症や便秘、鼻炎、気管支炎などに悩まされ、カパの特質である頑強さや慈愛深さを備えていますが、カパとヴァータの質が相反するため、分裂した精神状態になりやすいのも特徴です。
ものごとを十分に調べたり検討したりせず、いきなり結論を出しがちです。

そして最後がみっつのドーシャが同じ割合になっている体質「ヴァータ・ピッタ・カパ体質」です。
稀に見られるこのタイプには、各ドーシャの良い面があらわれています。
ある時はヴァータのもつ軽やかさと発想の豊かさ、ある時はピッタの柔軟性と知性の鋭さ、また、ある時はカパの持久力の強さと慈愛深さが現れ、免疫力が高く、健康で長命な傾向があります。
ただし、どのドーシャも乱れやすく、一旦崩れるとなかなか元に戻りづらいというマイナス面もあります。

また、これらの体質は、特定の健康状態や病気に対する感受性にも影響を与えます。
たとえば、ヴァータ体質の人は関節炎や神経、睡眠障害などのヴァータ由来の不調が起きやすく、ピッタ体質の人は胃炎や胃酸過多などの症状が出やすいとされており、カパ体質の人は、消化不良や肥満などの症状が起こりやすい傾向が見られます。

実はこのドーシャは、人間の体質だけではなく、時間や季節、世代によっても割り当てられているのが、遺伝子とは大きく違うところです。

ドーシャは季節によってそれぞれの特徴が強まる傾向にあり、カパは春、ピッタは夏、ヴァータは秋・冬に影響を受けやすくなります。

また、年齢にも影響があり、生まれた時~30歳までカパが優勢の時期、30歳〜60歳をピッタ期、60歳を超えるとヴァータ期と分類され、個々によって異なる体質と季節や世代を重ね合わせて、バランスが崩れるのを防がなくてはなりません。

僕は年齢的にもヴァータ期にさしかかっており、また日々35度ある南インドのピッタ優勢環境から、ヴァータ優勢である真冬の東京へ数時間で移動すると、突然ヴァータが増加して調子を崩します。
そこで、徹底的にヴァータを抑える食事をとって、リバランスするしかありません。
現在、高まるヴァータを抑える「生姜湯」を一日中飲んで、体調を整えている最中です。

飛行機などがなかった5000年前に生まれた自然と共に生きるアーユルヴェーダ。
この時代、自然なき大都会でどうやってリカバリーするのが良いのか、いまだ暗中模索する今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.657 1月19日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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