やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

「平気で悪いことをやる人」がえらくなったあとで喰らうしっぺ返し

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.119<そろそろ規約が変更されるFACEBOOKの件がどういう影響を及ぼすのだろうか疑心暗鬼になる件に辻元清美さんとの対談が続く回>2015年1月29日発行より

3845ca83bede79c6e657449cbfe7cb05_s-compressor

以前もこのメルマガでとりあげた某サービス業の会社さんについて、あれだけ書いたのだから少しは反省してより良い経営になったのかなと思いきや、再び酷いことになっているという内部情報が多数噴出しております。もちろん、すべての情報には必ずバックグラウンドがあり、鵜呑みにするのは危険ですし、当事者にも言い分はありますから、外部の人間が得た情報を「そうか」と真正面から書き綴るのも危険かなと感じるわけです。

しかしながら、入手した資料について見る限りでは、メルマガで指摘した内容がいまだ是正されていないだけでなく、単にそれに手を染めていた経営幹部の首が2個ほど飛んだだけでほぼ元の木阿弥のようです。そればかりか、関連事業では素材を提供する会社とトンネル会社を作ってあまり誠実とは思えない取引をせっせとやっていることが判明して、これはこれでどうなのと思う次第であります。内部告発の主も、かなりのリスクを負って情報提供していただいているのですが、ことここに及んではメルマガでどう、週刊誌がどうという話ではなく、当局マターにならざるを得ないのだろうなあと強く思います。

急成長する会社がその組織を崩壊させるのは一瞬です。ビジネスモデルの中でも利益率を出すための仕掛けというのは一箇所か数箇所か、そこが「やってはいけません」という話になると文字通り仕事を続けることができなくなります。いままでのケースでも、業界の慣行を考えて猶予期間をあげるから善処してねという方法で緩和することはあっても、一度問題視されて是正するべきだとされるビジネスについてお目こぼしがあったことはあまりありません。

結局のところ、組織内であれお客様であれ常軌を逸した利益やあり得ないガナバンスをやろうとすると、どこか無理が来て逆回転するように世の中はできているのではないかと感じるわけであります。どれだけ周辺が言葉を尽くしてアドバイスしても、本人が「大丈夫だ、それは悪いことではないのだ」と開き直ったり、下手をすると「同業他社もやっているのだし、悪いのはうちだけではない」ということで一層のアクセルを踏むこともあります。そういうのって、経営者本人だけが幸せでおいしく酒を飲むことはあっても、周辺はそれどころではなく、幹部も従業員もお客様も誰一人として幸せにならない可能性があるので、一刻も早く気づいて体制転換してもらわないとなあ、と思います。

まれに、そういう体たらくの組織を運営しても、生まれ持った豪運でどうにかなってしまう人もまたあります。それこそ一代の才能なのかもしれませんが、だいたい後継者選びや謀反で大変なことになるのが摂理のようです。世の中は意外とうまくできているのだ、ということをよく実感する年末年始でありました。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.119<そろそろ規約が変更されるFACEBOOKの件がどういう影響を及ぼすのだろうか疑心暗鬼になる件に辻元清美さんとの対談が続く回>

2015年1月29日発行
目次
187A8796sm

【0. 序文】「平気で悪いことをやる人」がえらくなったあとで喰らうしっぺ返し
【1. インシデント1】Facebookが2015年1月30日から利用規約を変更する件
【2. 対談】辻元清美さんと対談しました 第4回 (全5回)
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

「人間迷路」のご購読はこちらから

やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

その他の記事

思考や論理と同じぐらいに、その人の気質を見よう(名越康文)
銀座の通りにある歩道の意味(高城剛)
「常識」の呪縛から解き放たれるために(甲野善紀)
新しい健康食トレンド「レクチンフリー」を日本ならではの形で試みる(高城剛)
2016年米国大統領選候補、スコット・ウォーカー氏が思い描く「強いアメリカ」像(高城剛)
アジアではじまっているメガハブ空港の王座争い(高城剛)
トランスフォーマー:ロストエイジを生き延びた、日本ものづくりを継ぐ者 ――デザイナー・大西裕弥インタビュー(宇野常寛)
ジェームズ・ダイソンのイノベーション魂(本田雅一)
本当に今、自分は仕事を楽しめているだろうか?(本田雅一)
スーツは「これから出会う相手」への贈り物 (岩崎夏海)
ファーウェイ問題から想像する強者にとっての心地よさ(本田雅一)
「ヤングケアラー」はそんなに問題か?(やまもといちろう)
「一人でできないこと」を補う仕組み–コワーキングスペースが持つ可能性(家入一真)
録音がそのままテキストに?!「Recoco」はライターの福音となるか(西田宗千佳)
「GOEMON」クランクインに至るまでの話(紀里谷和明)
やまもといちろうのメールマガジン
「人間迷路」

[料金(税込)] 770円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回前後+号外

ページのトップへ