※高城未来研究所【Future Report】Vol.259(2016年6月3日発行)より
今週は、東京にいます。
「お寿司でも食べに行こうよ、奢るから」と小学生の甥っ子に誘われて出向いた回転寿司は、僕が見たことがない寿司が次々とまわる驚くべき場所で、チョットした衝撃を受けました。
まず、「イベリコ豚の大とろ」(二貫で100円)という見たことがない寿司からはじまり、「旨だれ牛カルビ」」(二貫で100円)に続き、小さなハンバーグが乗っかった握り寿司まで、実に多彩。
いままでも、デザートや果物が回ってくる回転寿司はありましたが、ここには、まるでファミレスと寿司の合わせ技のような創作寿司メニューが多くありました。
いわゆる一般的に知られる寿司ネタもあるのですが、不思議なことに「天然・真いわし」が 122kcalで、「イベリコ豚の大とろ」 115kcal、「旨だれ牛カルビ」が111kcalと、カロリーの観点からだけ見ると、僕が見たことがない寿司のほうが健康的に思えますので、これも不思議です。
しかも、全ての食材が化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料を一切使用していないそうで、この日は、日本の回転寿司の大きな進化を感じた一夜となりました。
最近は、かなり名前が知られた高級寿司屋でも、酢飯さえもチョイケミカルなことが多いですから、かなりの挑戦だと思います。
また、ここまで面白いメニューを安価で提供できるのは、オートメーション化というかロボティックス化が大きいと感じました。
キッチンを覗けば、現在はまだ人が握っていましたが、オーダーも配膳も会計も、基本的には顧客作業とオートメーションで賄われており、今後キッチンの大半の作業が、ロボット化に向かうのは時間の問題だと思います。
こうなると、セントラルキッチン方式と人手によるファミレスやファストフードは、高度なマシーナリーな回転寿司に、価格的に勝てなっていくでしょう。
今後、カフェでもなんでもチェーン店は、店全体がマシーン化していることが前提になる時代がやってきます。
今週、ドイツの巨大スポーツメーカー「アディダス」が、スニーカーをドイツ国内の巨大ロボティックス工場で生産をはじめると発表し、このような「脱アジアからロボティックスへ」といった動きは、今後世界経済の大きな潮流になるものと思われます。
東西ドイツ統一の1990年から昨年2015年まで、グローバリゼーションとインターネットの恩恵に預かり、会社を巨大化してきた「アディダス」が、今年2016年からローカルでロボティックス、いわゆる社内外を巻き込み高度な生産システムを構築する「インダストリー4.0」のフェーズに本格的に入りました。
それゆえ、世界の工場として急速に発展を遂げたアジアは、これから曲がり角を迎えることになります。
今後発展するのは、「世界の工場で働くロボットを作る工場」だけで、ロボティックスを制するものが、今後25年間にわたり、世界を席巻するようになると思われます。
かつてのインターネット同様に。
僕が訪れた明るい店内の回転寿司は、果たして明るい未来を暗示しているのでしょうか?
ロボットが休みなく働き続けている回転寿司の光景は、日本版「インダストリー4.0」を少しだけ想起する今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.259 2016年6月3日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
詳細・ご購読はこちらから
http://yakan-hiko.com/takashiro.html
その他の記事
新しい健康食トレンド「レクチンフリー」を日本ならではの形で試みる(高城剛) | |
冬の間に眠っていた体内の問題が目を覚ます季節(高城剛) | |
話題のスマホ「NuAns NEO」の完成度をチェック(西田宗千佳) | |
アクティブ・ノイズキャンセル・ヘッドフォンと聴力の関係(高城剛) | |
野党共闘は上手くいったけど、上手くいったからこそ地獄への入り口に(やまもといちろう) | |
宗教学たん執筆の記事とメルマガ『寝そべり宗教学』について(夜間飛行編集部) | |
たまにつかうならこんな「ショートカット」(西田宗千佳) | |
人生の分水嶺は「瞬間」に宿る(名越康文) | |
身近な日本の街並みが外国資本になっているかもしれない時代(高城剛) | |
今世界でもっとも未来に近い街、雄安(高城剛) | |
歩き方の上手い下手が人生を変える(岩崎夏海) | |
目下好調の世界経済にバブル崩壊のシナリオと対処法はあるのか(やまもといちろう) | |
『ご依頼の件』星新一著(Sugar) | |
遊んだり住むには最高だけど働くのは割りに合わない日本(高城剛) | |
レシート買い取りサービスONEと提携したDMMオートの思惑(本田雅一) |