やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

サイバーセキュリティと官民協力の実態

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.121<【祝】個人情報保護法改正で政府案発表と、併せて大規模な個人情報漏洩に関して思うことを綴る回>2015年2月22日発行より

 

このほど、アメリカでオバマ大統領によるセキュリティに関する官民協力を促す大統領令が出ました。我が国でも、そろそろ民間の情報をしっかりと整理して捜査に役立てたり、攻撃の兆候をサービス会社と協調・連携して把握し対応しようという動きが出始めているところです。

効果絶大!? 米サイバー攻撃対策最前線
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2015/02/0218.html

米、サイバー脅威で“官民協力”大統領令
http://www.news24.jp/articles/2015/02/14/10269247.html

いままでは、どちらかというと政府の情報部門が民間にある情報を「盗聴」して、問題になりそうな課題を予測、それに基づいてアタリをつけて対応を進めるという方法が一般的で、そればバレる都度、アメリカでも中国でも政府に対する民間からの信頼が落ち、最後にはスノーデン問題まで発生し、という流れであることはご承知の通りです。

しかしながら、安全保障を考える上で個別企業が独自でセキュリティをいくら行ったところで攻撃者側有利の状況は変わりなく、問題が起きるたびに企業は謝罪させられ賠償金を支払う一方、政府も被害状況が確認されるまでは表立って動くことができず機動的な対処ができないという問題ばかりが繰り返されてきた実情があります。囚人のジレンマではありませんが、信頼感を持って協調して取り組むことができれば全体にとって利得があるのは言うまでもありません。

問題は、音頭をどうとって、意味のある活動に繋げていくかです。信用のできる業者か、信頼できる担当者かというのは毎度悩むところなのですが、特に日本にとっては2020年の東京五輪に向けて、サイバー攻撃対策をどうとって行くべきなのかかなり真剣に考えていかなければならないポイントになってきます。

ここにきて、IoTの問題や、水素スタンド、都市インフラの老朽化問題といった、都市そのものが抱える脆弱性に対する取り組みをどうコーディネートしていくべきなのか思案しなければならない状況に陥っています。対策を採ろうにも、これから一歩一歩進めていくべきステータスであることに変わりはなく、まずは国内、いずれは海外関係機関ともリアルタイムな連携が取れるような仕組みが構築できることを期待されているのでしょう。

うまくいくといいですねえ…。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.121<【祝】個人情報保護法改正で政府案発表と、併せて大規模な個人情報漏洩に関して思うことを綴る回>

2015年2月22日発行
目次
187A8796sm

【0. ヘッドストーリー】サイバーセキュリティと官民協力の実態
【1. インシデント1】個人情報保護法「政府案」成立にあたり
【2. インシデント2】大規模な個人情報漏洩事件が当たり前の時代に生きるとい
うこと
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

「人間迷路」のご購読はこちらから

やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

その他の記事

ワクチン接種の遅速が招く国際的な経済格差(高城剛)
身近な人に耳の痛いアドバイスをするときには「世界一愛情深い家政婦」になろう(名越康文)
TPPで日本の著作権法はどう変わる?――保護期間延長、非親告罪化、匂いや音の特許まで(津田大介)
国家に頼らない「あたらしい自由」を目指すアメリカ(高城剛)
いじめられたくなければ空気を読め(岩崎夏海)
どうすれば「親友」ができるのか–赤の他人に興味を持つということ(名越康文)
2020年の超私的なベストアルバム・ベストブック・ベストデジタル関連アクセサリー(高城剛)
なぜ若者に奴隷根性が植えつけられたか?(後編)(岩崎夏海)
『好きを仕事にした』人の末路がなかなかしんどい(やまもといちろう)
銀座の通りにある歩道の意味(高城剛)
日本の未来を暗示する名古屋という街(高城剛)
知的好奇心の受け皿としての「私塾」の可能性(名越康文)
今週の動画「飇拳(ヒョウケン)」(甲野善紀)
世界百周しても人生観はなにも変わりませんが、知見は広がります(高城剛)
メガブランドの盛衰からトレンドの流れを考える(高城剛)
やまもといちろうのメールマガジン
「人間迷路」

[料金(税込)] 770円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回前後+号外

ページのトップへ