名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)より

週に一度ぐらいはスマートフォンを持たず街に出かけてみよう

※名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」 Vol.098(2015年04月20日)より

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[Q] 人に合わせることに気を使い過ぎて疲れています

友人関係で悩んでいます。周囲から嫌われたくなくて、違うなと感じながらも「かわいい」「いいね」と言ってしまう自分に疲れます。

笑顔で接するようにしていますが、面白くない人とか思われているのではないかなど、友達からどう映っているのかいつも気になります。もっと自分らしく振舞いたいのですが、その方法がわかりません。もはや、長く人に合わせすぎて自分らしさも何なのかわかりません……。

名越先生、どうしたら疲れずに、自然な自分でいられますか?(大学3年生、女子)

 

[A] 「合わせ上手な人」は対人関係に疲弊する

「人付き合いが苦手だ」という人はたいていの場合、自分のことを「コミュニケーション能力がない」とか「社交性が足りない」あるいは、「相手に自分の思いを伝える表現力が足りない」という捉え方をされていることが多いようです。

しかし、実際にそういった方のお話を伺ってみると、必ずしもそうした「コミュニケーション能力」がないわけではないことが多いようです。むしろ、過剰なぐらい、人に合わせる能力に長けていることによって、かえって対人関係に疲弊している人が少なくありません。質問者の方も、どちらかというとコミュニケーション能力が低いわけではなく、むしろ人の話に同調しすぎて、しんどくなってしまっているパターンだと思います。

もしそうだとすれば、あなたに足りないのは、他人とのコミュニケーション能力を磨くことではなく、「一人っきりで過ごす能力」を養うことです。一人っきりで過ごすことが苦手だからこそ、苦手な人間関係を断ち切ることができず、ずぶずぶと深みにはまってしまったり、依存してしまったりする。そういう人に必要なことは、他人と適切な距離を取って付き合うことであり、そのために「一人っきりで過ごす能力」を育むことが必要です。

一人っきりでいかに充実した時間を過ごすことができるか。それは他人に依存しすぎず、コミュニケーションを取るための足腰をきたえるいわば「基礎体力」を身に付ける、大切な時間なのです。

週に1日だけ、スマートフォンを家に置いて出かけてみる

そのとっかかりとしては週に一日だけでもいいから、「一人っきりで過ごす」ということにチャレンジしてみてください。LINEやTwitter、Facebookもたとえば朝見たら夜までは開いてはいけません。くれぐれも、自分の部屋にこもりっきりになるのは避けてください。できれば、スマートフォンの電源も切って家に置いたまま、しばらく散歩に出かけてみましょう。

出かける場所は、喫茶店でも公園でも、図書館でも構いません。自分が落ち着いて、ゆったりとした気持ちで過ごせる場所を見つけてください。

そうやって週に一日だけでも、他人との関わりを断って、自分一人で過ごす時間を作る。これをずっと続けていくと、だんだんと「一人で過ごす力」がついてきます。実は、対人関係で疲れている人は、この力を養っておくことがとても大事なんですね。一人きりで充実した時間を過ごすことができない人は、必ず対人関係のなかで、他人に振り回されて疲弊してしまいますから。

「一人で過ごす力」をつける読書術

この「一人で過ごす力」を身につけるのに、それなりの努力と、時間がかかります。週に一日、一人で過ごすということに加えて、毎日身体を動かす、ということも合わせて行うとより効果的です。ヨガをやってもいいし、通学のときに、一駅か二駅早く降りて、30分から1時間ぐらい、しっかり歩く時間を作ってもいい。そういうときも、SNSを見ながらではなく、自分の身体を丁寧に動かす、ということに集中してください。

また、「一人で過ごす力」をつけるための訓練としては、読書というのは一番のオススメです。誰でも「いつか読もう」と思って買ったけれど開いていなかった本があると思います。週に一回、一人で過ごすときに、そういう本にチャレンジしてみてください。もしかしたら5ページで飽きてしまうかもしれませんが、それでもまったく問題ありません。

内容がちゃんと理解できているかどうか、最後まで読み切れるかどうかは、この場合、あまり大きな問題ではないのです。大切なことは本を開き、まわりの物音が気にならなくなり、活字を追うということに没頭する、ということです。

これは別に読書に限ったことではありませんが、人間は何かに没頭すると、それまで気になって仕方のなかった対人関係の問題などから「フッ」と数十秒~場合によっては数時間解放されます。そのときはじめて、人は本当の意味での「自由」を実感することができるのです。(ただしゲーム好きの私から言ってもゲームはあまり効果的ではありません。ゲームの中では「集中」はいわばあまりに受動的なのです)

「一人で過ごす力」を高めていくうえで、読書というのは非常に有効なエクササイズです。ぜひ、取り入れてみてください。

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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『質問です。』(飛鳥新社、2013)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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