高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

2020年の超私的なベストアルバム・ベストブック・ベストデジタル関連アクセサリー

高城未来研究所【Future Report】Vol.497(2020年12月25日発行)より

今週は、東京にいます。

毎年、年の瀬にベストガジェットを発表していますが、つい先日「LIFE PACKING2020」をリリースしたことから、例年と様相を変え、超私的なベストアルバムとベストブック、そしてベストデジタル関連アクセサリーを発表したいと思います。

本年、僕がAmazon Music HDとTIDALでもっとも再生したのは、テイラー・スウィフトの「フォークロア」でした。
コロナ渦だから生まれた本作は、リモート音楽制作アルバムの決定版として歴史に名を残す一枚、と言っても過言ではありません。
前作と180度違う本作は、ザ・ナショナルのアーロン・デスナーの協力こそあれど、巨大なマーケティングによって作られる消費商品ではなく、徹底的に自分と向き合うことで生まれる音楽の素晴らしさを教えています。
また、ミュージックビデオも、テイラー自ら脚本、演出を行っていますが、撮影だけはロドリゴ・プリエトが担当していることから、良い撮影監督とふたりだけで、大きなチームに負けない作品作りが提案できることを問うています(https://bit.ly/34F3ksH)。
米「Rolling Stone」誌をはじめ、多くの音楽誌が今年のベストアルバムに選んでいるのも頷けるところです。
ちなみに、次点はフィオナ・アップルの久しぶりのアルバム「Fetch the Bolt Cutters」でした。相変わらずの壊れ具合がいいですね。

続いて、私的なベストブック(小説部門)は、待ってました!
カナダ人作家エミリー・セントジョン・マンデルの新作「The Glass Hotel」(https://amzn.to/3ro8XFl)です。
新型インフルエンザのパンデミックにより人類の大部分が死滅した世界を描いたディストピア小説「Staion Eleven」で、2015年にアーサー・C・クラーク賞を受賞して以来の本作は、同じく「少し先の未来」を予見させる作品です。
描かれている時代がリーマンショックであっても、それは今後起こるであろう「あたらしいショックの時代」の出来事のように映り、やがて表沙汰になるだろう、実際には投資運用などはしない「ポンジ・スキーム」事件を想起させます。
なにより表現が秀逸で、「ghost version」や「the counter life」と呼ばれる並行世界を彷徨う新感覚がテキストに散りばめられ、時空を超えるストラクチャーも見事な秀作です。

一方、私的なベストブック(経済部門)は、ノーベル経済学賞受賞経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの「Progressive Capitalism」です(https://amzn.to/3rssHHG)。
株価重視の政府が税金を使って大企業を支援することで、FANGに代表される少数の企業が経済全部門を支配し、格差の拡大と成長の鈍化が「新常態」となった現在。
しかも、企業が個人情報を大量に蓄積し、その個人情報を使って、企業は富の創造ではなく、他人からの搾取によって富をさらに築いています。
ですが、巧みなブランディングにより、多くの人は気がつきません。
果たして、このような「現代のマトリックス」から抜け出す手はあるのでしょうか?
それが、万人を豊かにする「進歩的資本主義」=「Progressive Capitalism」だとスティグリッツは言います。
現実性はさておき、現代の経済的中道リベラルを理解するのに、最適な一冊です。

続きまして、新刊「LIFE PACKING2020」で詳細までお伝えできませんでしたデジタルガジェット関連のベストアクセサリーは、オーストラリアのデザインメーカーThree1Designが設計した携帯性・コンパクトさにこだわったコインサイズのApple Watch充電器「Maco Go」です(https://bit.ly/2WIgxww)。
いままで、なかなか良いApple Watch充電器がありませんでしたが、iPad Proから直接充電できるUSB-C端子を備えているため、これさえあれば、Huawei Mate XsからApple Watchの充電が可能です!
この年末から日本でも一般販売を開始。
ちなみに、重さは12gしかありません。
そのうち、Macbook ProにApple WatchやiPhoneの充電器が搭載されるのを、予見させる逸品です。

また、本年もご愛読いただきまして、誠にありがとうございました!

時代は、驚くほど加速していると実感せざるを得ません。
それに乗り遅れないスピード感を持って、自ら大きく変化することを決意する。

そんな、いままでにない自身を目指しながら、どうか良いお年をお迎えくださいませ。

Season's Greetings!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.497 2020年12月25日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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